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1.0.4 買い物が楽にできるとは言っていない

1.0.4 だけど、続きが見えないからそろそろタイトルつけようかなーって思っていたり。突然進んだし、なんかきっかけ作った方が進むんじゃない?


 初期に渡されるゲーム内通貨は50000PPで、この価値がどのくらいになるかというと課金通貨は1000円で1000M。MはPPに1Mあたり50PPにも変換できる。だから、大体初期通貨は1000円分くらいの価値しかないというのがこのゲームのゲーム内通貨事情である。他にも限定された大会やイベント、ステージクリアに用意されているポイントやレアアイテムなどの解体で出る特別なゲーム内通貨もあるらしく、最初から全てのものに巡り合えるゲームではないらしい。


 ちなみに課金での初心者向けセットが2000Mなのに対して、ゲーム内通貨のPPだと25000であり変換して買わないと4倍の損である。(ただし、PPでの購入制限は1度というものらしいが)初心者向けセットには選べるメイン武器サブ武器。その弾薬、手りゅう弾、スモーク、フラシュバン等のものを一通りそろえることが出来るためにそこそこやっている人が課金して購入するとかなんとか。


 最初は初心者向けのセットを購入して、初心者向けミッションというものをクリアして貰えるものを貰ったあとからいろいろ買っていくのが良いということを聞いていたので、俺もそれに合わせて『初心者向けのセットを購入して少し使ったら何か違うものを買おう。』そんな風に考えていた。


 実際、初心者セットを買って使ってみて何がどうなのか体感してから物を買っても遅くはない。SMGを買ったのにロングレンジで戦う方が性に合うとか、SR買ったけどなんか違うから他のものが欲しいっていう風になるのがかなり無駄なことであるとは思ってしまう。まあ、失敗しないと学べないというのは同意するが、最初からそれをやってしまうのはどうなのかとは思うので今回は基本に忠実な買い方をしようと思う。


 店の目玉商品が目に飛び込んでくるこの状況。ちゃんとディスプレイされた商品に目が行くように飾られているこのショップはあんまり今の自分の決心を揺るがしてしまうので良くはない。そう思った俺は、カウンターの横にあるショップ端末を操作してなのとか初心者セットを買おうとする。


 5分くらい操作で苦しんだ結果、何とか一通りの初心者向けセットを買い終えることが出来た。ゲーム内であるのに、一つ一つの操作にかなり労力が必要だ。俺は終わってカウンターによりかかって一息つきながら周りを見渡すと、カウンターの向こうからにやにやしながら見てる店員がそこには居た。


 一般的な初期アバターである。身長170cmくらいの引き締まった身体でさわやかな印象を与える筈のアバターであるが、苦しみながら買い物をしていた俺の補助をしないでにやにやしていたと考えるとなんかイラっと来るものがある。


「なんですか?」


「なんだぁ、つれないな。お嬢ちゃん。いや、中身は知らんけど」


むすっとした感じで俺がにやにやしている店員に対して一言いってやると、店員は悪びれずに笑顔で返事を返してきた。笑顔で最後に中身は知らんけどとかおかしいだろ。


「随分、失礼なことを言うんですね。あなたは何者なんです?」


「ああ、俺? 俺か。俺はこのショップを任されたAIだよ。今の時代はショップの方針をAIに任せる運営もいるんだなーこれが。まともな判断なのかわからないねー だって、現に俺がショップ運営をしているわけだし。」


なんだこいつ。喋る、聞いてないことまでしゃべる。なんか先を見据えてるのかは知らないが、そんなことまでは聞いてない。


「ああ、そうなの…AIなのね貴方。なら、まあ仕方ないわね。AIと人間は同じじゃないし、細かいことを言っても仕方ないもの」


「いや、違うって言われてもなー傷ついちゃうなー泣いていいかなー」


「いや、あなたから聞いてないことまで言ってきたんでしょ。私は一体どう返せばいいのよ」


「嘘だよ嘘。あっはは騙されてやんのー」


泣きまねをしたかと思えば……ダメだ、まともにこいつの相手をしても疲れるだけだ。


「とりあえず、私はこのゲームを始めたばかりでまだ全然理解してないの。また何かを買いに来るから、その時はいろいろ教えてもらえると助かるわ。それでは」


「お、待ってくれよー そんなこと言わずに見ていってくれよー 自慢の銃が泣いちゃうよー」


店を出ていこうとした瞬間にこれである。


「いや、私ゲーム内通貨をほとんど持ってないのよ。今日ゲームを始めたばかりの駆け出しプレーヤー。わかる?買おうとしても変えないのだからしかたないでしょう」


「なら仕方ねえな。また来いよまた。とりあえず、今日は初来店だからこのくじ無料で引かせてやる。ここを押すんだ」


引き止めたり、用済みみたいな態度をとったりと忙しいAIである。とりあえず、一回無料というくじを引いてここから出ようじゃないか。俺は言われた画面をタッチしてルーレットを回す。


