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弱い妖怪だって、人間なりたいんだ!       

作者: 七瀬
掲載日:2020/12/28







ボクは、妖怪の【ねこクマ】

妖怪の世界では、ボクは落ちこぼれだ。

誰も、ボクを一人前の妖怪だと認めてくれない。

ボクのお父さんは、大妖怪でね!

この妖怪の世界で、1番強い妖怪なんだ。

だから、ボクもお父さんの血を引いているからお父さんの

ように凄い妖怪になるんじゃないかとみんなに言われたんだ。




・・・でも、実際のボクは?

弱虫で、泣き虫で、甘えん坊で、怖がりなんだ。

そんなボクを誰も凄い妖怪になるなんて思わなくなった。

ボクのお父さんですらね!



お母さんは、僕に物凄く甘い女性ひとだった。

とっても優しいお母さんだったけど? ボクがまだ今より

幼かった時に、亡くなってしまった。

唯一! お母さんだけが、ボクを信じてくれたんだ!


『貴方は、私の可愛い坊や~きっと貴方は、お父さんのような

大妖怪になるわ~私だけは、貴方を信じているからね!』

『・・・ううん、もう分かったよ。それ以上、話さないでお母さん!』

『私の愛する坊や~可愛い、私の、ぼッ、お、や、』

『・・・お、かあ、さん? 死なないで! ねえ、起きてよ!

お母さん! ボクを一人ぼっちにしないで! 起きて、お母さん!』




・・・ボクのお母さんは、こうして亡くなった。

ボクは、この妖怪の世界では一人ぼっちだ。

お父さんも、ボクを落ちこぼれでどうしようもない息子として見ている。





そんな時にね?

ボクの幼馴染の【薄黒まっくろ】という男の子の妖怪からこんな事を

聞いたんだ!



『ねえ、ねこクマ、僕たちみたいな落ちこぼれ妖怪でも! “人間界”

なら? 落ちこぼれと思われないんだって! 妖怪の世界に、ずっと

居たら? 僕たちは、永遠に落ちこぼれだ! だから! ねこクマ

僕と人間界に行かないか? きっと、僕たち落ちこぼれでもいい事が

待ってるはず! どうかな、ねこクマ?』

『うん! 凄くいいね! ボクも人間界に行ってみたいよ!』

『よし! 決まりだな! 一緒に行こう!』

『うん!』





 *


 



人間界に行くには? “妖怪の森を”超えて行かないと。

ボクと薄黒まっくろは、ひたすら真っ暗な森を二人で歩いて

妖怪の森を超えたんだ!



そうしたら? 眩しいぐらいの光が急に差し込んできた。

ボクと薄黒まっくろは、こうして人間界に行く事ができたんだ。




『ねえねえ、薄黒まっくろ! ココが? “人間界”なの?』

『そうだよ! ココが、人間界だ! 人間からは僕たちも同じ人間

に見えているから心配ないよ! この世界に来たら? 自動的に

そういう風に見えるようになってるからさ~少し、ねこクマはビビッ

たんじゃないか?』

『・・・えぇ!? そ、んっ、まあ! そうだよね! 人間たちは

みんな、僕たちに違和感がないから、ボクも分かっていたよ!』

『凄い、動揺してるように僕には見えたけどね?』

『・・・揶揄うなよ! それよりこれからどうするの?』

『人間界に、妖怪の友達がいるから! 彼を訪ねてみよう!』

『・・・人間界に、妖怪の友達がいるの? 薄黒まっくろは、交友関係

が広いんだね!』

『ねこクマが、お子ちゃまなだけだよ。』

『・・・うん? 確かに、ボクは子供かもしれないけど? 薄黒まっくろ

だって! 子供じゃないか!』

『まあまあ、落ち着いて、大人になれよ! 怒ると? 寿命が減るぞ!』

『えぇ!? ウソ!?』

『嘘だよ! 僕たち妖怪は、病気や事故に遭わない限り永遠に生きてい

られるからな!』

『騙したな、薄黒まっくろ!』

『騙してないだろう! ねこクマだって、俺たちが歳を取らない事を

知ってたはずじゃないか!』

『・・・ううん、』

『ねこクマは、純粋で正直者だから! 騙されるんだよ!』

『・・・ボクが!? 純粋で正直者って? そんなはずないよ! 

ボクらは、妖怪なんだよ! 人間を騙す生き物だ! それが妖怪だろう!』

『僕は、そうは思わないよ! 妖怪だって、いい奴がいてもいい! 

ねこクマのそういうところは、嫌いじゃないしね!』

『・・・薄黒まっくろ、』

『もう直ぐ、着くよ! 僕の友達の家にね!』

『うん!』

『ほら? 着いた!』





薄黒まっくろのお友達の家は?

