ep.676 聖なる香味、拠点に響く「はい・よー」
「いい火なのです!この火の粉の舞い方、銀河一のドラマチックなのですー!!」
拠点の中心に据えられた「銀河かまど」は、騎士と餡子熊王の合作により、神々しいまでの熱気を放っていました。咲姫は巨大な木のおたまを指揮棒のように振り回し、火力の調整を命じます。
「熊さん、もっと風を送るのです!騎士さん、火の粉がカメラに美しく映るよう、もっと火を『切る』のですー!!」
「無茶を言うな……。だが、やるしかないか。……『断空・送風斬』!」「おおお!俺様の筋肉による人力ふいごを見ろ!撮影スタッフ、この上腕二頭筋のパンプアップを逃すなよ!」
騎士の精密な風と、餡子熊王の猛烈な煽りにより、かまどの火はもはやキャンプファイヤーを越え、小さな太陽のように輝き始めました。
その喧騒から少し離れた特等席。うさちぁんは、果林が銀河の天然氷を削って作ったロックグラスを傾け、火を眺めていました。
「あはは、あの火、ちょっと強すぎない?スープを作る前に、鍋が溶けちゃいそうだよぉ」
「そうですね。でも咲姫様のことですから『溶ける鍋もまた演出』とか言い出しそうです。……うさちぁん様、次のおつまみは、ネギ新人たちが持ち帰る予定の『長いも』を想定して、お醤油ベースのタレを準備しておきました」
「さすが果林、気が利くねぇ。お腹空いてきちゃった」
うさちぁんが笑っていると、通信機からネギ新人の絶叫と、聞き慣れない合唱がノイズ混じりに響いてきました。
『はい・よー!はい・よー!』
「……?何か変な歌が聞こえるのです。これは……香味植物たちの産声なのですか!?」
咲姫がモニターに飛びつくと、そこには「旋律の細ネギ」を抱えたまま、遺跡から転げ落ちるように走ってくるネギ新人と、それを追う大量の「光るもやし」の姿が映し出されていました。
「ネギ新人君、いい撮れ高なのです!そのまま香味野菜を拠点まで運んでくるのです!かまどは、今まさに最高潮なのですー!!」
銀河の果ての広場に、焼けるような熱気と、遠くから近づく「はい・よー」の歌声が混ざり合い、未だかつてない「夕食の時間」が始まろうとしていました。
【現在の状況】
拠点:かまどが超火力で待機中。咲姫が興奮で踊っている。うさちぁんと果林は、収穫物の到着を待っておつまみの準備。
探索班:ネギ新人たちが、歌う細ネギや熱いニラを抱えて拠点へ激走中。後ろから遺跡の「もやし」が追ってきている。
採集班:猫二が、説教し飽きた「岩」を怪獣チームに担がせ、ようやく拠点へ向かって移動を開始。
【後書き】
鍋の出汁、どうしようかなー?




