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第一話 恐怖の暑さ

 全くもってうだるような暑さが続く今年の夏。

 きっともう、このまま地球は滅んでしまうのだろう。

 せめて最期に、僕も彼女が、欲しかったなあ……。

「おーい、そーすけっ! 聞いてんのかぁ」

「なんだ! うるさいな、僕は今、大事な考え事してんだよ! 静かにしててくれ」


 今年で僕も大学二年、ハタチになる。これから、将来の事なんかもしっかり考えなくてはいけない。

 しかし、この暑さじゃそんな事考えようにも、頭が働かない。

「あぁっつすぎ!」

 僕の一人暮らしの部屋はつい昨日エアコンが壊れてしまって、扇風機フル稼働である。

「なあ、涼しいところ行こうやそーすけー、このまんまじゃ死んじゃうて」

「勝手に人の家上がりこんで置いて、よく文句言えるな」

「固い事いうなやぁ、こーゆー時は文殊の知恵やろ? 集まらんとなぁ」

 この関西弁の常識しらずは藤原健太。一浪らしいので、僕より一つ年上だが、そんな雰囲気は微塵も感じない、ただの友人である。

「文殊の知恵になる頭脳がねえし、そもそももう一人必要だろ」

「ああ、そんなら後でにっしーが来るゆうとったで?」

「いや、家主に言えよそういう事は」

 特に予定もない友人が、僕の家に集まってダラダラと過ごして帰るのは、この夏休みの日課のようになっていた。

 中でも健太と新太、西尾新太の二人はほぼ毎日のように僕の家に立ち寄っては、ダラダラして帰っている。いや、いた、が正しいのか。

「なあ、お前も新太みたいにバイト始めろよ」

「ええ、だって新太みてると忙しそうで気ぃひけるわ」

 新太は一週間前からテレビ局のADのバイトを始めたらしい。まあいわゆる、親のコネと言うものらしいが、それでも、それ相応の仕事量を回されているらしく、最近は僕の家にも顔を出していない。

「あれくらい社会に出たら当たり前だろ? 健太もそろそろ、社会に出るための準備的なものをーー」

「あーあーあーあーやかましいなぁ! お前は俺の母ちゃんか! いいか、俺は働かない! ビックになって、一生遊んで暮らしたんねん!」

「……はいはい」

 

 ピンポーンッ


 と、抜群のタイミングでチャイムが鳴る。

「はーい?」

「鍵あいてる?」

「おうあいてるで! 入ってええぞ!」

「いやここ僕の家だって……」

 僕の許可も待つ事なく、ドアを開けて新太が顔を覗かせる。

「お邪魔しまーってあっつ! なにこの部屋サウナかよ!」

 新太の眼鏡が一瞬で曇ったのをみて、この部屋の異常さにようやく気づく。

「いやホンマ、こいつ全然エアコン直そうとせえへんねん」

 健太は頬杖をつきながら僕に毒づく。

「……なら僕んち来るなよな」

「そら無理な相談や! 俺のルームメート、部屋に彼女連れ込んでんねんぞ! まじ酷すぎひんか!」

「それは、酷いな」

 その情景を相談すると、流石に同情した。

「だから! この部屋のエアコン修理は急務やねん! 何とかしてくれ!」

「いや、だから僕今月お金ピンチだし……」

「ふふふ……」

 玄関で、というよりドアに挟まれた状態で、新太は笑い声を上げながら指で眼鏡を押している。

「そんな君達に朗報があるよ!」

「……な、なあ、ご近所さんからこれ以上冷たい目で見られたくないから、出るか入るかどっちかにしてくれ」

「ーーごめんなさい」

 新太は暑さに顔を歪ませながらも、フラフラと玄関に入り、ドアを閉めた。

 こういう聞き分けのいいところは、育ちがいいというか、健太と明らかな違いである。

「それで? 話って何や? 女か? 女なんか⁉︎」

「ち、違う……健太、暑苦しすぎ」

「実質こいつが僕の家の温度五度は上げてるよ」

「ワンルームだし、暑さが逃げないから困るね」

「ちょ、待てや! 俺五度しか上げてへんのかい!」

「いやそこかよ……」

 

 僕らはその後、冷凍庫にあった氷を口に含み、なんとな涼をとって話の続きを始めた。

「それで、何が朗報なの?」

 僕の質問に待ってましたと言わんばかりの満開の笑顔で新太が食いついて来る。

「二人さ、どーっせ暇でしょ? だからさ、ちょっと僕のバイト、手伝って欲しいんだ!」

「こいつ今俺らの事ディスったで、殴ってええか?」

「バイトって、テレビ局の?」

 もう暑さでツッコむ元気の無い僕は、必要最低限の内容しか話す余裕がなく、健太スルーで話を進める。

「そう、実はさ、今度特番のロケ撮影を担当させられるんだけど、色々諸事情があって、人手が足りないんだよ、そこでさ、お願い! 一日だけ、手を貸して!」

 新太は両手を合掌のポーズにして、頭を下げる。

「なーんか、色々と怪しそうだな、特に諸事情ってのが」

 こういう時、疑ってかかるのは僕のいいところでも悪いところでもあると、昔からよく父には言われてきた。

「うん、さすがは宗介、鋭いね」

 新太はニヤリと笑い、また眼鏡を押さえた。

「なんかあんのか? その取材?」

「うん、実はその特番ってのが、心霊系なんだけど、その取材する所ってのが、またヤバいところらしいんだよね」

「そうか、なら断る!」

 僕は即答する。

「え、えぇぇぇ! 宗介、即決すぎるって!」

「俺も別に心霊は興味あらへんなぁ」

「僕だって興味はないけど! でも、親父にも言われて、断れないんだよ……」

 新太はうなだれながら、僕らの方をチラチラ見て来る。

「働きたくない奴に、よくもそないな事言いよったなぁ」

「……」

 と、急に新太は静かになる。

 こういう時、大体考え事をしている時だ。

「おーい、にっしー? 死んだか?」

「……一緒にカメラマンのお姉さんが来てくれるんだけどさ、すっごい美人だよ?」

 ぴくっ、と健太の眉が動く。

「しかも、結婚もしてないし、彼氏もいないし、出会いがないって言ってたし、もう、今絶好機だよ」

「よし、行こうか」

 健太と新太は汗いっぱいの手を固く、暑苦しく握り合った。

 全く、単純バカすぎるだろ……。

「宗介も、さ? 行こうよ?」

「いや、僕は……」

 ぶっちゃけ、行ってもいいとは思う。

 でも、駄目なんだ僕は……。

 怖いのだけは無理なんだ!

「うーん、まさか宗介に限って、怖いから行きたくない、って事は無いだろうしなぁ」

 新太の言葉にビクッとしたが、どうやら気づかれてはいないようだ。

「あ、ちなみに、給料なら心配しないで? 危険手当も一応つけてくれるらしいから、エアコン位、買い換えてもお釣りが出るくらい貰えると思うよ?」

「……行きます」

 まさに、金の力に屈服した瞬間だった。

 こうして、暑苦しい部屋で暑苦しく三人で肩を組みあって今後の話をするのだった。


 ーーこの後、僕、本田宗介を含む僕らに降りかかる災厄に、誰一人として気にしてなどいなかった……。

さて、このバイト、普通なわけがない……⁉︎


初めてなので、おそらく、至らない点だらけだと思われます……。

そういった面も含め、どんどん叱咤激励のお言葉、送ってくれると嬉しいです!


桝石ハジメの作品をよろしくお願いします!


ちなみに怖いのは嫌いです!(笑)


ホラーのやつに応募する予定です!

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