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忘れじの契約  作者: 朝露ココア
5章 晩冬堕天戦
88/105

6. 記念ライブ#1

『【#レヴリッツ10万人記念live】初ライブ! Oathのみんなと歌う!!

 【レヴリッツ・シルヴァ/Oath】』


〔待機〕

〔きたああああああああ〕

〔待機〕

〔俺も現地行きたかったなー〕

〔人の数すげえ〕


 ドームの中央には巨大なステージ。まぶしい光が夜闇の中で煌々と輝いている。

 周囲には無数のスクリーンとドローンが浮かび、このライブにかけられた金額は伊達ではないことが窺える。


 席は人で埋め尽くされていた。

 エジェティル主導の広報と、これまでのレヴリッツの活動。あらゆる導火線がつながり、ほぼ満席に至るまでドームの席を埋めることができたのだ。


〔外国勢だから配信たすかる〕

〔ドローンの数がやばいw〕

〔エビがここまで成長するなんてなあ……泣〕

〔現地組も楽しめよ〕


 そして舞台裏では。


「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん……コ゜ッ……!」


「シュッシュセンパイがバイブレーションしてる……」


「当たり前じゃないですか……こんな大規模なライブなんてこっ……初めてですよ。いくらライブ慣れしてる私でも、これは緊張しますします……ん゛」


 Oathの面々がライブの準備を進めていた。

 驚くべきことに、四人の中で最も緊張していないのはレヴリッツだった。


「安心してよ、みんな。

 今回のライブはあくまで僕主催のものだから、そこまで気負わなくてもいい。

 リハーサルやってないけどね! はははは……」


「そうだぞ、レヴリッツ。お前がリハーサルはしたくない、なんて言うから俺たち三人で練習するハメになったんだからな?」


 リオートの責めはもっともだ。

 レヴリッツは今日という今日に至るまで、Oathで歌の練習を行ってこなかった。


 理由は単純。自分の成長を本番で見せたいから。

 これまでレヴリッツは、他のメンバーに比べて歌唱スキルが劣っている自覚があった。視聴者だけではなく、共に歩んできた彼らにも自分の成長を感じ取ってほしいと思う。


「大丈夫、僕が合わせるから。新曲は僕ソロの曲しかないし」


「まあ、噛み合わないところがあれば私がカバーします。一応先輩ですからね、いちおう」


「ありがとうございます、先輩。リオートとヨミもよろしく!」


「おう。がんばろうな」


「うん! 最高のライブにしようね!」


 皆の準備を確認したレヴリッツはコメントを確認する。


〔あと五分!!〕

〔わくわく〕

〔現地から二窓してる〕

〔(三・¥・三)つ♪〕


「オーケー。行ってくるよ」


 まずはレヴリッツ単独での登場だ。

 彼はチームメイトに見送られ、ステージへ向かう。


 最初から最後まで、全力のパフォーマンスを届けて魅せる。


 -----


 照明が暗転。ステージは期待をはらんだ静寂に包まれた。

 熱気と高揚と、ほんの少しの緊張感。


 わずかな沈黙を破り、スポットライトが降り注ぐ。

 ステージに立っていたのは今日の主役。


「『レヴリッツ・シルヴァの十万人記念ライブ』へようこそ!!

 ファンも初見も、誰でもライブを楽しんでいってほしい!」


〔きたあああああああああ〕

〔レヴリッツや!〕

〔でたあああああああああああああ〕

〔推し、です!!〕


「さあ、今日は最高のライブにしよう!

