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ということで馬車に戻ってきました。

ん、だって、これから俺はこの国に入るんだしね?

ねー?(棒読)


「……このけが人はいったい?」


首を傾げる従者兼、宰相様。

実は馬車には宰相さんがついてきてくれてたのでした、やったね!

まぁ現実問題、俺の対応ってディアルドさんぐらいしかまともにできないんだよね。

なので後継に修行させるいい機会ですしと俺の影武者と合わせて移動してきてくれていたのだ。


ちなみに貴族の二人についてだけど、馬車に向けて爆走すること3日、適当に食わせて適当に治して連れていただけなのに完全に心が折れていました。

あ、従者って言っても一応貴族の息子らしい。侯爵の息子と男爵の息子なので殺すのはやはり駄目かなーと思って速度は緩めておいたんだけど、彼らにとっては死ぬよりつらい思いをした、とのことだった。

絶対大げさじゃね? 生きたまま食い尽くされるよりはましだったと思うよ?


どこに人目があるかわからない街道走るわけにいかないしね?

森は腐るほどあったから地図とにらめっこしながら森の中を爆走して、時々あう魔物をささっとセレス君が倒していただけだというのに心が弱いよね。

まぁ縛ってそりに乗せて爆走だからいくら速度に手心加えたとしても乗り心地は最悪だったと思うけどー。


ということで事情を説明。

めんどくさそうなら魔物が多そうなところに置いてくるのもやぶさかでない事も合わせて伝えて、あとは丸投げである。

え? 俺が政治のことなんてわかるわけないじゃん?

公式記録になって俺の転移が記録されたとしても、この宰相が俺に不都合なことはしないって信じているので丸投げです。


そもそもがトールの嫁ってことはこの宰相の孫嫁でもあるからね!

何たる安心感!


「成程話はわかりました」


ちらり、と貴族を見る目が恐ろしく冷たい。


「そもそもが主君の娘を手篭めをするのもありえませんし、それが許されると考える時点でダメですね」

「まあそうだよねー」


そんな横暴あってたまるかレベルの話である。

俺みたいな災害級の加護持ちならともかく、普通に考えて王女に手出しをするってアウトだ。

しかも爵位があるのは親であって自分じゃないんだからな。


「まぁ。少しあの王宮はおかしい雰囲気がありますので気にはなっていました。いい機会ですし、少し探ってみましょう。というかまあ、私の予想ではこの貴族たちがリリアさんを誘拐したことになっていると思いますけどね」

「え、トールじゃないんだ?」

「トールは派手に城を壊したと言っていましたね? もしそこにリリアさんがいたとして、それでさらったのだとしたら理由はこの男たちの暴挙になるでしょう。そうすると誘拐などではなく、リリアさんの保護のためという大義名分がたちますので大ごとになりません。獣人の嫁に手出しをした貴族が悪いですし、リリアさんはトールを庇うでしょうから」

「あー……なるほど。この貴族がリリアを誘拐しようとして、トールが暴発したってことになるのか。それならそれで何にも問題ないな」


むしろその方が平和じゃね?

城をなおすくらいなら、賠償金でなんとかなるんじゃないかな。

俺それなりに稼げるのよ。聖魔法使いだから。

金必要ないからたぶん城で有効活用されてると思うけど。


「ですがそれだとくだんの王女にとっては都合が悪い」

「まぁそうだね」

「かといって、トールの腕についていた腕輪がここにある以上、王女がトールをどうにかしようとしていたことは確定事項です。トールに関しては機密扱いですからごまかしがきかないんですよ、特に王族にとってはね?」

「Oh……」


まさかのそこで機密が生きてくるとは思わなかった。

あれ、ってことはトールが城を壊したのもあまり悪い方向にはとらえられていない?


「捉えられていませんね。何せ諸国では最年少の賢者として有名ですから」

「け、けんじゃ?」

「ええ。なんでもこの国の前の国では魔物から村を救ったとかで感謝状が城に届いていましたから」


息子俺の知らないところでえらい評価高かった!

まぁたぶん通りがかったところで魔物が増えてたから倒しといたくらいの認識な気がするが。


「さらに言えば、そこからトールさんがリリアさんを嫁認定していることがわかればとりあえず結婚自体が確定になります。ですが、それもおそらく王女にとっては不都合でしかない」

「そもそもトールと結婚したいがためだったしな、この話」

「まぁありえないんですけどね」

「そこからして認識がダメだよなー」


誘惑したところでトールがリリの姉上になびくことは天地がひっくり返ってもあり得ないのだ。

あれ? この話最初から破綻してるじゃん!


「なので城の暴発は誤魔化して、単純にリリアさんが誘拐されて王女としての資格を失った、だからトールと結婚できないというような話に持っていく気がするんですよね」

「別にそれなら嫁にもらって帰るだけだから割とどうでもよいんだけど?」

「ん? あ、それもそうですね。じゃあその方向で進めましょうか」


トールも俺もこの国に何の興味もないんで。

暴発誤魔化してくれるならそれでいいよ? 俺は。

金払わなくていいし嫁にもらっていくからリリの父上に援助くらいならしなくもない。

だが王女、てめーはだめだ。

君が王位継ぐころには疎遠にならせていただきたいと思います。


「ただそれだとリリアの名誉的な意味で許せなくはあるよなぁ」

「でもどうやって助けたか、の話になると都合が悪いのでは? あなたはいなかったことになってますし」

「まぁね。王位なんて邪魔なだけだし、リリちゃんも興味はなさそうだったんだよな。愛国心はあるんだろうけど、そもそもが迫害され続けていたせいでいまいち王になりたいという気持ちは薄いみたいだった」


可哀そうなのはリリちゃんのお父さんな気がするが、もう一人の娘を助長させたのが悪いともいえるよな。

うーむ。


「まあ、どう出るかを見つつこいつらを連れて行きますかね。リリアさんに関しては、城を飛び出したトールが保護して、この国では危ないとみて我が国で保護した、ということにしておきます。まぁ見つからないでしょうし問題ありません」


むしろ我が国の最奥まで連れてってるので超安全です。

あの辺スネーク君の配下もいっぱいいるし、ティナミナトールが揃ってて何かがあるとも思えない。

ちなみに危機察知能力はミナが一番高いのでなんかあったら念話が来るに違いない。


「とりあえず日数を稼いだ方がいいので予定通りゆっくり行きましょう、ええ」

「はーい」


馬車の旅でたまにはのんびりとしよう。

ふ~。



ちなみに心おれた貴族は護衛の馬車に連行されていきました。

別に増長しなければどうでもいいです。

その辺の捕虜扱いで雑にしてよいよ女の敵なんで。



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