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お久しぶりです。
定番ネタを先にやろうかと思っていたのですが、あんまり面白くなかったので吹っ飛ばして息子編をしばらく投稿します。
そのうち形になったら過去編に戻るかもしれませんw
ということで少し(?)大人になった主人公と家族をお楽しみくださいませ!
しばらく毎日投稿予定です。
こんにちは、音無和也もといサレスです。
異世界生活もすでに何日目だかわからないくらいの年月が流れました。
いや息子10歳だからたぶん10年ちょいだけど。
うっかり隣国滅ぼしそうになったり、娘が誘拐されかけて山一個消し飛ばしたり、大蛇がやっほーとか転移して来て結局テイムする羽目になったりしたけど俺は元気です。
あ、ちなみに子供は息子が獣人で、娘が人間だった。
うん、男だとハーレムさせられるもんね。
女の子の獣人はまだまだ生きづらいもんね。
神様超空気読んでる!
で、10歳になった息子なんだが、出会いを求めてちょっと遠くに留学していった。
今は3国目かな?
10歳の癖にすでに大人並みの知能を有している彼は、割と研究職としても成功していて留学の要請はひっきりなしだったりする。
俺もびっくりの頭脳系であった。
最初は、え、まじで?
と思ったんだけど、息子トール君、この国の宰相の娘の娘さんとか、国王の娘さんとか結局好きになったりしなくてだな。
せめて貴族と……とかべそべそする国王をしり目に、趣味じゃないと出会いを蹴り飛ばしちゃったんだわ。
俺としても好きになってくれるなら王女でも貴族の娘でも好きにしろよと思っていたんだが、まさかの全滅。
仕方ねぇなぁと思っていたら、息子はきっとこの国には運命はいない、オレは運命の人を探すんだとか言って強硬突破していったんだよね。
今ではすっかり旅・留学マニアと化している。
その情熱は嫁譲りかな? まぁ良いけど。
男の子だし旅くらいいいよね、頭脳系だけど自衛できるくらいには戦闘力も鍛えてあるし。
そんな風に思っていたこともありました。
今は後悔している。
んでまあ、なんで俺がこんな親父臭いことをグチグチ言い始めたかっていうと、届いた手紙の内容から現実逃避したいからだ。
内容はざっくりいうとこう。
『拝啓 親父様
なんかこの国でハーレム作って永住することになった。
母さんによろしく』
息子ーーーーー!?
何があった、まじ何があったお前獣人なのにハーレムとかまじなにがあったーーーー!!!
そもそもお前獣人だから俺より大きくなるだろうけどまだ子供だろーーー!?!?
「……サレス、これ」
「あかんやつだろうな……」
涙目になるティナに、俺はため息をつく。
目立つのは嫌いだけど、さんざん手出しをさせないようにこの10年派手にやるときはやったっていうのに……。
いっくらみっつぐらい国を超えた遠さだからってこれはないよなぁ……?
「安易にハーレム作れるくらいなら、この国の王女との見合い話とか蹴るわけねーだろ!!!」
バン、と手紙を机にたたきつける。
文字は確かに息子のものだが、息子は獣人だけど普通に魔法が使える。
伝言とか伝達くらいならユニークスキルの念話魔法で送ってくるし、緊急なら俺自身が出向くのを知っているから連絡をわざわざ手紙で送るとかそういった遠慮はしない子なのだ。
何このいかにも何かありました的な状況!
馬鹿なの!? しかもこっちから念話魔法送ろうとしたらはじかれたとかもはや捕らわれ確定じゃん!
「でもサレス、もしかしたらサレスを呼び寄せるための罠かもしれないのです」
「あー……」
あわよくば父親も取り込んでしまおう的なのもあり得るのは、俺も十分承知である。
今でこそ平和な辺境であるが、引っ越してきた当初は横やりが酷かったからなぁ。
あんまりにひどいんでちょっと王様にこの土地をもらってしまうくらいには、命知らずは多かったのだ。
地方領主とかになるのは嫌だったんであくまでお買い上げしたんですけどね、うん。
大蛇が住む土地なんで快く売り払ってもらえたよ、うん。
独立国家? 知らんな、俺はこの国の王様とは仲が良い男だ(きりっ)。
「でも助けに行かないって選択肢はないだろ、これ」
「手紙の書き方から見て余裕はないように思うです、が……」
自慢になるかもしれないが、俺の息子はぶっちゃけ強い。
10歳児だというのに獣人の俊敏さと、俺譲りの聖属性魔法に、ユニークスキルも戦闘系ひとつ通信系ひとつ生産系二つと盛りだくさん。
寵愛こそついていないものの、加護はちゃんとついているので誘惑対策もばっちり仕様。
そう、精神的なものに関しては息子には効かないはずなのだ。
それなのにハーレムきづきまーすとか、まじ息子に何かがあったとしか思えない。
あと、見た目に反してうちの息子クソ真面目なんだよね。
ティナに似たから割と華やかなイケメンに育ちそうな美少年なんだが、チャラさとは程遠い一途な息子なのである。
何せ愛人でもとか言ってきた女の子に対して、真顔で君にもきっと運命の人が現れるからだめだよとか言っちゃう子なのだよ。
ないわー。
この手紙はまじないわー……。
何を考えて書かせたのか、そこからもうツッコミどころしかないわー……。
「うーん、真正面から行くのもあれだし、ちょっと国王に会って許可取ってから不法侵入してくるわ」
「わかったのです。ミナと私はおうちにいるのです」
「うん、なんかあったらミナに頼んで連絡してきてねー」
「いってらっしゃい、お父様! お母さまは私が守るから安心してね!」
ツッコミどころのある俺の台詞に、笑顔で手を振る二人に別れを告げ、俺はおうちを遠征することにした。
ってか娘!
えへんと胸を張る娘がかわいい!
まだぎゅーってしてもくすぐったいよーとしか抵抗しない娘がかわ、
「お父様。はやくいきなさい!」
「あ、はい」
6歳なのに……。
娘がしっかりしすぎな気がする……。
お母さんもこの10年でSランクとかだから早々負けないと思うけど、その言葉に後押しされて俺は出かけることにしたのだった。
さーて、いったい何が待ってることやら。
どう考えても楽しくなさそうだよなぁ。




