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戦闘……(?)

切ろうかと思いましたが、王女編長くても仕方ないので長めでっす。


注意:暴言があります

それなりにざまぁがあります

苦手な方はご注意くださいませ。





危険がやってくるまであと10分。

うーん。どう考えても逃げられないね、知ってた。

鑑定眼さんが優秀過ぎてつらい。


しかしなんだろうなぁ、でっかい赤点のわりに気づくの遅くなるとか、俺の加護仕事してなくない?

職務怠慢?

それとも別の要因があるんかな。

ユニークスキルは競合するとして、それにしたってこの特大っぷりだともっと早くに危険察知してないとおかしいんだけどなんでだろう。


「エレン伯母様、王女にサレスを会わせたら大変なのです……!?」

「ええとまあ、そうねぇ。結婚しろと言われたらハイと言っちゃうかもしれないわよね、思考に関するユニークスキルだし……」

「ど、どうしよう!? なのですー!?」

「どうしようって言われても……どうしようかしら?」


ユニークスキルに対抗できそうなニックの位置はぶっちゃけ遠い。

おそらく自宅に戻ったか何かしたのか、だいぶ端の方にいるんだよなぁ。

とりあえず対策を考えるために俺がすべきことは……あ、もしかしてあれが使えるんじゃないか?


「サレス、ギルドカードです?」

「いんや。これは違うやつ」


誰も覚えていなさそうなこれ。

俺もうっかり忘れていたが、そういえば俺ステータス表示できるカード持ってたよね!

履歴が出るのにギルドカードと鑑定眼さんだけで事足りてたから、セレスをテイムした以降使うのすっかり忘れてたよ!!!

ということで履歴オープン。


「はあ、なるほどね」

「?」

「俺にはそもそも思考干渉は効かないみたいだから大丈夫そうだよティナ」

「え!?」


ざっと見たところ、俺は王都につくまで延々と思考干渉を受けていたらしい。

らしい、というのはこの文がいたるところで躍っているから。


――Blessによりユニークスキルを防衛しました。

――Blessにより呪いを反射しました。

――Blessにより誘惑を消去しました。


干渉多すぎである。

てかこれ王女以外にも絶対色々されてただろ! 別に害はなかったからいいけど!

王女も必死で試行錯誤したものか、ひたすらに防衛文がいっぱいである。

それでも赤い点を感知できなかったのは、俺がやっていたことを逆にされたってことなんだろうなぁ。

俺の鑑定眼と一緒で、対象を空間にすることでどうにか俺の危険察知を察せないようにしたのが精いっぱいだったのだろう。

それでも完全に排除できないのは時折見えるこれだな。


――Blessにより一時的にユニークスキル【鑑定眼】が強化されました。


どうも俺が要請すると加護さんがハッスルしてくれるみたい。

ということは、だ。

親愛加護持ちがユニークスキルを消せるっていうのも個別を対象にすればなんとかなるってことじゃないかな。

弱めるんだか消すんだか知らないけど、おそらく俺をスキルの対象にした瞬間に加護さんが反撃してくれる。


なるほど、危険察知が微妙な反応をするわけだ。

あの特大の赤は完全に俺が対象というわけではなかったのだろう。

つまり俺がやることはただひとつ。


ティナやエレンさんを守ればいいだけである。


「二人とも、俺の後ろにいて?」

「で、でもサレス……もし、何かあったら……!」

「大丈夫。ティナは俺の心が信じられない?」


そもそもスキルが効かないなら拒絶すればいいことである。

俺が避けるべきは二人が干渉されることであり、俺に干渉しようとしたときにユニークスキルを消せれば俺の勝ちだ。

スキルを消すのは怒られるかもしれないが、そもそもこんな風に城を抜け出せる時点で持て余していると考えるべき。

王女のスキルに関してはもうあきらめてもらおう。


責任?

取らないよ?

だって王女のユニークスキルは公開されてないし、ね?

エレンさんにちらりと視線を向けると、エレンさんはにっこりと笑って首を切る仕草をしてくれた。


はい、やっちまえってことですね!!!

OK!!!!


メイドにすら思考干渉をしたのか、馬車が止まると同時に扉も開く。

念入りにスキルを使っているのか、自棄になってるのか知らないけど範囲怖いな。

メイドの先導によるものかまっすぐ向かってくるようなので、俺は二人に扉から離れて視界に入らず見守ってくれるように頼む。

ティナは不安そうだが、俺にスキルは効かないから、頼むから隠れていてくれと頼めば不承不承承諾してくれた。


「……もし、サレスが魅了されるようなら殴るのです……よ?」

「いいよ。でもそれならキスしてくれる方が目覚める感じがしてよくない?」

「もう、私は本気で言ってるのですよ!?」


あんまり不安そうにしているので、茶々を入れつつ口説いてみる。

しかし遅いな。

もう10分経ってるんだけど。


そう思いながらも俺は上がってくる女の足音をひたすら待っていた。


「……」

「……」

「……こ、こないのです……?」

「いや……歩いてる……んだと思う」


スキルの弊害故か、メイドが案内を終わったのか階段を上がってくるのは赤い点のみ。

なのにそれはのろのろと進まず、しまいには止まり始めた。


「そういえば我が家はそれなりに広かったわねえ」

「その心は?」

「引きこもり王女があるくにはちょっときつい階段だったんじゃないかしら」

「王城内では頑張ってたのに……?」

「王城内では騎士が運ぶのよ。見目麗しいのが」

「……究極のだめっぷり……」


しかし遅すぎる。

鑑定眼に赤い点が現れなかったのってもしかして、思考干渉スキルが他に全開だと徒歩になるから反応させるにはまだ早いとかだったんじゃないの?

