第十二話
「どぅわぁああああああ――――――っっっ!!!」
「…ッ!?」
思考をぶった斬るような絶叫と共に、人間が宙から飛んできて一直線にヴァルの沼に墜落した。
「ごぶぁあ゛っ!!ぐぶぉほっ、ぐぉぼぼぼぉ゛お゛…っ!!」
墜落したのは私と同年代の若い男で、男は手足をばたつかせながらヴァルの沼の中で溺れた。
『何だこいつは』
「ヴァ、ヴァル、一応助けてやってよ」
黒の金属線が何本も男に巻き付き、その体を沼の上に引き上げた。男は海中から引き上げられたゴミか何かの様に、ぐったりとしたまま姿を現した。ヴァルはそのまま男を沼の上に落とし、男の体はベチャッ!と沼の上へうつ伏せに着地した。
私はいきなり頭上から落ちてきた相手を警戒して近づかず、それは傍らの峰さんも同じだった。
「はぁっ…う゛ぐ、ぐぇえ゛…っ!!気っ色悪ぃ゛い゛っ!」
男は体を起こして四つん這いになりながら、ゲホゲホと咳き込んだ。
「あの野郎おっ、俺ごと吹き飛ばしやがって…―――あれ?何ここどこなの…ってぅおわあっ!?」
男は自分が今どこに立っているのか気付くと、慌てて立ち上がった。
「黒ぉおっ!?何だよこれっ!?」
男はパニクった様子で辺りを見回し、私とバチッと目が合った。
年齢はちょうど私と同じくらい、身長は170前半の中肉中背。日に焼けた肌にくしゃくしゃの黒髪の短髪に濃い眉。茶色の瞳は人懐っこそうに明るく、少し厚ぼったい唇はいつも笑っているように口角が上がっている。
オレンジのパーカーに濃い紺色のジーパン、その上に黒のコートを羽織り足元は青のスニーカーだった。
もし同級生だったとしたらあまり付き合いはしなさそうな、いかにも調子のいい三枚目といった感じの男は私と目が合うと、パッと表情を明るくして口を開いた。
「あっ…どもおっ!俺すっげぇ怪しい奴かもしんないけど、決して怪しいもんじゃないですよぉ~」
男はそう言って、能天気な顔でニコニコと笑いながら手を振った。
(…何だか、すっごく間抜けな感じの奴だな…)
まるで陽気なゴールデンレトリーバーのような、憎めないけど頭の悪い感じが全体から漂ってくる。あまり関わり合いになりたくないタイプの人間だ。でも何も喋らないという訳にもいかず、私は渋々と男に答えた。
「その床――…私の能力でそうなってます。あなたに害意が無い限りこっちも何もしないんんで、一応安心して…」
「あぁあ~~っ!!あんた、さっき化け物にデモンストレーションさせられてた人だ!?」
男は驚いた顔で私を指さして叫んだ。
「いや~お互い災難っすね。あ、俺の名前は…」
緊張感のまるでない笑みを浮かべて、男はこちらに近づこうとした。
『おい貴様、不用意に薫に近づくな』
「ぅわっ!?」
沼から金属線が何本も突出し、男の歩みを止めた。
「なな、お、俺に敵意なんて無いって!女性に手ぇ上げるなんて、んな最低なことするわけないだろっ!?」
男は必死に両手を振って言うと、助けを求めるように私を見た。
「…変なことしたら、沼に沈み込ませるからね」
男はカクカクと何度もうなずいた。
「ヴァル」
『人間が増える一方だな』
嘆かわしいと言わんばかりの口調でヴァルは言い、影の金属線を沼に戻した。
「いやぁ~あんたの力凄いよなぁ。ここら数メートルが、全部沼になってら」
男が私達の前にやって来た、身長は164センチの私より10センチくらい上か。男は曇りのない眼でまっすぐに私を見て、なぜかその視線に私は内心ぎくりとなった。
「…別に。ねぇ、悪いけど具合悪いならまだしも、あんた別にどこもケガしてないでしょ。なら、さっさとここから出てってほしいんだけど」
男はギョッと顔色を変えた。
「何だよ!?俺等まだ自己紹介だってしてないのに、そりゃないだろ?あ~俺は吉永淳一、17歳。で…あんたは?」
「……」
何だか―――こういういかにも能天気で、調子の良さそうな奴なんかと仲良くなりたくない。学校にいた頃はこんな奴等が調子に乗って、私がいじめられているのを周りで愉快そうにはやし立てていたことが嫌でも頭に蘇って来る。私はそのまま不機嫌に黙り込んだ。
「――…私は、峰千里よ」
峰さんが先に自己紹介をし、うかがうように私を見た。あーもうっ!
