1話
ガタンゴトンッ
毎度毎度、電車に揺られながらここ清河駅に到着する。
電車の中は、携帯の画面の反射を使って前髪を確認中の女子高生。手を下にダラっとさせないように気遣うサラリーマン…ぐちゃぐちゃに押しつぶされながらも、僕はどうにか自分の居場所を確保する。
プシュー
3回目のこの音が降りる合図。
身体を器用に捻りながらその場所を脱出する。
僕がドアから出る時に、出れなくて苦戦している女の子がいた。いつもは、別に気にしない…。
何故か、、手を引いてその子を外に出してあげた。
ドンッ
勢いよく引っ張ったせいか、少しバランスを崩して尻餅を着いてしまった。
格好悪い。やっぱり…こんな恥ずかしい姿を晒すんだったら、やんなきゃよかった。
ずり落ちそうな分厚いレンズのメガネを押し上げて、ブカブカの制服を綺麗に正した。
入学前、、成長期なんて止まってるのに、ワンサイズ大きめのを買わされた。
そして、1年経った今でもブカブカのまま。これが余計にダサい僕に拍車をかける。
髪は天パのくせっ毛で、分厚いメガネに運動神経は最悪。小心者の僕は、虐められないようにビクビク1人静かに教室の隅で過ごす。