ep.167 防衛線
鐘の音が、町に響き渡った。
警備隊詰所では、すでに装備が整えられていた。
カミラは、地図の上に手を置き、短く命じる。
「ミヤ、北門。カインとアベルは南へ。
私は中央通りを抑える。……動いて」
「了解!」
ミヤが駆け出し、他の隊員たちも散っていく。
町の空気が変わっていた。
風ではない。
火でもない。
それは、“牙を持つ気配”だった。
カミラは、腰の剣を確かめる。
鞘の奥で、刃がわずかに鳴った。
「……火を持って立つ。それが私たちの役目」
通りの先に、黒い影が見えた。
獣のような、けれど人の形をしたもの。
モンスター。
カミラは、剣を抜いた。
その刃に、夕陽が反射して、赤く光る。
『秩序の火・漆
防衛線。
火は、剣にもなる。
町を守る者たちが、
その火を掲げて立つ。』
カミラは、ひとつ息を吐いた。
そして、前へ踏み出した。
“秩序の火”漆つ目は、防衛線。
火は、灯すだけではなく、
“掲げて立つ”ものでもあります。
カミラたち警備隊の火は、
町の秩序を守るために燃えている。
モンスターの気配が濃くなる中で、
この火がどこまで持ちこたえられるのか——
それもまた、記録されていくのでしょう。
また、次の火で。