「…楠森薫」
「峰さんに、楠森さん、と。なぁ楠森、見たとこ俺等ちょうど同い年ぐらいじゃね?」
もう呼び捨てかよ、と内心舌打ちしつつ私は低い声で答えた。
「さぁ、どうでも良い。自己紹介も終わったし、もう…」
「だぁあああ!!俺今、外に行きたくないの!察してくれよ、楠森ぃっ!」
吉永は実に情けない表情になって訴え、私は苦み走った表情になって吉永を睨んだ。
「楠森さん…私が言えた義理じゃないけど…この人悪い人じゃなさそうだし、外はあんなだしもうしばらくの間だけ…」
「な?頼むよ~。何かやたら疲れが襲ってきて、そしたら嵐に巻き込まれて吹っ飛ばされちまうし、さんざんでさ~…」
拝み倒す勢いで吉永は続け、私の口からは大きなため息が出た。
「じゃあ10分くらい…後はどこか行って」
「ッ!!ありがとな楠森っ!お前意外と良い奴だなぁ」
(ったく…一々大げさに一喜一憂すんじゃねぇよ。こういうタイプほんと無理)
喜色満面の吉永は、一人でうんうんとうなずいている。
「あの…吉永君も生き残ってるってことは、あなたも覚醒したってことなのかな」
「あっはい!俺の能力は…」
吉永が続けようとした、その時。部屋中に鈴を打ち鳴らす音が大音響で響き渡った。
「――ッ!?」
「な、何だあ?」
私達の様子を、頭上で滞空しながら眺めていた魔神アシャ・ワヒスタが、満足感のにじんだ表情で両手を広げると高らかに宣言した。
『活動を止めよっ!!小物どもよ――…今すぐこの部屋から立ち去れ。生き残った撰定者達は、そこを動くな』
『キィ…ッ!』
『キキキッ…』
魔神の命令を合図に、あれだけ攻撃的だった魔物達が、潮が引くようにぞろぞろと私達から離れ部屋を出ていく。
「…第一関門終了ってこと?」
『薫』
最後に残っていた数匹を平らげたヴァルが、影の沼から水柱の様に影を立ち昇らせると私の肩に着地し、影を収束させチビ獣人の姿をとった。
それと同時に影の沼は数メートル四方から、一メートルくらいに音も無く縮小した。
「ヴァル、具合はどう?」
ヴァルはふんぞり返って腕を組み、満足げに盛大な鼻息をもらした。
『実に有意義な時間だったぞ!もっと長時間でも良いくらいだ』
実に頼もしいそのちっこい姿に、私は思わず吹き出してしまった。
「え何、そのちっこいのが、沼作ってたのの正体?」
吉永が物珍しそうに、ヴァルをあちこちから眺め回した。
『誰がちっこいだ!我は利便性を鑑みてこの姿を取っておるのだ!貴様など豆粒に見えるほどの巨体にだって、なろうと思えば我は簡単になれる!!』
「もぉ~ヴァル、耳元で怒鳴らないでよ…」
私はヴァルから頭を離しながらぼやいた。
「…あなたは、ダイモンという精霊なんですか?」
峰さんの質問にヴァルは大きくうなずいた。
『その通りだ。お前達は見たところ、自身でソーマを消費するタイプのようだな』
「え、ソーマって、何ですか?」
『それはだな…』
『ほほぉ…終わってみればこの程度か――…覚醒を果たした撰定者に祝福あれっ!!さぁ…こちらに来るが良い――…』
魔神が手を招くと途端に私達の全身が黄金の炎に包まれ、体がフワリと浮いて魔神に向かって上昇し始めた。