どうやら? 人間には見えないように結界が引かれていた。

妖怪だけが入れる結界。



【コンコン】

『どなたかな?』

『僕だよ、七味親父!』

『“七味親父!?”』

『俺の名を呼んだのは? 薄黒まっくろか?』

『うん! そうだよ!』



玄関のドアが開いた。


『おーう! 薄黒まっくろ! いつ、人間界に?』

『今着いたところだよ!』

『・・・おや? その子は?』

『僕の友達の、ねこクマだよ! 悪いんだけど、ここに僕たちを

当分、置いてくれないかな?』

『・・・ひょっとして? 家出か?』

『違うよ! これは! 独り立ちだ!』

『君もかな、ねこクマ?』

『・・・ううん。』

『君のお父さんは? あの大妖怪の大手神鬼だろう! 親父さんは

君を心配してないのかい?』

『・・・ボ、ボクは、お父さんのような大妖怪にはなれないよ!

落ちこぼれだし、ボクはボクの道を進んでいくんだ!』

『・・・フフフ、そういうところは? 親父さんに似ているな!』

『えぇ!?』

『俺は、君の親父さんと妖怪学校で一緒だったんだ! まあ、俺は昔から

落ちこぼれだったが、君の親父さんも相当な、落ちこぼれだったんだぞ!

今があるのは、人より努力してきたからだ! 君もいつか? 親父さんの

ようになれる日が来るさ~!』

『七味親父さん、ありがとう!』

『いやいや? いいけど? 君たちは、人間界で何がしたいんだい?』

『僕は、いつか? “大妖怪になりたいんだ!”その修行だよ!』

『・・・ボクは、“人間になりたい”んだ! 弱い妖怪だってもしかしたら?

人間にって、変われるかもしれない! ボクは変わりたいだよ!』

『・・・うーん? 妖怪が人間になりたいと言った妖怪は? 君が初めて

だよ! 流石は、あの親父の息子だな!』

『・・・でも? 妖怪が人間に、本当になれるの?』

『確かに! でもな、噂で聞いた事がある! 妖怪が食べると人間になる

花があるそうだ! その花を見つけ出して、食べれば人間になれるぞ!』

『じゃあーその花を! ボクはこの世界で探すよ!』

『あぁ! だが、本当に君は人間になりたいのか?』

『・・・えぇ!?』

『一度! 人間になると? 二度と妖怪に戻る事は出来ないんだぞ!

それでも、人間になりたいのか?』

『うん! ボクは、もう決めたんだ! お父さんのように凄い妖怪に

ならなくてもいい! ボクは、人間になって! ボクの道を探すよ!』

『・・・うん、そうか! そこまで、自分で決めているなら、俺も君たち

に協力しよう!』


ふたりで七味親父に、【ありがとう!】





ボクは、子供の頃からずっと思っていた。

ボクのお父さんは、妖怪の世界では大妖怪で有名だったからだ。

でも? ボクには、お父さんのような大妖怪になんかなれない!

ボクは、弱虫だし泣き虫で、甘えん坊で、怖がりだから。

ボクみたいな、落ちこぼれの妖怪が大妖怪になんかなれる訳がないよ。

だけどね? 大妖怪である大手神鬼の息子というだけで。

周り妖怪たちは、ボクを見る目が違うんだ。

ボクも、大人になればお父さんのようになれると思ってる妖怪達が

まだ、いっぱいいるんだよ。

ボクは、ボクのなりたいモノになりたいんだ!

そう、ボクは“人間になりたい!”

人間になって、普通の生活を送りたい。

ただただ、それだけがボクの夢なんだ。

お父さんと比べられない世界で、一から頑張りたいんだよ。






・・・ボクと薄黒まっくろは?

人間になれる花を探す為に、その花を人間界で探すことにした。

それまで、七味親父さんの所でお世話になる事になった。

それから、ボクと薄黒まっくろは人間に化けて人間界の小学校に

通う事になったんだ。

七味親父さんが、ボク達の保護者になってね。




『今日から、うちのクラスに転校してきた二人を紹介します!

猫山 熊次郎君と薄黒まさお君です! みんな、二人の事を

よろしくお願いしますね!』

【ハーイ!】



ボク達は、無事に小学校に通う事に成功したんだ。

見た目は、子供でも本当の歳は? ボクも薄黒まっくろも

100歳を超えている。

妖怪は、歳を取っても死んだりしないからね!

死ぬ時は、誰かに殺された時か? 事故に遭った時、病気に

なった時だ! 人間のように“老衰”で亡くなる事はない。

生きたいだけ生きられるんだ!




でも? 人間界では、小学生に成りすましている。

子供達や先生、他の誰にもボク達が妖怪だとバレないようにね。

ボクも薄黒まっくろも、人間になれる花の情報収集もしながら

七味親父さんにも、手伝ってもらった。




 *




僕も薄黒まっくろも、人間界に来て。

1年が経った、いろんな事に慣れてきて僕も薄黒まっくろも

自分が人間になったように感じていた。





・・・でも?

僕も薄黒まっくろも、人間界に来ると1年に一回。

妖怪のままで過ごさなくてはいけない日がある事を知った。

その日は、学校を二人とも休んで家から一歩も出ない事にした。

既に、結界は無くしていたので普通に家にクラスの友達が来る。

クラスの友達がボク達の心配をしてお見舞いに来てくれたんだ!