もういっそメイドさんに運ばれて来いよ!!


「……まちくたびれたのです」

「奇遇ね、私もよ。ティナちゃん、向こうの端でお茶でも飲みましょう」


そして待つこと30分。

ようやく扉が開かれる!




「……きゅぅ」




――息も絶え絶えな王女はそのまま倒れた。








「なんという片手落ち……」

「阿呆な子だから仕方ないわね……」


倒れた王女に近づくのは躊躇したのだが、今のうちにスキルに干渉しちまえばこっちのものである。

ということで俺は容赦なくステータスを閲覧した。

そしてその結果がこちら。




Name イザベラ(王族に苗字はありません)

Age 34

Lv 4

Job -nothing-

Status -閉-

Skill 

誘惑Lv10

水魔法Lv1

風魔法Lv1

Unique Skill

思考干渉

Bless

運命神の悪戯 





またお前か運命神。

そしてよっわ!

誘惑LvマックスなのにLv4ってどうなの。

魔物倒していないとはいえそれなりにレベル上がる要因あるはずだよねぇ!?

2属性ある時点でそれなりに鍛えればいい王族になれただろうこの人!?

なんでも出来そうなのにどうしてこうなった!


とりあえずユニークスキルを消せないか試してみる。

ちょんちょん。


――ユニークスキルの親愛持ちへの過干渉を確認しました。消去しますか?


「あー、うん。消せるなこれ」

「!」

「まあ」


文の内容が気になるが、消せるらしいので消してしまおう。

こんなユニークスキル百害あって一利なしである。

さらっと消去を選び、さらに誘惑も確認してみる。


――スキルは消去できません。


ふむ。

加護があればユニークスキルがある。

ユニークスキルにも序列があって、序列が上ならスキルを消せる、ということかな。

俺の場合過干渉って出たから、防衛を繰り返していれば消せるのかもしれない。

しかしその辺はもう検証のしようがないからどうしようもないなぁ。


とりあえず防衛していれば消せるってことなら俺は文句ない。

そうすると隣国の王様とかユニークスキル持ちにいったい何されてたんだとかいろいろ気になるけどそこはとりあえず忘れておこうか。

誘惑持ちの時点で危険ではあるが、俺に誘惑は効かないのでお引き取りいただこう。

護送はニックに頼むしかないなこれ。


「とりあえずユニークは消したけど、スキルは消せないからティナとエレンさんは離れていて?」

「スキル?」

「うん、誘惑のレベルがマックスだから相当だと思う。危険だよ」


そのままでいても埒があかないので、聖魔法で回復をかけて起こす。

さてさて、話だけで帰ってくれるかなぁ。

とりあえず思考干渉から解放されたメイドさんが顔を出したが、こちらで話をつけるのでと王城へ連絡だけを頼むことにした。


頼むから大人しく帰ってほしいなぁ。








「ここ、は……? は!? なぜわたくしは床に寝ているの!?」

「力尽きたからだけど?」


当然ながら襲撃してきた女に俺が優しいわけない。

床に置いたまま回復したら、まず口を開いた王女が言ったことは対応に対する文句だった。

回復して話を聞くだけでも十分優しいと思うんだけどね?


俺としてはそのまま放り投げる、王城へ帰すということを考えたのだが、止めたのは意外にもティナだった。

曰はく。

王女をきちんと振らないとまたやってくるのでは? と。

ユニークスキルは消したといえ、相手は誘惑Lv10持ち。

確かに学習して絡め手で来られるとめんどくさいのでこの場で決着をつけようという話になった。


エレンさんがいい笑顔で再度首を切る仕草したのは秘密である。

ねえエレンさん、その笑顔が俺は怖い。


「何故恋人のわたくしが倒れているのにベッドに運んでくださいませんの!?」

「いや恋人じゃないし。ただの侵入者だし」


会話するのめんどくさーい。

というのを全面に出しつつ俺は椅子に座ったまま会話する。

手?

出すわけないよね、ちなみにテーブルでバリケード作りましたが何か。

欲を言えば縛っておきたかったのだが、相手が王族ということでテーブルと椅子で取り囲むだけで妥協した。

これだけでも力のない王女様なら抜けられないそうだ。

どんだけひ弱なんだ。


「そ、それにこの囲いはなんですの!?」

「侵入者対策?」

「な、なんでですのー!?」


きぃー! ってハンカチかみしめてるけど君それどこから出したの。

ちょっとテンプレ過ぎて俺笑うよ?

