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Scene25 受け継がれたチカラ

 

 リーシャとミシレーヌはまるでずっと一緒に暮らしてきた親子かのようだった。

 とても仲が良くて、お互いを深く信頼し合っている。

 それは、シルヴァとの信頼関係以上だと思えるくらい。


 シルヴァの孤独感は消えなかった。リーシャもミシレーヌも普通に接してくれるが、やはりどこか壁を感じてしまう。


 そんな間、シルヴァは満月の日にはあまり魔法を上手く使えないことを知った。普段何気なく使える、得意な火の魔法でさえままならない。


 不思議に思ったけれど、どうしようもなかった。

 ミシレーヌに聞いても分からないと答えるばかり。

 先生なら何か分かるのかな、と思っていた。



 シルヴァとリーシャがミシレーヌの家で暮らして一週間が経った頃、やっと先生が家を訪れた。


 傷はすっかり治っていて、とても元気そうだった。


「ごめんね、随分時間がかかっちゃった」


 情けなく笑う先生を、二人は笑顔で出迎えた。ミシレーヌも喜んで先生を家に入れ、優しい香りの紅茶でもてなした。


「大変だったそうで」


「ええ、まぁ、いろいろと。しかし、ミシレーヌさんがいてくださって助かりました。本当に、ありがとうございました」


 頭を下げる先生を、ミシレーヌは優しく眺めていた。


「それよりも、まだお客様がいらっしゃるのよね?」


 その言葉に先生は驚いて、「バレてましたか」と笑った。


「お客様って? だぁれ?」


 先生の隣に座っていたシルヴァが聴くと、先生はにっこりと微笑んだ。


「君の知ってる人だよ」


 そう言うとタイミングよくドアが開き、ニースヒールがひょこっと顔を出した。


「あっ! 港で会ったお兄さんだ」


「おっ、シルヴァ。久しぶりだな」


「ねぇねぇ、あの人が言ってた人よね!」



 ニースヒールの後ろから娘のメリッサが出てきて、シルヴァとリーシャに近づいた。


「こんにちはー! 私、メリッサよ。よろしくね」


 二人は元気なメリッサを微笑ましく見ながら自己紹介をした。


 ニースヒールはシルヴァとリーシャ、ミシレーヌと先生のいるテーブルに近づくと、丁寧にお辞儀をした。


「突然すみません。ニースヒールと言います。こっちが、娘のメリッサです」


「まぁ、ご丁寧にどうも。私はミシレーヌです。どうそ、お掛けください。お茶の準備をしますので」


 ニースヒールは軽くお礼を言って、席に着いた。

 リーシャは初めて見る人に緊張していた。


「ねぇ、知り合いなの?」


 リーシャが小声でシルヴァに尋ねる。


「えっとね、この前港町に買い物に行った時に会った人だよ」


「ふぅん……」


 筋肉質な彼に少し怯えているようだったけれど、彼は全く気にしていなかった。


「ねぇ、どうしてここに来たの?」


 シルヴァが尋ねると、先生とニースヒールは顔を合わせてから、先生は口を開いた。


「『星の子』って知ってる?」


「星の子……。流れ星から生まれた子のことですか?」


 リーシャが聞くと、先生は軽く頷いた。


「そう、それでね。シルヴァ、君の魔力は星の子の魔力なんだよ」


 先生が重く言うも、シルヴァの頭はハテナでいっぱいだった。


「何言ってるの、先生。ぼくの魔力が星の子って、どう言うこと?」


 シルヴァは先生が嘘を言っていないということは分かっていたが、非現実的な話についていけなかった。


「最初から、話してほしいなぁ……、なんて」


 そう言うと、ニースヒールが口を開いた。


「なぁ、お前、ステラに会ったことがあるんじゃないか?」


 ステラ……夢に出てくる、あの白くて小さな子だ。


「えっと……白い、小さな子だよね。夢に、何度か出てきたの。そう、この前出てきたときはね、魔法を、くれたの」


 シルヴァが正直に言うと、彼は納得した顔をした。


「やっぱりな。俺のことを『ニー』って呼ぶのはステラだけなんだ。お前が俺のことをニーって言った時、たまたまかと思ったけどさ。


 なんとなく、似てるのさ。アイツと。何処とまでははっきり分かんねぇけど」



 続けて先生が言った。


「ねぇシルヴァ、その、もらった魔法っていうのはどんなものなんだい?」


「えっと……。まだやったことはないんだけど。小さな球を生み出して、その玉が宇宙になるの。ステラは、願いを叶える魔法って言ってた」


 先生は考えるそぶりを見せてから、シルヴァに堅い口調で言った。


「それは、多分星の子の魔法だよ。普通の人にはそんな魔法は使えないし、どの教本にも載っていないからね。


 ……まぁ、禁じられた魔法って可能性もあるんだけど。


 とにかく、その魔法は使わない方がいいかもね。大きな魔法には、伴う代償も大きいだろうから」


 うん、とシルヴァが頷いた。それから、ニースヒールに聞く。


「ねぇ、そのステラって子と、友だちなの?」


 彼は悲しい笑みを見せた後、口を開いた。


「まぁな。もう、死んじまったけど」


「死んじゃったの?」


「ああ。聞きたいか?」


「うん」


 シルヴァの目は輝いていた。

 ずっと夢に出てきたあの子のことが分かる。


 興奮しているのが自分でも分かった。




 アイツと俺が会ったのは、流れ星のたくさん降る夜さ。今からもう何年も前だけどな。


 その時家出してた俺は、たまたま自分のもとに降りかかった流れ星を受け止めたのさ。

 こう、両手でな。


 最初は知らなかった。流れ星から星の子が生まれるなんて。だから星が男の子になったときは、そりゃあもう驚いたさ。


 何も知らないヤツだったけどよ、でも……面白いヤツなんだ。俺とのくだらない遊びでも一生懸命やってくれてさ。


 その日は野宿したけど、次の日には家に帰ったさ。ステラに貧しい思いをさせるのはちょっと悪かったしな。


 ステラを見たオヤジたちはとても驚いてた。その時に「星の子」のことを聞いたんだ。ステラにはとてもすごい魔力が備わっていて、その力はこの世界を滅ぼせるくらいだって。


 それでもステラは俺にすごい懐いてくれてたし、俺にとっていい友達だったし。だから一緒に暮らしたんだ。


 毎日とても楽しかった。公園とか、裏山とか毎日泥だらけになるまで遊んで。


 でも、オヤジたちがステラのことを女王に言った。

 女王は星の子の力を求めていてさ、血眼になってまで探してたらしい。


 ステラのことを知った女王は、すぐに俺の家まで来てステラを渡すように言った。


 もちろん俺は断ったけどさ、まだまだガキの俺が大人に勝てるわけなんてなくてさ。

 連れて行ってしまったんだ。


 こっそり忍び込んで、アイツに会えたけど、その時はもうアイツはボロボロで。


 ……ついに死んでしまったよ。


 後で知ったんだけど、どうやら星の子そのものを利用するつもりは無かったらしいんだ。星の子長くても二、三年くらいしか生きれないし、体も弱いらしいから。


 女王たちの計画は「星の子の魔力を人の子に移すこと」。

 星の子の強い魔力を、普通の魔力に長けた魔法使いに授けると、とてつもなく強い魔法使いになる、ってワケさ。


 それで、俺は頑張ってステラの魔力を継ぐ子を探したけど、流石に一般人の俺にはそこまでは分からなかった。


 でも、やっと突き止めた。

 シルヴァ、お前がステラの魔力を継ぐ子だってことが──。

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