【ピーポーン】

『猫山クン! 薄黒クン! 大丈夫なの? 二人とも風邪を引いたって

先生が言ってたから! お見舞いに来たよ~』

【ゴホン、ゴホン】

『大丈夫だよ! 明日から二人とも学校に行くから! 心配しないで!』

『家の中に入れてよ! 二人の顔が見たいんだ!』

【ゴホン】

『・・・ごめんね、風邪が移っちゃうからダメだよ。』

『・・・うーん? そうだね! じゃあ、また明日!』

『うん! また明日。』





ボクも薄黒まっくろも、ヒヤヒヤして汗が止まらなかった。

ボク達二人だけじゃない! 

七味親父さんも妖怪だから、ボク達と一緒。

この日だけは、誰も外に出れない日なんだ!



『何処にあるのかな? 人間になれる花?』

『・・・さあな、誰も人間界に来て人間になれる花を見た事も

ないからな~』

『“本当はないかも知れない”って事?』

『それもある話だな。』

『・・・そんな、ボク達は人間になる為に人間界に来たんだよ。』

『・・・俺にそんな事を言われてもな?』

『七味親父さんは? 人間になりたくないの?』

『・・・俺は、ただ人間界に居るだけだ! 別に人間になりたい

訳じゃない!』

『・・・どうして、七味親父さんは人間界に行こうと思ったの?』

『前にも言ったが、俺は落ちこぼれだったからな!』

『それじゃー人間界に逃げてきたって事だよね?』

『オイ! 薄黒まっくろ、七味親父さんに失礼じゃないか!』

『・・・いいんだよ、ねこクマ! 本当の話さ!』

『僕もねこクマも、本気で人間になりたいだけだ!』

『・・・うん、そうだな!』

『薄黒まっくろ! 必ず、二人で人間になろうな!』

『あぁ!』





ボクと薄黒まっくろは、人間界に来て更に絆が深まった気がする。

同じ共通の夢をボク達は持ったからだ!

でも相変わらず、“人間になれる花”の情報がなかなかなく。

ボク達は、苦労する事になった。

更に1年が過ぎてしまった。

ボクも薄黒まっくろも、諦めかけていたその時!?

新たな情報が入る! 人間になれる花がある場所が分かったのだ。

早速、ボクと薄黒まっくろはそこに向かう。





・・・人間になれる花があるところは?

電車とバスで10時間以上かかる山奥にあった。

絶壁の一番頂上にある【一凛の花】

ボクと薄黒まっくろは、必死に登り続けた。

時には、足を踏み外しそうになりながらも二人で頑張った。

次の日の朝から登り始めて一番上に辿り着く頃には、日が落ちていた。

今にも沈みそうな夕陽が見えていた。

何とか? 上に辿り着いて、ボクと薄黒まっくろは花を見つけた。

ボク達は、花を半分に割って食べる事にした。

食べても、これといった変化はなかった。

ボク達は、直ぐに山を下りる事にした。

家に帰る頃には、クタクタになり直ぐにお互いのベットで寝てしまう。






ただ、朝起きると? いつもと違う!

変身している感覚がなく、この体が馴染んでいるような。

ボクはその事を、薄黒まっくろに素直に話す。



『何かおかしんだ!? 体がピタッとこの体に馴染んでいるような?

不思議な感覚がするんだよ!』

『ねこクマもか? 僕もだ! これって? 人間になれたんじゃないのか!』



そこに、七味親父さんが起きてきて。

ボク達、二人にこう言った。



『良かったな! お前たちは、人間になれたみたいだ!』

『えぇ!? 本当なの?』

『あぁ!』






・・・ずっと望んでいた“人間になれた!”

でも、なんだか? 寂しさもあった。

もう、“妖怪に戻れない”という寂しさだ。

それは、薄黒まっくろも一緒だった。

少し、悲しそうな顔をしている。



『お前たち! 嬉しくないのか? やっと人間になれたんだぞ!』

『・・・・・・』

『そうだね、』

『後悔しても、もう遅い! 二度と妖怪には戻れないと言っただろう!』

『・・・分かってるよ、』

『ボクも、』

『これからは、人間として生きろ!』

『うん。』

『分かったよ、七味親父さん!』





これからが、ボク達の第二の人生のはじまりだ!

妖怪の時みたいにはいかない! 年も取るし寿命もある!

病気にもなるし事故にも遭う! それでも、ボク達は人間に

なる事を選んだんだ! 必死に生きてやる!




ボクも薄黒まっくろも、覚悟を決めた!

人間として生きる事を選択したんだ。

後悔しない、人間としての人生を歩ぞ!

ボクと薄黒まっくろは、心に誓った。





最後までお読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 夢が叶ったんですね。 これから2人に良いことがありますように!
2023/04/26 18:21 退会済み
管理
[一言] 親が偉大で、それなのに自分にはその方面の才能がない。 そんな子は何かと気苦労が絶えなさそうですよね。 その方面に自分は才能がないと割り切って新たな道を探し選べるのも一つの勇気だと思います。…
[一言] 人間になりたい。 その発想に至った部分が父親の比較から逃れるためだったとはいえ、あるかどうかわからないものを探し続けることができたのは、彼に根性が備わっていたからなのでしょうね。 血の繋が…
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