Scene27 誰もが求めた魔法
その日のシルヴァの夢に、ステラが現れた。
じっと見つめるステラに、シルヴァは声を振り絞った。
「ねぇ、君がステラ……だよね?」
「そうだけど?」
ステラが怪しげに微笑むと、シルヴァは少しドキっとした。相手は男の子なのに、女の子のような見た目だ。しっかりしないと。同性に、しかも、死んでしまってる子を好きになってしまう。
「どうして、ぼくにあの魔法をくれたの?」
「なんだ、まだそんなこと気にしてたの」
「そんなこと、って……」
ステラは前と同じように宇宙を創り出して、ニコッと笑った。
「これでしょ、『純粋なる星園』。どんな願いも叶えられる星の子のための魔法」
「うん、どうしてぼくにくれたの?」
「どうして、って言われてもねぇ。だって君はぼくの魔力を持ってるんでしょ? ならぼくの魔法も君には使えるってわけだ」
シルヴァはジトっとした目でステラを見た。ステラはそれに気づかずに話し続ける。
「なら君にあげてもいいかなーって。君も嬉しくない? 幾多の人が血眼になって探し求めた魔法が使えるんだよ」
「……でも」
シルヴァが俯いて話そうとすると、ステラはそれに言葉を重ねた。
「ねぇねぇ、何をお願いしたの? 何を叶えてもらったの?」
顔をぐいと近づけて、純粋な目でシルヴァを見るステラ。
シルヴァはステラを離して言った。
「何も、願ってないし使ってもないよ」
「えー、どうして? もったいないね」
「だって、願いは叶えてもらうものじゃないし」
シルヴァが言うと、ステラは大げさに首をかしげた。
「どういうこと? 君の願いのために星の子が命を懸けて叶えてくれるっていうのにー」
「願いは自分で叶えるものだよ。それに、星の子が命を失くしてしまうならより一層。だからこの魔法は使わない」
意思を固めた目でステラを見ると、ステラはつまらなそうにシルヴァから目をそらした。
「なるほどねー。まぁ別にどうだっていいけど」
創り出した宇宙を消して、ステラは少し遠くへ歩いて行った。
シルヴァはどうしたらいいか迷ったが、ここにいるのも退屈なのでステラの後を追うことにした。
何もない空間。たまに流れ星が降り注ぐが、それは二人を避けるようにして地面に叩きつけられる。
「ねぇ」
突然ステラが言葉を発した。シルヴァは驚いて、少し間を開けて返事をした。
「ニーは、元気なんでしょ?」
「うん、そうだよ。今日、ニースヒールさんに会ったんだ。ステラとの思い出、楽しそうに話してた」
「そっか」
ステラは立ち止まって、シルヴァを見た。
その顔は少し嬉しそうで、悲しそうだった。
「ニーはね、ぼくの大切な人なんだよ。ニーのおかげで、ぼくは生きれたからね」
「……星の子は、純粋な子どもが星を受け止めてようやく生きれるんだもんね」
「ぼく、死んだこと何も後悔してない、って言ったらウソになっちゃうけど、でも……、でも、女王のこと恨んでもないんだよ」
必死に笑顔を作るステラの目には少し涙が浮かんでいた。
「女王はね、認めて欲しかっただけだから」
シルヴァが首をかしげると、ステラはニコッと笑って、シルヴァの手を握った。
小さくて、冷たい手だった。
「ぼく、シルヴァのこと応援するよ。かわいそうな女王、助けてあげてね。それで、女王に『バカヤロー』って言ったげて!」
ステラが満面の笑みを見せたその時、シルヴァの視界がぼやけ始めた。
「あっ……」
夢が覚める……。夢の覚めるタイミングが、自分で管理出来ればいいのに。
そう思いながら、目を閉じた。
大丈夫、ぼくがステラの魔力で頑張るから。
応援しててね。




