表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラフトアルケミストの異世界素材録 〜スローライフから始まる概念破壊の銀河群像劇〜  作者: 島田一平(ねこちぁん)
水の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/1046

ep.120 風花のささやき

浮島の朝は、静かだった。

風花がふわふわと舞い、

空気はほんのり甘く、どこか懐かしい。


「この島、音がやわらかいな」

孝平が、足元の草を踏みしめながら言った。


「風が音を包んでるんです」

ルアが、そっと風花を拾い上げる。


「この花、咲くときに“記憶の音”を吸い込むんですよ。

 だから、耳を澄ませると……」


ルアが花を耳元に近づける。

その瞬間、かすかに――


「……おかえり」


誰かの声が、風に混じって聞こえた。


「今、聞こえた」

ルアが目を見開く。


「誰の声?」

孝平がのぞきこむ。


「わかりません。

 でも、たぶん……この島に来た誰かの、記憶の残響です」


一方、ミミルは風花を髪にさして、

島の奥の小道をぴょんぴょん進んでいた。


「ねえねえ、ここ、なんか懐かしい気がする~」


「来たことあるのか?」

ヒメルが後ろからついてくる。


「ううん、ないよ~。でも、なんか……

 “ここでかくれんぼしたことある”みたいな感じ?」


「それ、記憶の花のせいじゃない?」


「えっ、じゃあ、わたし、誰かのかくれんぼの記憶で動いてるの~!?」


「……まあ、ミミルならありえる」


「えへへ~、じゃあ、もう一回かくれよ~っと!」


そのころ、ソレイユはひとり、

島の端に立っていた。


風が、彼女の髪をやさしく揺らす。

胸の“名前の種”が、また少しだけ熱を帯びた。


「……この風、知ってる気がする」


でも、思い出せない。

名前も、場所も、誰の記憶かも。


ただ、心の奥が、

ふわりとほどけるような感覚だけが残った。

風花に宿る“記憶のささやき”が、

火の輪の面々に、そっと語りかけてきました。


ルアの耳に届いた「おかえり」、

ミミルの“かくれんぼの記憶”、

そしてソレイユの胸に触れた、名もなき風。


この島は、ただの寄り道じゃなさそうです。


次回は、浮島の奥で見つかる“風の記録”。

朝の終わりに、ひとつの扉が開きます。


Von Voyage――記憶の花が咲く島で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