 一曲目──『オリジンコントラクト』」


 同時、ステージ周辺が淡い青色にライトアップされる。

 空を飛ぶドローンにはMVの映像が映し出された。


〔オリコンきたあああああああああ〕

〔うおおおおお〕

〔エビの代表曲!〕


 オリジンコントラクト。

 レヴリッツが投稿したオリジナルMVの中で、もっとも再生数が伸びた曲だ。

 初めて100万回再生を超えた曲でもある。


 力強さとスピード感を重視した曲で、歌詞はややダーク寄り。

 これまで投稿していたメロディーから一転、激しい曲調へと切り替えたところ再生数が大きく伸びた。


 だが、これまで歌った『オリジンコントラクト』は大きく異なる点がある。

 それは……


『──♪』


 歌声だ。

 レヴリッツの歌声は、入りから強烈な衝撃を聴き手にもたらした。


〔!?〕

〔うっま〕

〔歌うまくね?〕

〔かっけえ〕


 これまで何度もライブ配信で歌うことはあった曲だが、それまでとは一線を画している出来だ。

 エジェティルの下で訓練した結果、彼は人を惹きつける歌声を手に入れた。


「レヴリッツ……あの歌い方は……!?」


「レヴ、すごいね……!」


 舞台裏、Oathの皆も衝撃を受ける。

 リハーサルをしていなかったため、彼がここまで上達していることを知らなかったのだ。


 最も驚いているのはペリだった。

 彼女はパフォーマーとしての歴が長い。だからこそ、レヴリッツの成長はあり得ないと知っている。


「すごい……あの輝きは、まるで……」


 同時にペリは知っていた、レヴリッツの持つ輝きは「スター」のものであると。

 過去に何度も見てきた、彼女を追いこして来た天才たち……彼らの才能に比肩する輝きがある。


『──!』


 サビに入れば、もはや観客は彼以外の一切が視界に入らなくなる。

 歌唱とダンスのスキルはアマチュアの域をとうに超えていた。

 プロ級の中でも高レベルと言えるだろう。


 サイリウムが歌声と共に波を作る。

 視線、足さばき、抑揚。すべてが計算され尽くされたパフォーマンス。


〔うおおおおおおおおお!!〕

〔会場ぶちあげてけー!〕

〔推しが成長している…〕

〔今目あった!〕


 一曲目は順調に進み幕を下ろした。

 だが、まだ始まったばかり。最初から最後まで全力で挑む。


 次はOathの登場だ。

 レヴリッツは頷き、チームメンバーに合図を出す。


「……というわけで、『オリジンコントラクト』でしたー!

 盛り上がってくれたかな? これを機に僕を推してくれてもいいんだよー!」


〔もう推してるぞ〕

〔めっちゃ歌うまくなってたね〕

〔推します!!〕

〔一曲目からこれはアツい〕


「さて……次だ。

 ここまで僕が歩んできた道は、決して一人では進めなかった」


 スモークが立ち昇り、氷、炎、虹色の光と……Oathの皆を表す演出が巻き起こる。ステージ上に降り立ったリオート、ペリ、ヨミは笑顔で観客たちに手を振った。


 各々が自己紹介を終えて、いよいよ二曲目だ。


「それじゃあ二曲目。『Take in advance』!」


 『Take in advance』──ペリが昇格する直前に出した曲。

 主に女性陣がボーカルを分担し、男性陣は低音パートを担当する。クールな曲調が多いOathにしては珍しく、ポップでリズミカルな曲となっている。


〔この曲すき〕

〔元気になれる歌だ!〕

〔いいなあ〕

〔これダンスもめっちゃいいよね〕


『『──♪』』


 ペリとヨミが息を合わせて歌い出す。

 何度も練習しただけあって、連携は完璧だ。

 あとはダンスを乱さないように注意する必要がある。


(前に練習した時よりも踊りやすい……レヴリッツの動きが変わったからか?)


 リオートは女性陣の後ろで踊りながら、パフォーマンスの向上を感じ取った。

 やはりレヴリッツは異様な成長を遂げている。他のメンバーがパフォーマンスしやすいように見事な動きを見せていた。


 バックコーラスの技能も向上している。

 これまではヨミの歌声を食い気味だったレヴリッツが、完璧な塩梅で声を抑えられていた。


 ペリはステージ上から場内を見回して微笑む。


(うん……この曲を歌うと、今でも思い出せる。

 デビューしたばかりの憧れ、プロ昇格を決めた時の熱意。エリフの病気とか、アンチの粘着とか……いろいろ苦しいことはあったけど……

 やっぱり私は、この業界が好きだ!)


 揺るがぬ熱意を籠めて彼女は歌いきる。


「『Take in advance』、どうでしたか?

 まだまだ盛り上げていきますよー!」


 ペリのかけ声に場内が沸く。

 見事な連携を見せたOathは、二曲目も無事に歌い終えた。


 本番前は異様な緊張を見せていた彼女も、ステージに立てば一人前。

 場への順応速度は一番高い。


「さあさあ、このまま熱気を保って次の曲へ行こうか。

 みんな、休ませないけどいいかな?」


「大丈夫! レヴ、ガンガンいこう!」


 ヨミの頼もしい返事も受けたところで、彼は次の舞台を用意する。


 彼が指を鳴らすと同時──ステージが七色に染まった。


 

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