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勇者転生の面接に落ちたので、俺は異世界で魔王になりました!  作者: 鮎 太郎
一章 面接落ちて、魔王になりました
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七話 情報は湯船から

 ヘルメイヤの町は慌ただしかった。

 忙しなく、人が行き交い喧騒が聞こえる。


「ここでしばらく情報を集め、金を稼ごうと思う。異議あるやついるか?」


 誰も異議は唱えなかった。

 何にせよ、次の町へ行く為に銭を稼がなければならない。

 魔王城を出た今、誰も俺たちに金を恵んではくれないからだ。

 貯蓄もそう簡単に使う訳にはいかない。

 これらは装備や生活必需品を買う為に使う事にした。



「はい、四人で一万ライだよ」


 とにかく宿で休むため、四人部屋を宿屋でとった。

 思ったよりも安かったのは、ここは人の行き交いが激しく、宿屋も多い為だろう。

 ケルベロスには悪いが、隣接している馬小屋に預けさせてもらっている。


「疲れた、とにかく今日はさっさと休もう」


「ですね。風呂屋に行く人は居ますか?」


「風呂屋か! 森で汚れたし、みんなで行っておこうか」




 俺たちは荷解きをして、宿の外に出る。

 風呂に入れるのは有難かった。

 あれは、文明の作った素晴らしい文化だ。

 体の疲れが嘘みたいに癒される。

 リザはいつも水浴びだったらしく、お湯に入っても溶けないのか、そんな心配をしていたがきっと喜ぶだろう。



 風呂屋に到着し、それぞれに別れる。

 ああ……この湯気の感じがたまらない。




「それより聞いたか、あの見つからずの魔王。何でも本当に消えたらしいぞ」


「ぶはは、失踪かよ! あいつ引きこもりだろう?」


 そんな会話を聞いて、ドキッとする。

 まさか、こんな所で自分の存在を再確認させられるなんて思いもしなかった。

 まぁ、森を挟んでいるとは言え隣の町である。

 情報が伝わるのも早いはずだ。

 けれど、どこから……。


「さっすが、魔物通信は情報が速いぜ。相変わらず身内に容赦ねーな」


「だな。なぁ、報奨金とか倒せば出るのかな?」


 ……身内の方からまさかバラされるとは。

 転生してすぐに旅に出たお陰で、顔を知られてない。

 そのお陰である意味、助かったのか。

 何にせよ、まだ姿が知られるのは早い。

 ……報奨金となれば、俺は討伐対象か何かだろうか。


「……なんでも生け捕り限定らしくてな。見つけて捕まえたら、百万ライらしいぞ」


「嘘でえ。また何でよりにもよってその見つからずの魔王なんだよ。そんなのに百万なんて、金にがめつい魔物組合がおかしいだろ、それ」


 ……生け捕り限定?

 倒されればすぐに転生者が現れるとしたら、その条件は確かにおかしい。

 何か秘密でもあるのか。

 俺は体を流した後湯船に浸かり、もう少しおじさん達の話を聞く事に専念する。


「なぁんでも、転生されて能力適正者じゃないかって噂だ」


「適正者って、そりゃあり得ない話だろう」


 そこまで割られているのか。

 転生されている事も知られているのは、流石としか言いようがない。

 それにしたって、能力適正者……?

 分からないワードが混ざった。


「ああ、そうだぞ。魔王でなおかつ能力適正者ってもう随分と出てないだろう。数の多い勇者ならまだしもなぁ……。魔王なんて、絶対数が少なすぎるぜ」


「まぁ何にせよ七位の魔王なら適正者でも大したことねぇよ。一位のあいつとかならまだしもなー」


「ちげぇねぇ。所詮勇者に狩られる存在よ」


 一人のおじさんが更に混ざり、話を進める。

 もう少し、もう少し情報が欲しい。


「見つからずの魔王って、あれだろ? 確か勇者から唯一感知出来ないんだよな。あの意味不明な魔王よりも厄介な森もあるし」


「そうそう、それ使って森のどっかで農作でもやるつもりなんじゃねーの」


 ……思わぬ所から、これは良いことを聞いた。

 俺はほくそ笑む。

 無論、農作の事ではない。

 勇者から感知されない、そう俺自身の事だ。

 ……そう考えると、カレンはやっぱり勇者なのだろうか。

 よく前魔王を発見出来たな。


「ゴーストキング(笑)だもんな」


「だな、見つけたら俺たちでふん縛ってやろうぜ」


「探すのがめんどくせえよ! ぶはは!!」



 酷い言われようだが、有益だった。

 俺は、ゆっくりと湯船からあがり、にやけ顏でエクシス達を待っていた。

全体的に大きく編集致しました。また編集をするつもりにしておりますが、どうぞ宜しくお願い致します。

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