「だあーっ!!またこれかよっ…」
「…っ…嘘でしょうっ…」
「―――…」
私が地上を振り返ると、そこには3、40人は下らないほどの魔物によって体を貪られた人達の遺体が点々と残り、それを認めた瞬間私の全身に鳥肌が立った。
(…これが現実――…紙一枚の差で生き延びただけだ)
「…酷いよな」
「え?」
傍らを振り向くと、吉永が真剣な表情で地上を見下ろしていた。
「せっかく生き残ったのに―――…自分が生き残るのに必死で、誰も助けてやれなかった」
(こいつ…こんな表情になれるんだ…)
その横顔はさっきまでのおちゃらけた表情が嘘のように真面目で、目には本気で相手を悼む厚い情がにじんでいる。内心意外に思いながら、私は地上に目を戻した。
「…仕方ないだろ。人を助ける暇なんて無かったんだから」
すると吉永がこちらを見て、なぜか嬉しそうに笑顔を浮かべた。
「お前は凄いってことだよ、楠森」
「はぁ?」
「だってお前、ちゃんと人助け出来ただろ。峰さんに、俺」
私は言われたことにピンと来なくて反応が遅れた。
「―――ありがとな、楠森」
吉永はそう言って、思いきり笑顔になった。
「…っ…ば、馬っ鹿じゃねえのおまえ!そんなの、ただお前が弱いってことなだけだろっ!!」
「ぬ゛あっ、何だよ!人がせっかく純粋に感謝の念を述べてるってのに、その言い草はあ…!」
「うるっさい朴念仁!お前みたいな奴ほんっとウザいっ!!」
吉永はガアンッ!!とショックを受けて、傷ついた表情になった。
「お、お前、そりゃ言い過ぎだろ…」
私はそれ以上こいつの相手をしたくなくて、顔を背けて相手にしなかった。その実内心は、何の衒いも無い吉永のあまりに純真な笑顔を見せつけられ、動揺しすぎた心臓がバクバクとうるさく鳴っていて、それを必死で隠すために私は思い切りしかめ面を作っていた。
(馬鹿かあいつっ…ほんと、何不自由なく愛情に囲まれて育ったって感じの―――…ふざけんな、勝手に好意押し付けて、そうすれば自然に相手がまた助けてくれるとでも思ってんだろ…!)
黄金の炎に包まれた私達は、魔神の胸部辺りに集められた。
近くで私達を見下ろす巨大な魔神アシャ・ワヒスタの細部までがつぶさに見え、その凄まじいリアル感や人間離れした複数の瞳の威圧感に、皆一様に息を呑んで身を固くした。
『ふむ―――…生き残ったのは19名か…皆一様に試練を経て、いい面構えになったではないか』
私達は固唾をのんで緊張しながら、上機嫌な様子の魔神を無言で見つめた。
『――ー改めて、ぬし等撰定者に敬意を表し自己紹介しよう。儂は、この黄金胎蔵界において最高位の種族―――…魔神、アシャ・ワヒスタである』
見えない衝撃が人間達の間を駆け抜け、激しく動揺させた。
『儂は正義と勝利を司る神ゆえ、何よりも戦闘を好む。ぬし等撰定者の戦いぶりは、実に見事であったぞ。…だが、これはまだ序の口に過ぎぬ。ぬし等は更に強くなれるはず―――…儂はその様が見てみたいのだ!!』
(クソがっ…!んな身勝手な理由で――…要するに盤上の駒みたいに、お前のために殺し合えってことだろ!)
