序章『多分、コシヒカリが世界遺産に登録される確率よりも低い。』
一人称(A《表》)
あと少しで世界は滅亡するらしい。なんで? って思うだろう。俺もそう思う。世界のトップがいうには、ディナクルとかコナクルとかいう彗星が降ってきて地球に衝突する、らしいが、正直実感は持てない。だって、地球が誕生してからもう何億年も経ってるんだぞ? 今更滅亡するもんか?
「出席番号9番、黒谷明人」
おっと今授業中なんだった、いっけね☆
先生に名前を呼ばれた俺は、教壇へ向かう。
……それにしても。世界は今日も平穏な日常を保っている。地球が滅亡するというのにも関わらず、だ。まぁそれもそのはず、実は彗星が地球に衝突する可能性は0.5%にも満たないのだ。そう、0.5%。多分、コシヒカリが世界遺産に登録される確率よりも低い。だからまぁ、地球滅亡なんて陰謀論を信じてる奴なんざ誰もいない。
ふと、教壇から自分の机へ帰る道中で、一人の少女が視界の端に映る。彼女の名前は佐川透子。綺麗な黒髪を肩まで伸ばした少女だ。俺が密かに思いを寄せている人でもある。
もしも地球がホントに滅亡するんなら、その前に佐川に告白しなきゃな。そう覚悟を決める俺だった。
地球滅亡まであと3日。