表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
優しい季節  作者: 沽雨ぴえろ
1/7

不法侵入者?

死神×少女!





「こんにちは、はじめまして、さようなら」






そう言って私の前に現れたのは、






「ボクは君を看取りにきたよ」






白い髪をした、男でした。



もちろんびっくりするわけで。だって不法侵入だよ?犯罪だよ?いきなり変なこと言うんだよ?誰だろうこの人。いつのまに私の部屋に入ったのかな……

私が首を傾げて男を見つめると、男はポリポリと頭をかいて笑った。え、恐いよぅ。



「そんな顔しないでよ。仕方ないんだから」



仕方ない?どうゆうこと?仕方なく私の部屋にいるの?可笑しくない?

私は益々不安になって、目の前の彼を見つめ続ける。彼は「うーん…」と唸ると、頬をかいた。そして壁に寄りかかる。え、くつろいでないかな、この人。なんか図々しいかも。

って、そんなこと考えてる暇ないんだよね。不法侵入だもんね。どうしよう、叫んだ方がいいかな?



「ちょっと待って?何かおかしな事考えてない?」


「考えてません」


「あ!やっと喋ってくれたね」



………何だろう、この人……馴れ馴れしいな。いきなり来ていきなり馴れ馴れしいし…やっぱりどう見ても不審者だよねぇ。だって。

私は彼をじろじろと見る。白い髪はストレートでさらさらしてそう。あ、でも前髪は長いなぁ、目が見えないや。服は、白い丸首のトレーナーに、またまた白いパンツ。靴……靴?サンダルかな……って、そんなの履いて部屋に入ってこないでよぉ!

うん、やっぱり叫んじゃおっか。

私は息を吸おうと口を開ける。けど、あんまり入ってこない。それに、痛い。どこが?ってきかれたら、わかんないけど……とにかく、痛いよ。



「あ、もうすぐかな」


「っ、え」


「んーん?何でも。そのままでいいよ」



もしかして、痛いって事分かってるのかな。いやでも無いか。他人だし。

私は座っていた椅子の上から降りて、彼と反対方向に歩く。目の前にはドア。叫ぼうとしたけど、息吸うだけでどこかが痛いんだから、きっと叫んだら、すごく痛いはず。根拠はないけど。

手をドアノブにかけようと、手を伸ばした。けど───



「ストップー、ダメだよ、出ちゃ」


「………離して下さい」


「ダメ」



彼は笑いながら私の手を掴んだ。はい?どうゆうこと?

私は未だ離してもらえない手が嫌で、息苦しくなった。だって知らない人だし、当たり前なんじゃないかな?

私は後ずさりながら手を振ると、否定していた彼の手がいとも簡単に外れた。ホッとしながらもじりじりと後ずさる。

彼を苦笑いしてドアに寄りかかる。あ、ヒドい。



「何もしないよ。安心して?そーゆーことしに来たんじゃないから、さ」


「……帰って、くれます…?」


「え、うーん、出来ないかなぁ」



なぜ?!

……顔に出ていたらしい。彼は私の顔を見て低く笑うと、袖から何かを取り出した。なんか……ガラス?えっと……あ。

砂時計?



「あと……五分くらいかな」



え、五分くらいかなって……ここにいるって事?ちょ、勘弁してよ……。それよりも早く帰ってくれないかな。……あれ?何で私、彼を信用してるの?あれ?なんか、……うんん?

私がクエスチョンマークをたくさん浮かべていると、彼は朗らかに笑った。



「あは、君、ボクのことあんまり警戒してないでしょ?そりゃそうだ」


「……、…え?」


「だってボクは、君に害をなす存在じゃないから」



どうゆうこと?意味が分からないよ。理解不能。だけど、何でだろ、ほんの少しだけ、納得してるって言うか……。椅子に座りながら考える。

あー、ダメダメ。警戒しなくちゃ。

……あぁ、ダメだぁ。苦しい。痛い。何でだろう……



「……あ、あと二十秒」



え、なにが?



「あ、そうそう君、」



なに?ごめん、頭痛くなってきちゃった。

私は視線だけ動かして彼を見る。眠いのかな、ぼやぼやだ。



「君、あと一分で寿命」



……え?な、にそれ?

私は何か言い返そうとして、立ち上がろうとした。けど、立ち上がれなくて……。

疑問に思うと同時に、ズキン、と強烈な痛みが頭と心臓を襲う。

ぐらりと前にかしぐ私の体。床に体と頭を打ち付ける。意識が途切れる少し前、部屋の外から声がした。



「───、ご飯よ?───?入るわよ?」



ドアが開くと同時に、彼は笑いながら私に手を差し出した。続く悲鳴。

意識が消える寸前に、彼は言った。










「さあ、逝こうか?」











評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