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二度目の人生は勇者パーティに入りません 〜裏切られた最強魔導士、今度はSランク冒険者と魔王を先に倒します〜  作者: 月代
第二章「ソロの冒険者」

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第九話 Dランク昇格と変異種

セラがEランクからDランクへ上がったのは、

 追放から四か月目だった。


 前世より少し早い。

 それでも無理はしていない。


 採取と雑用で評価を積み、

 小型討伐で安定を見せ、

 失敗なく実績を重ねた結果だ。


「おめでとう。これで少し遠い依頼も受けられるね」

 リナが嬉しそうに言う。


「無茶しないこと」


 その言葉に、セラは内心だけで苦笑した。

 無茶を”しない”のではなく、

 “必要なところでだけする”。


     ◇


 Dランク最初の討伐依頼は、

 東の丘陵地帯に出る牙狼三体の駆除。


 単体なら難しくない。

 ただ、連携してくると厄介だ。


 前世で初めて東の丘陵地帯に出る牙狼駆除を

 行った際は右肩を噛まれた。

 地形の読み違いだ。


 今世のセラは、最初から地形を使った。

 高低差のある細い斜面へ誘導し、

 同時に来られる数を制限する。


 最初の一体は土壁で視界を切る。

 二体目に火球。

 三体目の脚を風刃で裂いて、

 体勢を崩したところを短剣。


 手早く、正確に。


 そう思った直後、森の奥から重い気配が近づいた。


「……変異種?」


 藪を割って現れたのは、角の生えた大型狼。

 通常より一回り大きい牙狼の変異個体だった。


 目の色が濁っている。

 魔力の流れも不自然だ。


 前世のこの時期には、まだ出ていない個体。


 変異狼が突っ込む。

 速い。


 セラは障壁を斜めに張り、

 正面受けではなく”滑らせる”ように

 軌道をずらした。

 横腹に風刃。

 浅い。


「……なら、内側」


 火球を圧縮し、傷へ押し込む。

 爆ぜる音。変異狼が吠える。


 フェイント混じりの再突進。

 セラは一歩下がり、足場の土を崩した。

 前足が沈む。


 その隙へ、短い詠唱で火槍を作る。


「――穿て」


 火の槍が喉を貫く。


 変異狼は数歩よろめき、崩れ落ちた。


 セラは呼吸を整え、周囲を確認する。

 他の気配はない。


 怪我は擦り傷程度だ。

 だが胸の奥には別の緊張が残っていた。


 変異種の出現が、前世より早い。


 前世通りにはいかない。

 あらためてそう突きつけられた。


     ◇


 討伐証明を持ち帰ると、ギルドがざわついた。


「Dランクで変異個体?」

「一人でやったのか」


 セラは気にしないふりをして受付へ向かう。

 リナは報告書を見て目を丸くした。


「……これ、本当に単独?」


「他にいませんでした」


 変異個体の記録は別管理になるらしく、

 奥の職員まで呼ばれた。


 前世ならこういう注目が嫌で数日ギルドを避けた。

 今は逃げない。


 必要な手続きを済ませ、次の依頼板を見る。


 その姿を、広間の端で見ている三人組がいること  に、この時のセラはまだ気づいていなかった。

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