第六話 「一致団結」
「つまり霊魂玉は魔物の使役、蘇生、そして強化に使えるってことか」
テイマーや「使役」についての説明を一通りした。レイは地頭がいいのか、突っかかることなく理解したようだ。
「そう♡ だから私達テイマーをそれを集める必要があるのぉ。買い取ったりしてたんだけど、今は集めにくくなっちゃったんだぁ」
そう言って弱々しく微笑む。ティア達テイマーは大打撃を受けているようだ。ジャックはそんなティアを慰めようと、その手をぺろぺろしている。
「ティアさん…」
ティアもギルドの被害者だ。いや、私たちだけじゃない。ギルドの好き勝手な横暴な行いのせいで迷惑を蒙っている人々は探せばいくらでもいる。
「ティア、心配するな。ギルドは私が潰す。そのためにもまずはロキロキへ行って国王に会う」
ギルドを潰すこと。それが私の目的だった。首都ロキロキには知り合いの王が居る。彼に協力を求めるのだ。
ギルドの本部もそこにあるので、一気に叩き潰せる。
「それって例のアンナが仕えているっていう、あの?」
「あぁ。国王もギルドの悪行は知っている。協力して貰えるはずだ」
ティアも私も、そして国王も、ギルドにキレる理由なら十分にある。
「私のために、ごめん...」
「別にティアだけの為じゃないさ。元々私はギルドは叩く予定だった。それが少し早まっただけだ」
「アンナ、僕もギルドは許せない。多分僕が見たのはほんの一部なんだけど、それでも十分だ。十分にアンナ達と一緒に立ち向かう理由だ。ティアさんみたいな罪のない人を迫害して、アンナには怪我までさせて...こんなの許されないよ!
...僕も戦う。今度こそアンナの力になる!」
「悪いな...巻き込んでばかりで」
「アンナ!」
馬鹿なこと言わないで、仲間だから当然でしょ
とでも言いたげだ。
「ごめん、そうだな、仲間だもんな」
分かればよし、レイの笑顔はそう言っていた。
もうすっかり表情だけで言いたいことが分かるようになったな。これが仲間か。
そうだよな。今の仲間は信じれる。この2人なら、私は全てを任せられるし、守ることに命をかけられる。
「レイ、ティア。この一件が片付いたら私は2人に、私の過去の全てを話すと約束するよ。私なりの信頼の証だ」
私がギルドと戦う決意をしたあの日、仲間というものを捨てたあの日。
それを語ること、それが2人に対する信頼、そして過去の私との決別になる。
レイとティアはお互いに顔を合わせるとくすくすと笑う。
「な、なんだ…?」
「「アンナ!」」
二人に同時に名前を呼ばれ、驚いてびくんとなった。
「「これからもよろしくね!」」
これからの戦いは大変なものになるだろう。
人が死ぬかもしれない。後悔するかもしれない。
それでも、大切なものを守るために私は戦う。
最高な仲間達が居るんだ、負ける筈が無いだろう。