自分の命をまるで我がものであるかのように話す目の前の魔神に反感を覚え、私は強く奥歯をかみしめた。
『だが今は――…ぬし等は激闘を切り抜けたのだ。ゆるりとその身を休めるが良い―――ー“ジャドガラ”』
魔神が呼び掛けると傍らに黒紫の炎が渦を巻いて現れ、その中から5つの銀の瞳がギョロリと眼を開いた。
『――ここに』
黒紫の魔族は、5つの目を伏せて魔神の傍らに恭しく控えた。
「…ッ!!」
(あいつだ…!)
新たな魔物の出現に、人間達の間に緊張が走った。魔神は鷹揚な態度で私達を見下ろすと言った。
『ぬし等には、その授かった貴重な能力をさらに磨いてもらいたい。そのためにはまだ、ぬし等を解放することは出来ぬ。そこで――…』
魔神が促すと、ジャドガラが後を引き取った。
『わしの能力により、これからお前達に手足錠を付ける。抵抗など無駄だと、今のこの状況を鑑みれば分かるだろうな?そのまま動くなよ』
ジャドガラは銀の瞳を細めてそう凄んだ。黒紫の炎が触手のように伸び、それぞれの人間の手足に届いて巻き付いていく。
「うわっ…」
吉永が掲げた両腕の間にも、炎は橋を架けるように錠となって巻き付いた。
『その手足錠は、我が主の神殿内ならばお前達の行動を制限はしない。…だが神殿から出れば、炎は自動的に温度を上げ、お前達の全身を火だるまにして消し炭に変えるだろう。炎や水の能力を使えばこの錠から逃れられると思うのは早計だぞ、わしの炎は魔力の炎…簡単には消えぬ。また我が主や、わしに対して能力を使用した場合もしかりだ―――…よくよく覚えておくがいい』
『我が神殿を案内する召使いを、それぞれに用意した。これから先14日間の間、ゆるりと休まれよ客人。ではまた―――…儂とは14日後にまた会おうぞ』
魔神が話し終えた途端その全身から黄金の炎が噴出して魔神を包み、その場にいた全員を巻き込んで燦然ときらめいた。
「―――ッ!!」
目を焼かれるほどの眩しさに、顔を逸らして強く目をつむった私の全身を炎が温度を一切感じさせずに吹き荒れた。勢いが弱まるのを肌で感じ、恐る恐る目を開いた時――――目の前に確かにいたはずのジャドガラとアシャ・ワヒスタの巨体は、忽然と消えていた。
私の体は弱まる黄金の炎と共にゆっくりと床へと降下していき、足が床に着地した瞬間炎は完全に消え、後に残されたのは半ば呆然自失とした人間達だけだった。
「ヴァル…―――魔神って、凄まじいね…」
左肩に乗ったチビ魔獣のヴァルに、私は力の抜けた声でそう話し掛けた。何もかもが全て夢か魔法のようで、いまいちリアリティが実感出来ない。
『うむ。今の我では到底及ばぬ存在だ―――…さて薫、これから…』
『ご主人様…よろしいでしょうかぁ』
「…ッ!?え、私…?」
突然掛けられた何だかフニャフニャとした声に驚いて振り向くと、そこには薄灰紫色にぼんやりと光る“幽霊”が、フワフワと宙を漂いながら上目遣いでこちらを見上げていた。
体長は20センチほど。体はスケルトンで、タコの干物に良く似た半透明の骨格が透けている。小鬼のような顔は目の下のクマのせいでどこか陰気で、人間のものでない薄白黄色の生気を失った大きな目が、何だかちょっと不気味だ。
『私めは…我が主アシャ・ワヒスタ様より、あなた様のサポートを仰せ仕りましたものでございます…』
「あ、はぁ…」
『こいつは幽鬼の中でも低級の、“プレータ”だな』
「プレータ…?」
『“餓鬼”の事だ』
『私めはこれから、あなた様を宿泊する場所にご案内いたしとうございますがぁ…いかがなされますか?』