ぐるぐる回って、ルーレットが止まる。ゆっくり止まる訳ではなくいきなり止まるタイプのルーレットらしい。じらして『外れました残念^^』のように煽ってくるタイプのものではないことだけは評価する。あれは嫌いだ。ぶん殴りたくなる。


そして結果だが……なんだこれ


「高級リボルバーセット……?」


「おお、お目が高い。俺の仕込んでたセットが当たるとはいいセンスしてるねー やっぱりお嬢ちゃんはそうでないと」


今日初めて会ったやつにそうでないとと言われる筋合いはないし、さらにこいつ仕込んだとか今言ってなかったか? 確率の方を仕込んでるなら当たるだろ。何考えてんだ。


「いやー 仕込んだというのは当たるように仕込んだっていうものじゃないんだなーこれが。このルーレットはある程度の裁量が任されているんだけど、その中での独自に仕込んでるセットの中の一つをお嬢ちゃんは引き当てたわけだ。いいセンスしてるねー」


また、止まらないでしゃべりだしたよこのAIは。だから、まだ聞いてないんだよな。


「何も言ってないんですが。私は」


「いや、そんなゾクゾクする目をして何を言っているんだい。その目が不満をたらし流してるじゃないか。ご機嫌斜めの君も美しいねー」


もう、ついていけない。ゾクゾクするというようなM発言が来たかと思えば、そのまま美しいと来る。わけわからん…破綻してるだろこいつ。俺はため息をつくと、話を切り返す。疲れたからもう、アイテムを貰って外に出よう。


「ところで、賞品はなんなんですか。ください」


「まあ、そういわずに。これだよ。やっぱり高級リボルバーと言えばこれだね。美しい表面加工に熟練工によって調整された射撃精度……あ、このゲーム熟練工とかの下りはあんまり関係ないね。ただ、猛獣狩りには向いてないよこれ」


そういって渡されたのは一つの箱だった。


「弾薬と銃とケースと整備セットなど諸々含めたロマンの溢れるセットなのが高級リボルバーセット。実際に、最強だとか、高機能だとかの文字は書いてないってところがミソなんだよ。あ、でもサイドアームにも頑張ればメインでも使えるからぜひ使ってね(キラッ」


本当によくしゃべるAIである。中身を教えずにこのセットについての解説を始めて最後には猛獣狩り…ハンティングについて言ってくる始末である。このゲームはMMO要素もあったんだっけか。でも、ゲーム内でもリボルバーでハンティングする人たちっているっていうことか。リアルの猛獣よりも立ち悪い空想的な生物しかいないと思うんだが、そこら辺はどうなんだろうな。


 まあ、失敗しても死なないでやり直せるっていうのがこのゲームでの猛獣狩りの魅力なのかね。知らんけど


「あ、はい。ありがとうございます。」


俺はとりあえず、差し出されたアタッシュケースを受け取ると、受け取ったアタッシュケースは開けずに店から出るのだった。ここで開封するのは面倒くさいし、あのAIを相手にするのももう疲れた。


「また来てねー リボルバーの取り扱いならやっぱりウチだからねー」


そんな風にそそくさと出ていく俺には関せず、相変わらず喋り続けるAIである。出るときに『リボルバーなら』と言われたので、とりあえず覚えていよう。くじに裁量が許されているなら、ラインナップも店によって違う筈だ。だから、欲しいものが手に入る店というのもその店によってあったりなかったりする訳である。覚えていて損はない。



 俺は建物の一階に抜けて休憩用のテーブルに座ると、貰ったアタッシュケースのロックに手をかけて解除した。果たして、くじで当たったものはいったい何なのか。


悔しいが、例のAIが用意したセット賞品の中身が少し気になってしまう俺なのであった。



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