表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラフトアルケミストの異世界素材録~素材と精霊と、世界をつなぐ暮らし~  作者: ねこちぁん
水の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/562

ep.77 流れ着いた者たち

焚き火のそばに、七つの寝床が並んでいた。

干した布、温めた湯、そして静かな火。

孝平と波留は、交代で見守りながら、眠る者たちの呼吸を確かめていた。


「……全員、生きてるな」


波留が、湯を注ぎながらつぶやく。


「でも、体力は限界だ。しばらくは、休ませるしかない」


「うん。……それにしても、どうしてこんなに大勢で……」


最初に目を開けたのは、白い衣をまとった女性だった。

その瞳は、深い湖のように静かで、けれどどこか遠くを見ていた。


「……ここは……?」


「火の輪。島の名だよ」


孝平が答えると、彼女はゆっくりと身を起こした。


「私は……エトワール。癒しの務めを持つ者です。

 ……助けていただき、感謝します」


次に目を開けたのは、銀縁の眼鏡をかけた青年だった。


「……記録が……記録が……」


「落ち着いて。ここにいるよ」


ミミルが、そっと手を添えると、青年は眼鏡を押し上げた。


「……ルア。神殿付きの記録官です。

 この場所の地理と気候、記録しても?」


「うん。でも、まずは水を飲んで。体が先だよ~」


その後も、ひとり、またひとりと目を覚ます。


「……ブラン。聖女様の護衛です。

 ……ここは安全なのか?」


「少なくとも、今はね」

波留が短く答える。


「……ミニョンですけど? ここ、どこ? 水は? 着替えは? 鏡は?」


「えっと……順番に出すから、ちょっと待ってて~」

ミミルが慌てて布を差し出す。


「ルージュ、騎士。ミニョン様の安全を最優先とする。

 不審な動きがあれば、容赦はしない」


「……火の輪に“容赦”はないよ。あるのは、火と暮らしだけ~」


最後に目を覚ましたのは、まだ幼い少女だった。

金の髪、透き通るような肌、そして――


「……ソレイユ姫様!」


騎士のひとりが、慌てて駆け寄る。


「ガルド……ここは……?」


「ご安心を。敵意はありません。……今は、休まれてください」


七人の漂着者たち。

それぞれが、異なる立場と役割を背負っていた。

けれど、火の輪には、肩書きも階級もなかった。


風鈴が、ふたたび鳴った。

その音は、静かに、けれど確かに――

“ここにいていい”と告げているようだった。

今回は、漂着者たちが目を覚まし、

それぞれの“名”と“立場”が明かされる回でした。


火の輪に残っているのは、孝平・ミミル・波留の三人だけ。

そこに、七人の来訪者が加わることで、

静かな暮らしに新たな波が押し寄せます。


次回は、孝平と波留が“火の輪の掟”を語る回。

火の前では、誰もがただの“暮らし手”――

その意味が、少しずつ伝わっていきます。


それじゃ、また火のそばで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