「部屋まで案内してくれるってこと?―――…ちょっと待って」
私は辺りを見回した。周囲の人達は、私と同じように微妙にそれぞれに色が異なる餓鬼と対面していた。
見た所若い世代の人が多い気がする。その中には巨大なバイクに乗った厳つい男や、峰さんに、なぜか餓鬼とヘラヘラと笑いながら話している吉永がいた。
「ヴァル…確か魔神は、生き残ったのは19人って言ってたよね」
私は小声になって話し掛けた。
『ああ、薫…もしかして我々は、この者達と戦うことになるかもしれん。だとしたら、こいつらは味方などではなく、皆敵だ』
「うん…私もそうなるんじゃないかと思ってる。さっさとこんなとこから脱出したいけど…―――これじゃあさ…」
広げた両手首の間には糸のように細い黒紫の炎が相変わらず燃えていて、私は眉をしかめた。
『一週間―――…なぜか明白ではない状態で設けられたこの猶予期間が、我は魔神のたくらみではないかと感じる。…言葉通りに、悠長に休んでいる場合ではないだろうな』
やがて周囲の人達は、自分と世代や性別が同じもの同士で何人か集まって、深刻な表情で何かを話し合い始めていた。
「…私も、誰かと手を組んだほうがいいのかな、ヴァル。でも一週間後の戦いが、個人戦だったら…」
『うむ…相手に能力を知られるリスク、相手の能力を知るメリット…難しい所だな』
「ねえヴァル、魔神は、撰定者同士の戦いは禁じて無かったよね」
『――…ッ!!ああ。だとしたら…』
「この一週間…何も動かない奴がいるなんて、思わないほうがいいかも。あっ、ねえ、あんた…」
私は今でも私の命令を待っている様子の、薄紫の餓鬼に声を掛けた。
『“スラ―”と、ワタクシめのことはお呼びください、ご主人様…』
「あぁ、スラーね…私の方はご主人様じゃなくって、楠森って呼んで」
『かしこまりましてぇ、ご…クスモリ様ぁ』
「これから一週間、休みなわけでしょ。その間にしていいことや悪いことみたいな、具体的なルールはないわけ?」
『あぁ…いくつかございます。何についてお知りになりたいので?』
「―――…撰定者同士の殺し合いは?」
『それはいけません…我が神であるアシャ・ワヒスタ様は、19人そろっての試練の参加を望んでおられますので…』
私はヴァルと顔を見合わせた。
「なら…人間同士の戦闘行為自体は?」
『それは、相手を先頭不能…つまり、一週間後の試練に参加出来なくなるほどの重傷は、禁止されております…』
「―――…じゃあ私が、さっきの魔物みたいなのを一週間の間に倒して融合することは?」
『…それは特に禁止されておりませんので、どうぞご自由に』
私は考え込みながら、更に質問した。
「…その場合、襲ってはいけない対象は魔神に、あのさっきのジャ、ジャガ…」
『ジャドガラ様でございますね。それに加えるなら、ワタクシめのような撰定者の方々のお世話を任されているものも、融合の対象からは外されております…』
私はヴァルに目配せし、ヴァルはうなずき返した。
『つまりこの一週間という期間は、我々の実力をより高めるための猶予期間というわけか。どこまでも戦闘狂の考えだ』
「この期間ですべき事は、ライバルになり得る他の撰定者の能力の把握。その実力や性格に―――…それと、自分の実力の強化か…」
少なくとも二人は分かっている。峰さんのケーキの能力に、バイク男の能力。後は確か雷に、嵐もあったよな…。
「すみません!!少しいいですか!」
その時一人の男性が大声を上げ、周囲の人間に向かって呼び掛けた。