表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二度目の人生は勇者パーティに入りません 〜裏切られた最強魔導士、今度はSランク冒険者と魔王を先に倒します〜  作者: 月代
第二章「ソロの冒険者」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/33

第十話 十六歳、Cランクへの道

季節が巡り、セラは十六歳になった。


 灰猫亭の二階の部屋。

 朝はギルド、昼は依頼、夜は訓練。

 週に一度、装備の手入れ。

 月に一度、広域魔法の制御確認。


 無駄のない日々だった。


 前世では”生きるのに必死”だった時間が、今世では”積み上げるための時間”になっている。

 それだけで、景色が少し違う。


     ◇


 春、セラはCランクへ昇格した。


 Dランク帯の依頼を安定してこなし、変異個体の討伐記録も評価された結果だ。


 Cランクになると依頼の幅が広がる。

 護衛、遺跡外縁調査、中型以上の複数討伐。

 報酬も上がるが、求められる判断力も増える。


 特にソロでは、依頼選びが命になる。


 前世は報酬の数字だけ見て受け、移動距離や継戦時間で削られた。


 今は依頼書の文面を読む。

 被害の書き方。

 地形情報の曖昧さ。

 支部印の新しさ。


 細かい違和感で危険な案件を避ける。


「セラちゃん、最近ほんと依頼選び上手いよね」

 リナが感心したように言う。


「失敗したくないので」


「うん、その姿勢大事」


     ◇


 この頃から、セラはソロの限界を少しずつ意識し始めた。


 戦えないわけじゃない。

 むしろ前世よりずっと強い。


 でもCランク帯は”戦闘以外の負荷”が増える。


 長距離移動、荷物管理、夜間見張り、対人トラブル、複数地点対応。

 どれか一つならできる。

 重なると、一人では削られる。


 この日受けたのは、小規模商隊の護衛補助。

 前衛一人、槍使い一人、セラが後衛火力兼警戒。


 即席の三人組だ。


 護衛依頼は連携が難しい。

 固定パーティなら呼吸で埋まる部分を、言葉で埋める必要がある。


「私は索敵優先します」

「前から突っ込まれたら障壁出すので、詰めすぎないで」


 出発前、セラは最低限の確認だけ伝えた。

 前衛役の中年剣士は意外そうな顔をしたが頷く。


「了解。若いのに落ち着いてんな」


 落ち着いているんじゃない。

 言わないと事故ると知っているだけだ。


 問題が起きたのは三日目、渓谷沿いの細道だった。


 盗賊崩れが五人。弓が二、短剣が二、斧が一。


 魔物ではない人間相手。

 しかも地形を使ってくる。


 討伐力だけではどうにもならない。

 守りながら、加減しながら、崩さず戦う必要がある。


「前、出すぎないで!」


 セラは障壁で馬車横を守り、岩陰の弓手へ風刃を飛ばす。

 接近組の足元へ火球を落として視界を乱す。


 槍使いが熱くなって追いかけかける。


「追わないで。馬車から離れない!」


 口調が強くなる。

 でも今は仕方ない。


 誰かが全体を見ないと崩れる。


 どうにか商隊を無事に届けた帰り道。

 セラはひどく疲れていた。


 体より、心が削れている。


 ――こういう時、信頼できる固定メンバーがいれば楽だ。


 そう思った瞬間、前世の記憶が胸の奥で冷たく疼いた。


 いらない。

 自分がもっと強くなればいい。


 その結論に落ち着けるのは、まだ楽だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