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加護持ち領主の和平活動  作者: アイゼン・ジム・トンプソン
第一部 帝都動乱編
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愛のない結婚はできないけえね

お坊さんBLを読み終わりました。次はお母さんがアルパカのギャグ漫画です。

アイゼンより☆

「結婚ですと?」

「ええ、お相手はマリア・デ・フェ・オラニエ様。国内でも有数の貴族にして、“ネロリの君”と異名を持つ美貌のお嬢様です」

ジルバンテと俺は人払いした図書室に場所を移し、お茶を飲んでいた。この国のお茶ってなんか薄いし、匂いだけがいいからたくさん飲めるんだよね。


「いやね、セロリでもネロリでもいいんだけど、俺が結婚する必要ないでしょ」

「あります」

ジルバンテは棚から大きな地図を取り出して机に広げた。

「よいですか。帝国は30以上の領主がそれぞれの領地を治めています。その中でも我が領土は代々武勇でしられた家柄。どんな大軍も我が侯爵家の旗印を見るだけで糞尿を漏らして逃げ回ったといいます」

「汚ねえなあ」

あれか、王子って「太平の世では大悪党になろうが、乱世では英雄となるじゃろう」っておばば様的な人に言われるキャラか。

「しかし、神聖帝国は大陸統一後、戦はなくなり、400年ほど太平の世が続いているのです。結果、我が家は過去の栄光を未だに引きずったまま広すぎる領土の管理にあくせくする始末。いくつもの金鉱を持つオラニエ家との結婚は必須事項です」

「そんなに広いんすか?」

ジルバンテは頷いて、地図の一番広い土地を指差した。

「これが侯爵領です。帝都守護のため、帝都の東、西、南を覆うような形になっています」

侯爵領土はほぼ丸形の帝都の下半分を包むような形をしており、地図上では一番広い。


「海があんまりないね」

海は西の方にちょびっとあるだけで、あとはほかの領土に囲まれている。

「ええ、海から敵は来ませんからな」

そうか、外敵っていっても大陸しか知らないから、海は単なる移動と塩と魚の入手場所って認識なんだろうな。

「でもさ、こんだけ広かったら収入源っていくらでもあるんじゃないの?」

「国土の7割が岩山、砂漠、沼地、暗黒地帯ですからな。私は武官ゆえ詳しいことは知りませんが、このヴェンデル伯爵領よりも穀物の収穫量は低いとか」

ジルバンテが指差したのは侯爵領に隣接した小さな土地、侯爵領の5分の1くらいしかない。

「ここがめっちゃいい土地ってこと?でもうちの方が南にあるよね」

「ヴェンデル家は代々小麦の品種改良を行っていましたが、それ以上にあの家には農耕系統の加護がありますからな」

「加護?」

「加護です」

「あの加護的なやつ?」

「あの加護的なものです」

「なにそれおいしいの?」

ジルバンテは「あびす…」といって頭を抱えたが、頭を振って耐えた。さすが侯爵家の将軍。鋼のメンタルだぜ。


「お楽しみのようですが、ちょっとばかりまずいことになりました」

アドナイアスが音もなく俺の真後ろに立っていた。

「うわ、きっしょ」

「ひどいですね。王子の姿で言われると余計に傷つきます」

アドナイアスは桃色ローブの裾で顔を覆った。

「心にもないことを」

「まあ、社交辞令ですよ」

この桃色ローブいつかぶっ殺す。

「まあ、まあ、タクミ殿も落ち着いて。で、アドナイアス何事だ?」

アドナイアスはティーポットから直接お茶を口に注ぎ、飲み干してから言った。

「ガルシア侯爵様がお亡くなりになりました」


「あびすあべば」

ジルバンテが泡を吹いて倒れた。

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