僕はいつもここにいた
僕には主がいます
それはもうかっこよくて優しくて強い方です
そんな人が主になってくれたのは本当にありがたくそして奇跡でした
今僕はーーーー
ーーい、おいどうしてそんなとこにいんだ」
僕は久しぶりの自分に投げ掛けてくれる言葉に目が覚めました
「え?」
「え?じゃないどうしてそんなところにいるんだと聞いている」
寝っ転がっていた僕の視界にはイライラしてそうなまだ17歳ぐらいと思われる男が立っていたまぁ僕も格好は17歳とかそのぐらいですが
この人は何を怒っているのか強く僕に言葉をぶつける
「そんなところって僕はただ眠いから木の下で寝ているだけじゃないか」
これは本当のことで僕は眠たかったのでいいところはないかと移動しながら周りを見てここがいいと木の下で寝ていただけだ
「違う、そうではない。お前は見たところここにいてはいけない者だろう」
この人は何を言っているのだろうと思いましたが確かにもしずっとこの人が僕を見ていたならいつもなぜここにいるのかと思っているのでしょうね
よく見ればこの木は昨日も一昨日もその前もずっと前も見たことがありますねまぁ何年もここにいたら何かは言いたいのでしょうね
「見たところと言われても僕の格好は緑を主としたただの服装ですよ。僕は別に忙しいわけでは」
「そうかではなぜそのような英雄の服装をしているのだ」
「…」
やっぱりばれますか
この世界は魔物が蔓延る危険な世界で人間種も獣人やらエルフやらとたくさんの種族もいますそんな中やはり悪巧みをする人たちもいるわけでそのような人達を赤い裏切り者と言いその人達から世界を守るために立ち上がった者達が今英雄と言われる者達ですその中の緑影の瞬刀と呼ばれる者が僕アルミス・エミュールです
緑影の瞬刀の特徴的な格好は執事服に似たような緑色の服に動きずらそうな深い緑色のコートを羽織った格好だ
そしてそれを僕が着ている
「そうだねこれは英雄の格好と似ているねそれがどうしたの?」
それでも僕は自分が英雄だとは言わないそれが約束だから
「どうしたのではないいくらこの場所が人目につかなくてもその格好で見つかれば重い罰が下るぞ」
そうなのです今の時代英雄達の服装、名前を模倣することは重罰なのです
まぁ僕には関係ないですがとにかく僕は約束を守るだけです
「そんなことを言われてもどうでもいいですよ、まぁあなたが国王やらに言うのであれば少しは考えを変えるかもしれませんが」
そんなことを言うとこの人はもともとイライラしてたのとあわせて更に怒気を身体中に纏いました
ここまでできるということはそれなりには強いというわけですね
「おいお前、舐めるんじゃない私は侯爵家の者なのだ国王にこの事を言えばお前は生きられないのだぞ」
とてもイライラした声で、いや少し嗤っているこれはダメですね
「そうですか分かりましたでは僕は今から帰りますよ格好はちゃんと変えますよ」
「いやいやお前私が見たんだ私は必ず父上には言わないといけないのだよ、それが嫌なら来てもらう」
その謎な思考を読んでみたいのですが顔といい声といい確実に何かを企んでますねダメだとは思ってましたがこの人も狂いましたか
「では僕は帰りますあなたはお父上にでも言っておいてください」
そう言いながら立ち上がりその人に背を向けてあるはずの無い帰路を歩くその時に見えたひどく歪んだ顔はとても哀れに見えた
その男は顔を歪ませながら自分の思い通りにならなかったことに怒りどうしてやろうかと考えながら帰路を歩く
ただその考えは一生実りませんでした家に帰るためと2歩目を踏み出した時には首は地面に落ちていた
その男の首をはねたアルミスはため息を吐き少し赤くなった空を見ながら呟く
