ep.401 銀河ロケ船『アーク・ノア』希望の相乗りと格差のタラップ
「にゃうにゃあ! 皆さんにお知らせなのです! 次回作の超大作映画『銀河・坂道エクスプローラー』のロケ地は、未開の原生惑星『パルミエ』に決定したのですー!!」
咲姫の宣言により、映画村に活気が戻る。これまでの「劇」を終え、すべてが無償化されたはずのこの星系で 、新人たちにとって「外の世界」へ行くことは、今の「パンのみの生活」を変えるチャンスに見えた。
「……さらっと。本ロケには、居住レベル1以上の研究生であれば、自らの意志で『希望』することで同行を許可します。これは皆様の冒険心を尊重する、ホワイトな選抜方式です」
しかし、用意されたロケ船『アーク・ノア』のタラップは、三つに分かれていた。
■ 惑星ロケ船『アーク・ノア』搭乗区分
【VIP枠(Lv.16以上:サヨ・アリス等)】 船体上部の展望スイートへ直行。
【乗員枠(Lv.11~15:既得権益層)】 中央ハッチから搭乗。個室と温かいスープが約束されている。
【荷物枠(Lv.1~10:一般・研究生)】 後部カーゴハッチから搭乗。貨物室のコンテナ内に、各自の居住レベルに応じた「家」ごと積み込まれる。移動中の食事は支給品のパンのみ。
「あはは~、みんな大変だねぇ。私はお酒さえあれば、どこでも天国なんだけどぉ~」
Lv.20【酒樽】のうさちぁんは、いつもの姿のまま、小脇に酒瓶を抱えてタラップを飄々と登っていく。彼女にとっては、時給5,000NkQと宴会場の売上という莫大な富があろうと、お酒が飲めればそれで十分なのだ。
「うさちぁんさん……いいなぁ。あっちのハッチは、いい匂いがする……」
新人C(Lv.10)は、自分の「二階建ての家」が大型クレーンで貨物室に吊り上げられるのを眺めていた。Lv.10は「不動の壁」であり、もう泥沼に落ちる心配はない。しかし、移動中も「自分のお金(NkQ)」を増やす手段がない彼女は、支給される味気ない「白いパン」を噛み締めるしかなかった。
「……さらっと。貨物室の皆様、積み込み完了です。惑星パルミエまでの三日間、快適なコンテナ生活をお楽しみください。消灯時間は22時です。最高の夢を見る準備をしてくださいね」
ガコン、と重々しい音を立てて貨物室の扉が閉まる。 VIPたちが展望デッキで星空を眺め、うさちぁんが景気良く酒瓶を開ける音が響く中、新人たちは暗いコンテナの中で、次の撮影で「パン以外のおかず」を勝ち取るための作戦を練り始めるのだった。
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新人C(Lv.10/荷物枠): 揺れるコンテナの中で「家があるだけマシ……」と自分に言い聞かせ、パンをかじる。
うさちぁん(Lv.20/VIP枠): 「果林~、この船の冷蔵庫、全部私のお酒で埋めていいかなぁ?」と、相変わらずのマイペース。
咲姫(総監督): 「これからは、誰も涙を流さない(とカメラに映る)物語だけを撮り続けるのですー!!」
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大物有名人(極楽在住)と一緒の船で惑星規模の映画撮影
夢がありますね。でも現実は…貨物扱い
うさちぁんは、どれだけ金を持っていても酒を飲んでいるのが一番しっくりきます。
「希望すれば行ける(ただし貨物)」というホワイトな選択。
次は惑星パルミエに到着し、いよいよ「豪華客船のようなVIPキャンプ」と「サバイバル状態の研究生」の対比が始まる撮影本番です!




