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ディストーテッドリンクス  作者: ヴェル
2/5

現場と血痕

「そういえば自己紹介がまだだったわね。私の名は橘冬香(たちばなとうか)で、コードネームはイヴ」


「オレは……と、既に知ってるんだっけ?」


「ええ、でもコードネームの方は知らない」


「コードネームはグレーだよ」


「わかったわ。それじゃあ、早速だけど作戦について教えてもらえる?」


「最初はまず情報収集。被害者の友人とか関係者辺りにから聞き出す」


「まあ無難ね」


「そもそも現段階でできることなんて、これぐらいだよ」


見つからない殺人鬼。

そんな相手に少しの不安を感じつつ、通学路を歩いた。





学園に着くと、冬香は職員室へと向かった。


自分の教室に入ると、今日はいつもより周りが少し騒がしかった。


「おーい典太。ニュースだぞー」


「どうしたんだ?」


「転校生が来るらしいぞ! しかもAクラスだってさ」


間違いなく冬香の事だろうと目星が付いた。


「クラス違うし関係なくないか?」


「いやまあ、確かにそうだけどさ。Aクラスが遂に十人目なわけだし、ビックニュースだろ?」


「確かにそうかもな」


二百人近い生徒の中でもトップレベルの生徒が集まるAクラス。

その大半は魔法使いで、生徒からアイドル的扱いを受けている。


「そういえば、連続殺傷事件について何か知ってる?」


「ん? 典太はそっちの方が気になるか」


「まあ、他人事じゃないしな」


「色んな噂が飛び交っているよ。凶器は剣だ槍だ魔法だ言われてるし、中には魔物という話もあったな」


「王国の中にある学園に魔物がいるっていうのはちょっと……」


流石に無理があるだろう。

もはや噂はオカルト話にもなりつつあるようだった。



◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎



その日の授業が全て終わり、帰宅時間となった。

当然、オレはこのまま帰るつもりはない。

Aクラスの前で冬香を待った。


「そっちは終わるのが早いのね」


「オレはこの学園で一番下のDクラスだからね。一つクラスが違うと授業の終わる時間に三十分の差がある」


「そんなシステムだったんだ」


そして、これが学園側が殺傷事件の犯人を特定できない一つの要因だった。

今までの被害者は、Dクラス一人Cクラス二人Bクラスが二人。

一番最初の被害者が出た時、学園側は緊急措置として授業後の即刻帰宅命令を出した。

しかし、その後も被害者は出てしまった。

C〜Bクラスの人が

帰宅命令があったので、Bクラス以上の人間がCクラスの人間を殺す事は不可能。


「冬香も説明されたと思うけど、この学園はすぐに帰宅するように義務付けられている。仮に犯人がこの学園の生徒だった場合、犯人はD〜Cクラスの人しかありえない」


「それはわかったけど、貴方は残ってていいのかしら?」


「他の生徒からは見られないように行動したし、学園側は見て見ぬフリをしてくれるよ。なんせ、今回の依頼主は学園長だからね」


「把握したわ。それで、犯人の目星はついたの?」


「さっぱりだ。手掛かりが無いからとりあえず現場に行こうと思ってる」


なにせ情報が錯雑としていて、推理不能だ。

学園で得た情報も、信憑性は怪しい。


「それなら早めに行きましょう。少しでも明るいうちに調べた方がいいわ」




この事件の始まりである路地裏。

とある生徒の帰宅路の途中にあり、近道にだったそうだ。

そんな道で唯一目を惹きつけるもの。

赤黒く変色した血痕だった。


「これは……」


血痕は一箇所に、そして広範囲に広がっていた。


「恐ろしいわね。他の場所に血痕がないから一撃かしら」


地面に染み付いた血を見るだけでも理解できる。

これは、明らかに剣や槍といった類の凶器ではない。


「推察するに、何らかの手段を用いた内部破損による死亡か」


「それが出来るとしたら魔法使いの人。つまり、Aクラスの人間ね」


犯人は冬香と同じクラス。

これが、今日得る事ができた一番の状況証拠だった。

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