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第一話

裕香視点


 家族:夫婦とその血縁関係にある者を中心として構成される集団のこと。父親・母親・子どもという家族構成以外に色々な家族構成がある。私の家には父親が居ない。なぜなら、数年前に亡くなった。幼い頃に母親に聞いたが、『お父さんは遠い所にいるのよ。お母さんも、いつ帰ってくるか分からないの』と帰ってきた。幼い頃はそれで納得した。物心がつけば、その回答に違和感を感じる。だから、一六歳の誕生日に母親に聞いた。

「本当のところお父さんが居ないのはなぜ?」

「昔にも同じことを聞かれたけど、お父さんは遠いとこ・・・」

「嘘つかないで!分かっているの・・・。お父さん、この世に居ないんでしょ。少しずつ分かってきたの。私が幼い頃にお母さんが浮かない顔をしていたこと。そしてお父さんが居なくなった数日後にお母さんが泣いていた意味が。だから、本当のことを教えて。なんでお父さんは居ないの?」

「裕香、大きくなったのね。分かったわ。本当のこと教えるわ。あのね、お父さんはお母さんと裕香を捨てていったのよ。あなたが五歳の時にお父さんはお母さん以外の女性と付き合っていたのよ。分かると思うけど、浮気よ。お母さんは直ぐにお父さんの様子がおかしい事に気づき、お父さんを問い詰めたわ。そしたら、浮気と認め、離婚することにしたわ」

(なんで・・・。近所で美人だと評判の母を。なぜ、父は別の女性と)

「だから、お父さんは急に居なくなったのよ・・・。裕香、ごめんね。騙すつもりは無かったのよ。いつかは本当のことを言わないと覚悟はしていたわ」

「お母さん!ごめんね。酷いこと言って」

 私はなんて酷いことを言ってしまったんだろう。本当に辛かったのは母である。一人の女性として父に愛してもらったのに。その期待を裏切られた母が一番辛かっただろう。

「ささっ、お誕生日会を再開しましょう。はい、あなたが好きなお店のケーキよ。特別に作ってもらったのよ」

「うん・・・」

 この時、私の心の中にはある思いが生まれていた。

『父の代わりに私が母を守ると』


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