「いつになったら貴方に会えるのでしょうか。僕はここで待っていますよずっとーーーー
ーーその男アルミス・エミュールかつて緑影の瞬刀と呼ばれた男は同じ英雄で主の男を何百年と待ち続けている
その待つ約束それはその男との死別の時だったーーーー
ーー赤い裏切り者たちの企みを崩壊させるために集まった英雄たちはようやく山奥にあった本部を突き止め乗り込んだ、だがそこにいたのは怪物いや誰もが神話として知っている魔神の姿だった
赤い裏切り者の企みは世界の改変だったそれは今の国、街、村、人の集まる場においての差別の撤廃それがいつしか魔神を復活させ世界を滅亡させるものに変わっていた
そして作戦の最終段階と意気込んで突入したが阻止が間に合わず魔神は復活していた
それからは何日も何日も戦い続けたのだった戦いの間戦場が転々と変わり人々はたくさん死に4割もの人類が死んだとされた…その内の2割は魔神のちからになっていた
そしてようやく魔神を倒したときには英雄はたったの5人まで減りかつて栄えていた大国も2つ壊滅し小さな国々も地図から消えた
アルミスは魔神との戦いの最中疲れきったところに上級魔法の余波で崖から転落していきましたそれをアルミスの主が助け戻ったところを後に壊廻の毒と呼ばれるものが主に浴びせられました、壊廻の毒はどんどん細胞が破壊されていき外見上もどんどんと皮膚、肉が無くなっていく恐ろしい毒でたとえ治しても治した場所からまた破壊されていき治ることの無い毒でした
それを主は受け魔神討伐後も生涯苦痛を背負っていました
主は今でもよく耐えれていたなと思います。主は不老不死だったとはいえ痛みは同じく受け続けますそれも不老不死の再生能力ですぐ治りすぐ壊れるとその苦痛は味わいたくありません。
主は本当は死ぬはずが無かったのです。主は僕に不老不死を譲渡すると死ぬ前に言いました、ですが僕は主に拾ってもらったこの命は主のために使いたく何度も断りました。
主は何の躊躇いもなく僕の胸に手を当て儀式詠唱を唱え不老不死は僕に譲渡されました、僕は泣き腕のなかの主に何度も何度もなぜなのか問いました。主には死んでほしくはないけれども痛みを永遠に受けていてもらいたくもないそんな矛盾でしかなかった願いを叶えられず悔やみました。けれども主はすぐに会いにくると答えてくれました、ふと気配に気づき後ろを向くと主の息子が涙を流しながらこちらを向いていました
「お父上は転生の儀にて次の生へ望みをかけられたそうです」、とかすれた声で力強く言いました。僕はその言葉を聞いても目の前のボロボロと崩れていく主に何度もなんでなんだと何度も涙を流しながら聞いていました。そんななか主は「お前は、俺のために…その命を使いたいんだろ。だったらまっ、ててくれないか…あの木のしたで。お前に会えた場所で、必ず迎えにいくからさ…」僕は主の弱々しい声を聞き漏らさないように咽び泣きながら聞いていた「約束する、必ず迎えに、行く。だから忘れないでくれ、息子にたのんだ、ことがあるんだ。俺から全て…伝えられなくてすま、な…ぃ…」その言葉を最後に主の命は消えてしまいその身体は消えていた
主に拾われいつも一緒におり魔法、武術、冒険、様々なことを教わったりしていたそれなのに最後は僕に不老不死を渡して死んでいくそんな現実が、目の前が信じれなくなりその場で10日は咽び泣いていたらしい、そのあとは主の言葉が書かれた紙を次期当主からもらいその中にある約束を今も守り続けている
約束の場所にはたくさんの花が咲き誇っておりきれいな場所である
「僕はずっと待っています、貴方の魂がこの世に再び現れるその日まで。それからは共に歩んでいきましょう」
今日もアルミス・エミュールは約束の場所で主を待つその場のたった1種類の花言葉は“叶わなかった願い”