第十九話 「ハルトとの幼少期」
「ちょっとまっててね」
会議室に私達をおいて、ハルトは誰かを呼びに行った。
やっと私達だけになってほっとしたのか、ふたりは脱力したかのようにぐでぇーと座り込む。
「お前ら緊張しすぎ」
柄にもなくガチガチになっているふたりは見ていて面白い。
「だ、だってぇ〜」
「アンナは凄いよ、何一つ動じないんだもん」
「別に?ハルトとは幼なじみだし、王宮にも子供の頃から出入りしてたから。もはや自分家みたいなものだな」
「なんでハルトさんと仲良くなったの?昔の話聞かせてぇ」
そんな大した話じゃない。
子供の頃にたまたまハルトに出会った私は、まさか王族の子とも知らずに普通に遊んでいた。
彼は家庭教師による英才教育がプレッシャーで、たまに城を抜け出していたりしてたようだ。
その頃のあいつは泣き虫でひ弱なやつだった。当時は若干男勝りだった私は、ハルトをよく色々な所へ連れて行ったりして遊んでいた。
そんなある日、ハルトを探しにした大臣に私たちは見つかってしまった。
大臣は私たちを城へ連れて帰った。
そこで前国王陛下(つまりハルトの父)に会った私は、ハルトの事情を教えてもらった。
彼が王族であることや、母親は既に亡くなっていて、政治が忙しい国王はあまりハルトに構ってやれず、勉強や世話など全て任せっきりにしていること。
ハルトを連れ歩いていたのは私だったので、怒られると思い泣いてしまった。
しかし国王や大臣は私を叱ったりなどしなかった。ハルトの友達になってくれてありがとうと言われ、これからもよろしくと頭を撫でられた。
さらには私に王宮への自由な出入りを許し、ハルトの勉強の合間に遊んでやってくれないかと頼まれた。
私は勿論承諾した。ハルトは仲が良い友達だったので、遊べなくなるのが嫌だったからだ。しかし、今思うと王様はとても寛大で優しく、息子想いの素晴らしい方だった。
それから私はちょくちょく王宮に遊びに行くようになった。抜け出していたことを少し怒られ、真面目に勉強すると約束させられたハルトは毎日で忙しそうだった。
休み時間になれば遊んだが、ハルトが勉強してる間暇だった私は城の探索などして1人で遊んでいた。
ある日、たまたま迷い込んだ部屋は城の研究所だった。
そこの研究員達は子供の私にも優しく接し、様々な実験などを見せてくれた。
私は学問に興味を持ち、研究所に通い始めた。
ハルトの授業の時は、ほとんどの時間をそこで過ごした。
そして成長した私は正式に王宮の研究室に所属することになった。論文などで結果も出せたので、今はまぁまぁな地位をもらっている。
その後、色々とあったが...
まぁ、今に至るわけだ。
「アンナの幼少期にそんなことが」
「その話は私も知らなかったぁ!それで博士さんになったのね♡」
「皆、お待たせ」
ハルトが戻ってきた。私も知らない女性と一緒だ。
まさか...女!?
「紹介するね、うちの騎士団長」
「キャタパルト・アーサーと申します。よろしくお願いします」
その女の人は…………………
とても胸が大きかった…(´・ω・`)