表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラフトアルケミストの異世界素材録 〜スローライフから始まる概念破壊の銀河群像劇〜  作者: モカルドルラテ(ねこちぁん)
閑話~GW用普通の章~【酒フィンクス】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1541/1784

Spks.07:格上げの二つ名と、崩れる壁なのです

三つの光が、砂漠の熱を吸って怪しく明滅する。

光はただの光ではなく、概念そのものの“塊”であり、触れれば人格の輪郭すら書き換えられそうな圧を放っていた。


うさちぁんは、酒樽に積んだ「おうごん(プラチナ)」の重みに腰をさすりながら、今度は慎重に光を見つめていた。


「……うさちぁん。言っておくですが、また『おうごん』を選んだら、今度こそこの拠点が自重で崩壊するのです」


咲姫が、釘を刺すように銀スプーンを向ける。

そのスプーンの影が、砂の上で勝手に“警告文”の形に変わった。


新平も必死に頷く。


「そうです!これ以上プラチナを増やしたら、床下の概念構造が持ちません!ここは『二つ名』を選んで、キャラとしての格を上げるべきです!」


「えぇ~?でもぉ、この文鎮もキラキラしてて……あ、でも『概念を呑む者』って、なんだか強そうよぅ~!これにするよぅ~!」


うさちぁんが【二つ名】の光に触れた。


その瞬間。


ドォォォォォォ……ッ!!


雷鳴のような音が響き、うさちぁんの体が淡い光に包まれる。


光は彼女の背後に集まり、巨大な「酒樽の影」が実体化した。


その影は、砂漠の空を半分ほど覆い尽くし、影の内部には“底の見えない液体”が揺れていた。


「……ふん。格を得たか。だが、格とは『境界』を壊す力でもあるよぅ~」


酒フィンクスが意味深に呟いた直後。


パリ……ッ。


乾いた音がした。


「……?何なのですか、この音は」


咲姫が振り向くと、そこにあったはずの「青い空(砂漠の空)」に、巨大なひび割れが入っていた。


ひびの隙間から見えたのは――


砂漠ではなく、拠点のキッチンの煤けた換気扇だった。


「ひ、ひびが入ってます!砂漠の世界が剥がれ始めてますよ!」


新平が絶叫する。


うさちぁんが「二つ名」を得て、存在としての概念密度が上がりすぎたせいで、偽物の砂漠(部屋の変異体)が彼女の存在感に耐えきれず、裏側の「現実」を露呈し始めたのだ。


「ルール違反なのです!景色が混ざって、視覚的に非常に気持ち悪いのです!」


咲姫が怒るが、事態は止まらない。


足元からは砂が溢れ出し、頭上からは「部屋のシーリングライト」が砂漠の太陽を突き破って現れる。


壁の一部は砂漠の石壁に、別の部分は拠点の白いクロスに戻り、その境界はぐにゃりと溶けていた。


「……余白が、漏れ出しているよぅ~。ピラミッドの最深部が、お前たちの『日常』と混ざり合おうとしているよぅ~」


酒フィンクスの体が、砂となって崩れながら風に溶けていく。


「急ぐがいいよぅ~。次が、最後の試練よぅ~……」


崩れゆく砂漠と、歪んだ部屋。二つの世界が混濁する中――


一行はついに、「王の間」へと続く、最後の階段を見つけた。


階段は砂でできているのに、踏むと“フローリングの音”がする。


世界が壊れ始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