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お久しぶりです。予告通り王都編を開始します。しばらく毎日更新します。

改めて注意書き!

・ヘイトが今まで以上にたまる展開がありますがざまぁは保証しません。

・このお話はハーレム嫌いによるハーレム回避のお話です。

・主人公が肌に合わない方は迷わずそっと閉じて忘れさって下さい!←最重要


感想欄は覗いていますが、返信は気ままです。

誤字脱字指摘は泣いて喜びますのでお願いします。

それでは頭からっぽにしてお楽しみくださいませ。


異世界生活……あれ、何日目だっけ?

しばらく日数数えてなかったから忘れたな。

大体半年経ちました。俺は元気です。


「サレス? どこを見てるのです?」


なんかドナドナされてるけど元気です。

俺なんで馬車に乗ってたりするのかなー。


「セレスとニナは楽しそうに走ってるのです」

「ニナはあっという間に大きくなったよね」

「もう、頭に乗り切れなくなったのです」


馬車の外に見える二匹はとても気持ちよさそうに疾走している。

はたから見て襲われているように見えると困るので二人の首にでかでかとリボンがついているのはご愛敬である。

うん、我が家の二匹は今日もかわいいなー。


「サレス? 本当に大丈夫なのです……?」


思わず現実逃避する俺の横で、心配そうにティナがつぶやく。

それでも帰ろうとか逃げようとか言わないのは逃げ道がふさがれていることにも関係があるんだろうか。

心配そうな顔はしているものの、それ以上は踏み込んでは来ない。

まあ、踏み込まれても俺も答えに困っちゃうけどね。

特に目の前でじーっと見ている女性とかに口挟まれたら俺はブチ切れる自信があるともさ。


「大丈夫だよ」


見せつけるようにティナを抱きしめると、目の前の女性の眉が不愉快そうに顰められる。

でも、俺との関係は悪化させるのは本意じゃないのだろう、彼女は口を開くことはない。

しかし何も言われないのも癪に障るため、俺は気を紛らわせるようにティナの頭をなでる。


あーもう、ほんとになー。

なんでこんなことになったかなー。


俺は数日前の出来事を思い出し、やりきれないため息をついた。





話は数日前に遡る。


「え? ダグさんが呼び出された?」

「ああ。何事もなければいいんだが」


領内に一軒家を借り、のんびりと二人と二匹で過ごすこと約半年。

そろそろ何かがあってもおかしくないなと思い始めたころ、その異変は始まった。


まず、ダグさんがいきなり王都に呼び戻された。

しかも俺たちに一言もなくの時点でかなり怪しい気はしていたのだが、王都に伝手などない俺たちに何ができるわけでもなく様子見をしていたのだ。

そしてその結果はその三日後に現れた。

領主館への呼び出しという形で。


曰はく。


「冒険者ギルドに異変があった」


地方では問題はなかったのだが、王都の冒険者ギルドではギルマスがクーデター起こしそうになっているという噂が立ったというのだ。


「……え、なんのために?」

「ダグラスさんを知っていればそういう反応になるよなぁ……」


知っての通りだが、この国ではダグさんは英雄みたいなものである。

確かに王位を望んでクーデターを起こせば成功しそうな勢いで人気はあるが、正直本人に聞いてもこう帰ってくると思う。

何のために苦労くにを背負わなきゃならんのだ、と。

そもそもダグさんは王と懇意だし、貴族にしようとする動きすらはねのけてギルドマスターになった根っからの冒険者だ。

まじ何のために、と思うのが普通だな。


「でも、話のメインはそこじゃないらしくてな」

「は?」

「どうもお前の嫁騒動をはねのけすぎたのが原因らしい」

「はぁあ?」


どこからそんなつながりが来たのかわからず首をかしげると、なぜか王都では俺の嫁の数が増えたことになっていた。

Why? 意味が分からんよ。

確かに外交官でティナの友でもあるミルさんとは確かに会う機会は多かったけど、彼女領主一家の人間のうえ既婚者だよ?

買い物とかでもよく獣人女性に声はかけられるけど、俺はティナ一筋なのでよそ見したことすらないよ?

