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二度目の人生は勇者パーティに入りません 〜裏切られた最強魔導士、今度はSランク冒険者と魔王を先に倒します〜  作者: 月代
第二章「ソロの冒険者」

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第七話 Eランクの日々

 登録から数日。


 セラは毎朝同じ時間にギルドへ向かい、

 依頼を選び、こなし、報告して帰る。


 その繰り返しの中に、前世にはなかった精度を

 詰め込んでいた。


 朝は依頼板を見る前に、広間全体を観察する。

 どの時間帯にどの受付が混むか。

 報告列の伸び方。

 討伐帰りの冒険者の装備の汚れ方。


 強い冒険者ほど、依頼以外の動きが整っている。

 前世の二年間で覚えたことを、

 今度は最初から使う。


     ◇


 この日の依頼は、薬草採取と下水路入口の

 小型魔物駆除だった。


 どちらもEランクの定番。

 前世ではここで討伐系に偏って、

 無駄に怪我をした。


 まずは街の地理と依頼の流れを掴む。

 採取で足場を覚え、雑用で顔を売り、

 危険度の低い討伐で腕を見せる。

 堅実で、退屈で、でも一番早い。


 下水路入口の魔物はネズミ型小型種が三体。


 セラは指先に風を集め、細い刃を作る。

 一体目の首元。

 二体目の足。

 三体目は土の突起で体勢を崩して短剣で止め。


 静かで、速い。

 周辺の汚れも最小限。


「……問題なし」


 魔力消費も軽い。

 十五歳の身体に、前世の制御感覚がうまく

 乗っている。


     ◇


 ギルドへ戻ると、リナが報告書を見て笑った。


「新人でこれだけなら十分だよ」

「それぞれ魔物の急所、きれいに入ってるね」


「必要なので」


「……ふふ、そっか」


 リナは依頼板の端を指して、

 初心者向けの回し方も教えてくれた。


「おすすめ、助かります」


 礼を言うと、リナが少し驚いた顔をした。


 礼を言うのは、まだ少し落ち着かない。

 でも悪いことではないと、今は知っている。


     ◇


 夜、部屋に戻ると、セラは短い記録を残した。


 うまくできたことより、

 引っかかったことを先に書く。


 前世のことを考えすぎて、

 受付で一瞬ぼんやりした。

 下水路の帰りに、壁の影を確認し忘れた。

 リナの言葉に身構えすぎた。


 小さな違和感を拾う癖を、今のうちにつけておく。


 前世の記憶は武器になる。

 でも、記憶に縛られれば足枷にもなる。


 “前はこうだった”のあとに、

 “今はどうか”を必ず挟む。

 その癖だけは、毎日確認する。


 まだ何も始まっていない。

 でも、前世と同じ場所に立てている。


 それだけで十分だった。

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