あ、ちなみに王女はそれなりに美人ではあった。

残念過ぎるのですべてが台無しだが。


「まあ手短に話をしようか」

「まあ、なんですの!?」


俺が話をしようかといった瞬間にきらりと目を輝かす王女。

うーん。

なんだろうこの子、自分で自分の魅了にでもかかってんの?


「俺はあんたなんて嫌いです、帰れ二度と来るな」

「!?!?!!?!?!?!?!?!」


話は以上!

あとはお帰り下さーい、と扉を示すと、絶句していた王女は唇をわななかせてこちらを見てきた。


「な、なぜですの? わたくしと結婚すれば王になれますのよ!?」

「王とか興味ないし」

「そ、それにユニークスキルだってあ……ありますのよ!? いっぱいユニークスキル持ちが生まれれば尊敬されますわ!?」

「だから?」

「だ、だから……? そ、それにわたくし自身も手に入れられますの!」

「ユニークスキルも王位もあんた自身にも興味ない。で、俺に何の用があるの?」

「……」


ちらりとステータスカードを見ると、何度も見える誘惑を防御しましたの文字。

こうやって興味ありそうなことを言って誘惑を成功させるのが誘惑スキルなんだろうなぁ。

まるで興味ないので加護がなくてもあんまり反応してそうにないけどな。

Lv10が怖いといえば怖いので、王女の視界に入ろうとしないでティナ。

ふくれっ面はかわいいけども。


「な、なんでですの……? わたくしは心が広いですから、愛人だって何人いてもかまいませんわ?」

「愛人も興味ないな」

「え、ええ? だって獣人の愛人がいるって」

「獣人の妻ならいるね。最愛の」

「つ。つま……?」


ぎぎぎ、と王女が周りを見回す。

あ、ティナが気づかれた。


「な、なぜ獣人が妻になれますの?! 獣人など必要ないでしょう……!?」

「うっぜぇ。俺が好きなのはティナ。それでいいだろ?」

「よくありませんわ!? 親愛もちなんて貴重な人間が、獣人を妻にするなど損失ですわ!」


何この王女、俺の地雷を踏みぬきたいの?

大体この国獣人親愛の国でしょ?

何ティナをディスってんだよ!?


「貴方が妻なんて認めませんわ! 獣人のくせに生意気よ! イイから身を引きなさい身の程知らず!!!」



ぶちん。

どこかで堪忍袋の緒が切れる音がした。


なんなんだこの空気よまないどころか地雷踏みまくるダメ王女が。

色んなライトノベルを読み漁った俺でも、どうしようもないと断言できる。

王族として完全に終わってるダメタイプじゃねぇか。


「おい、て――」

「うるっさいのです! 身分なんてくそくらえなのです!!!」


俺より爆発したのはティナだった。

俺は勢いをそがれぽかんとしていると、ティナがこちらに駆け寄ってきて何故か俺に抱き着いてきた。

そのほっぺたは完全に膨れている。


「きゃー!? わたくしの旦那様に何をなさるのー!?」

「サレスは私の旦那様なのです!!! あなたに認められる必要なんてこれっぽっちもないのですーーー!」


ぎゅう~と抱き着いてくるのはいいんだけど、力入れ過ぎだよティナ。

ちょっとそんな風に必死に来られたら、ティナばかりに気になって王女を相手する気持ちがなくなっちゃうってば、俺だって女の子傷つけて楽しむ趣味はないんだから一回で終わりたいのに。

勢いで帰せばなんとかなるかなと思ってたのに、何でここで出てきちゃうかなぁ。

でもかわいいから許す。


「な、な、な……! わたくしを誰だと思っていますの?! この国の王女でしてよ!」

「それが何?! サレスは身分なんていらないし、あなた自身に興味ないってはっきり言ったでしょ?! 振られたのにグダグダ言ってないで帰れなのですよ!!!」

「な……っ」


俺が言葉に窮していると、ティナがちゃんと反撃してくれる。

それどころかうるうると俺を見上げて唇を寄せて……キスの体勢なんだけどティナさん何してるの?

いやキスしたいなら喜んでさせていただきますけど!

王女がガン見してるからちょっと恥ずかしいよ?


「きゃあああ! わたくしの旦那様がー!!」


いや君のじゃないしティナのだし。

照れながらキスに応えると、ティナがようやく機嫌を直したのかえへーっと笑ってくる。

うんかわいい。


「あぁ……」


よっぽど目の前でキスをされたのがショッキングだったのか、呻きながら王女が気絶した。

あ、うん。

そういうところは箱入りっぽいんだね、うん。

逆にそれで気絶するとか予想外だけどね?





「よくわからないけど勝ったのです! 横恋慕するゴブリンは騎士に蹴られろなのです!!!」




それどこのことわざだよ?

殴る回でした。

ティナはサレスが誘惑されているようには見えなかったけど、我慢できなくて殴りに(キスしに)いって勝ちました。


次回、明日ラスト!

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