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セツなきミライは砂時計にながされて  作者: すずと
加古川未来編~一週目の恋人~
87/100

第一一話 卒業旅行の計画

 恥ずかしいだのなんだのとほざいてみたは良いものの、結局は互いに、あーんをしあって食べたオムライス。


 側から見たら、リア充爆発しろ案件だったろうが、家の中なので許して欲しい。外じゃこんなことをする勇気がないです、はい。


 時刻は昼下がりど真ん中な午後二時前。三時間クッキングは作って食べ終えるまでが三時間だったみたい。本気で三時間かかって未来と爆笑してしまったよ。


「駆け巡れ、私のビート!」


「スタートと同時にエンストしてんぞ、あんたのビート」


 お昼を食べた後は居間でレースゲームをおっ始めた。


 未来が、「たまにはゲームしよっ」なんて言ってくれるもんだから、世界的に有名な配管工が主人公のレースゲームをやっている。


「巻き返せ、私のスタービート」


「明後日の方向に行ってるぞ、あんたのスタービート」


 ちなみに、未来は超ド下手である。


「ふぃ……。今回はこのくらいで勘弁してやるか」


「最下位がなにをほざいてやがるのか」


「もう一回やる? やる?」


 下手なのに楽しそうにしている未来を見ると、ゲームの価値は楽しんだもん勝ちってはっきりわかんだね。


 でもな、でもなー。なんか圧倒的に漂うこれじゃない感。


 せっかく美人の彼女を持っているってのに、これじゃいつも通り過ぎる。


「んー? 世津、なんか楽しそうじゃないね?」


「いやいや。未来とゲームするのは楽しいよ。めちゃくちゃ楽しい。でも、せっかく未来の受験が終わって自由にデートできるってのに、これじゃいつもと変わらんなぁと」


 唇を尖らせて拗ねた様子を見せると未来がくすりと笑った。


「しょうがないよ。雨だし」


「雨だもんなぁ」


「ま、お外のデートはお預けだね」


 言いながら頭を撫でられてしまう。


 いつもなら手を振り払うだろうが、拗ねた俺の気持ちがなんだか和らいでいくのがわかり、素直に撫でられておく。


 未来に頭を撫でられるってこんなにも心地よかったんだな。なんだか今まで振り払っていたのが損だと感じちまう。


「今度、絶好のお出かけ日和になったらさ、世津のバイクの後ろに乗せてよ。遠くに連れて行って」


「あてなき旅みたいな?」


「あ、いいね。卒業したら旅に出よう。世津のバイクで。それで疲れたら適当な温泉旅館に泊まってさ」


「卒業旅行だな」


「彼氏と卒業旅行なんて最高だよ」


 素直にそんなこと言ってくれると、未来はお姉ちゃんっぽい笑みで、弟に言い聞かすように言って来る。


「その楽しみのために今は我慢だよ」


「そうだな。今は我慢して、卒業旅行で発散するとしよう」


「そうと決まれば、さ、もう一試合、行くよ」


 やる気がみなぎってみえる未来はテンション高く言い放つ。


「燃え尽きろ、私のハート」


「スタートからエンストして燃え尽きてんぞ」

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― 新着の感想 ―
[一言] 昔と違って、今は卒業式の時期もまちまちになってきているそうで。国立の発表前に卒業式してしまう事も多いとか(少なくとも、落ちた… という状況で卒業式に臨まなくていいから、とか)。 まあ彼女は、…
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