わたし、フワフワ。
目を覚ますと、一人の女の子がわたしを見ながら泣きべそをかいている。
ああ、きっと知らぬ間に泣かしちゃったんだ。
そう思って、わたしは女の子のところへ行くことにした。
ごめんね、大丈夫?…泣きやんで?
すると私の言葉に被せる様に、周りから沢山の笑い声が聞こえる。
なんだろう?と思って周りを見れば女の子と同じくらいの男の子と女の子達が笑っていた。
まるで嘲笑っているかのようで、酷く悲しい。
そこで、疑問に思う。
なんでこの子達は嘲笑っているのか?
すると何人かの子供達に指を刺される。
それは私だったり、泣きべその女の子だったりして、
…とっても心外だった。
不意に地面を見ると昔に見たことがあるような模様。
……あれ?これは…
わたしは思い出す。
ああ…わたし、また召喚されちゃったんだ。
とうとう、本格的に泣き出してしまった女の子を見る。
ああ、可哀想に…こんなわたしを召喚してしまったなんて…
可哀想な女の子の為に少し力を振るう。
すると一瞬にして嘲笑う子供達をフワフワにした。
ほら、こうすればもう貴女を嘲笑う生き物は居ないよ?
だから、元気を出して?
女の子は涙を止めて目を見開くと、尻餅をついた。
あれ?どうしたの?
わたしが近寄ると女の子は顔を引きつらせ何かを叫ぶ。
すると一瞬にしてわたしが燃え始めた。
ああ、この子は瞬時にわたしを消せる呪文を唱えたのか。
………そっか、今の言葉も分からないほど。
…わたし、契約の門でずっと眠ってたんだね。
気がつくと、あの人がいつもの木の木陰でわたしを待ってくれていた。
ああ、懐かしいな……ふとそんな事を思う。
いつものようにこの人の肩に止まると、優しく撫でてくれる。
この手が、この温もりが、わたしを包むのだ。
ああ、やっと会えたんだ……よかった。
その度に、わたしはたくさん、たくさん救われる。
この人ほど、わたしの様な存在を…
…愛してくれる人はいなかったね。
わたしは、フワフワ。
あの人の肩が特等席で、
生きているモノも、
生きていないモノも、
全部をフワフワに出来る、稀な者。
きっと、もっと力を使えば。
……世界だってフワフワに出来た。
そんなモノ。
だから……
わたしの名前は、フワフワ。
あの人が付けてくれた、とっても大切な名前なの。
ちょっと切なめ?
報われたような報われないような…そんな異世界での召喚獣の小話。
なんでフワフワになったのか、主人とフワフワの冒険物語など、気が向いたら書くかな。
思考とかもフワフワなので、ふわっとした冒険になるかもだけどね^_^