そもそも単独行動とかしないし、する必要がないので買い物とかティナと常にイチャイチャしてたレベルだし。

まれになんか紛れ込んだ元貴族っぽいのとかいたのは否定しないけど、全スルーしていつもティナと一緒にいたはずなんだけどどうしてそうなったの?


「つまりな。お前の血筋引いた子供を使ってこの領からクーデター起こす予定だから、嫁強要をはねのけてるんだとかいう話になったんだよ」

「バカなの?」

「俺に言うなよ。どうしてそういう結論になるのか俺もわからん!」


脳筋リドさん的にもその結論はわけがわからないらしく首をすくめられたが、それだけスキルの恩恵が強いってことでもあるのかなとぼんやり思った。

モテないことに自信がある俺であるが、俺のスキルというのは確かに伝わるとしたらかなり有用なんだろうというのはさすがにこの半年でわかったからな。

辺境に近いにもかかわらずひっきりなしに女性がぽこぽこ現れりゃ俺だってさすがに自覚する。

場所が場所だけに居心地が悪くなることはなく、むしろ領内全員で守ってくれるような形になっていたのだが、話を聞いているとそれすらも悪影響になったということらしかった。

獣人を馬鹿にしてる貴族はやはり一定数いるらしいしな。

隣国の影響で獣人迫害をしようと動くバカはやっぱり出るらしく、ひたすら俺を巻き込もうと外堀を埋めようとした結果ギルドに影響が出たというのが真相のようだった。


まあ、半年前落ち着く時にもたしかにちょっと派手なこと(嫁回避)したしね。

風化せずにじりじりと焦げ続け、そして派遣した女に誰も手を出さなかったことによって『きっとほかにも嫁がいるから手を出さないんだ』みたいなことになったようだ。

……だからハーレム願望がねぇんだっつってんだろ!?

どこまで祟るのよ、『創生神の親愛』め。

そのスキルがあることは否定しないけど(しても無駄そうだし)、複数の嫁に興味ないって言ってんじゃん!!


「それでな。ダグだけじゃ話にならんってことで、王からの謁見要請が来た」

「えー……」


断りたい。

すごく、断りたい。

けど無理なんだろうな、これ。

なにせすんごく領主一家の方々が申し訳なさそうにしているもん。


まあ、わかるんだよ。

ここで断れば噂を肯定したことになるし、それは領主一家も本意ではないのだと思う。

何せ向こうの主張としては『俺の意見が本当にそれ(ハーレム否定)なのかわからん』なんだもん。

直接言わないとダメってことなんだろうね。


直接言っても無視される流れだと思うんだけどね?

人間性まで無視してきたら俺出奔するよ? まじで。

むーっとする俺を見かねてか、リドさんとの会話を静観していた領主様が口を開いた。


「まあ、ダグラスから少しイヤな流れであるというのは聞いていたんだよ」

「イヤな流れ?」

「ああ。宰相が説得できんと」

「あー……」


そういえばそんなこと、言ってたね。

俺が追いかけられたのも宰相の一人相撲で、国を思うゆえの暴走だから説得も難しいと逃げたんだったよな。

結局説得しきれず陰謀に巻き込まれたってことなんだろうなー。


「ちなみに聞いておきたいんですけど、ギルドは敵? 味方?」

「味方だな。――権力に阿るギルドなど、存在意義なしって副ギルマスから伝言が来てるよ」


ダグさんの嫁は相変わらず俺たちの味方らしい。

まあ、愛妻家のダグさんの嫁さんだもんなぁ。

ダグさんの拘束に近い召喚要請すら、腹立たしいって思ってそうである。


「なるほど。ちなみに首都までギルドの人間を護衛に使うことは可能ですか?」

「それなんだが……」


言葉を濁す領主様に首をかしげると、リドさんがイヤそうにつぶやく。


「迎え、もう来てるんだ」

「は? 早すぎないですか?」


つまり俺も連行されるまで決定事項だったと、そういうことらしくてさらにその周到さに眉が寄る。

なんでダグさん先行したのさ、意味がわからんよそれ。


「ダグと入れ違いでこっちに来たらしいんだよ。――宰相の娘が」

「……」


よりによってそこが来るのかよ!!

性別から存在からダメそうな雰囲気しかしねええ!!!!




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