宇宙ビリヤード
毎日投稿第8弾です。
よろしくおねがいします。
宇宙ビリヤード
明日、地球が滅ぶらしい。
ニュースによると、実は宇宙はものすごくでっかいゲーム盤のようなもので、カミサマとも言えるような超巨大生物たちがビリヤードっぽいスポーツをするためのフィールドだったのだそうだ。
これだけ球体がいっぱいあるというのも納得である。
各界の有能な科学者たちも口を揃えて言っていたので間違いなかった。
そして今まさに、カミサマが打ったボールが地球に目掛けて飛んできているらしい。
冗談ではなかった。
辞めてほしいと思った。
とにかくそういった成り行きで明日、地球は滅ぶらしい。
ほんとに、冗談ではなかった。
「なんていう話をさ、今お前が狙ってるこの球に住んでいる奴らが考えてたらどうする?」
ゼブレゥセ・アノストモスが言った。
言うと言っても、彼らの「言う」という行為は喉をならして口から音を出すということではなかったが、便宜上、言った。
「いや、仮にそんな奴らがいたとしても、俺はあの球を狙うから。悪いけど当てちゃうから」
ガノステラス・ブャイモルテは答えた。
答えたと言っても、彼らの「答える」という行為は以下略。
彼はビビビナルテ・ソュカルトと呼ばれる棒を構えて、太陽系近くの巨大隕石を撃ち抜いた。
巨大隕石はまっすぐ地球へ向かって進んでくる。
「うわ、容赦ないなお前! 見損なったよ」
ゼブレゥセ・アノストモスが、アノストモスの正確な一打を見て言った。
「みたいなやりとりを、今頃カミサマたちはやってんのかな」
明日地球が滅ぶと言うのに、私はそんなのんきなことを考えていた。
「いや、もうすでに球は打ったわけだから、仮にやってたとしても、もうそのやりとりは終わってんじゃないか?」
友人が言った。
「あ、そうか」
「くっそ、それにしてもそんな遊びに巻き込まれるなんてたまったもんじゃねぇよ」
「いや、遊びとは限らないだろ。世界大会とかかもしれない」
「どっちだって変わらねぇよ。巻き込まれて地球滅亡なんてあんまりだ」
わたしたちは悲しい気持ちになって、お酒を飲みながらビリヤードをした。
どうせ地球は滅亡するのだから、友人と好きに遊ぶことにしたのだ。
「でもさ、この宇宙が超でっかいフィールドならさ、逆にミクロの世界で超ちっちゃい生命体がこのビリヤード台の球に住んで生きてるかもしれないってことか」
「まぁな。だとしても俺は打つぞ。どうせ世界は滅ぶんだから」
そう言って友人はビリヤードの球を正確に撃ち抜いた。
「それにしても、もうなんかやるせないな」
ゼブレゥセ・アノストモスが言った。
「明日、キューヌ・タナューニーミスが滅ぶなんてな。ほんと信じられないよ」
「ああ、キューヌ・タナューニーミスが巨大なビビビ・ブルルクォメみたいなスポーツのフィールドだってことも驚きだしな」
二人のカミサマは世界の滅亡を嘆いた。
ゼブレゥセ・アノストモスが打った巨大隕石は、見事に地球を撃ち抜いた。
ここまで読んでいただきありがとうございました。