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「あ、街ついた」
結論から言うと、結構楽な世界っぽいということがわかった。
あれから道を歩いていたら、それなりに動物やら魔物に出会ったのである。
いずれも小さいもので、ウサギやら狼やら。
最初こそびくびくしていたものの、Intのせいなのか大抵の敵はホーリーボール一撃で死んでしまうためサクサクと倒すことが出来た。
剥ぎ取りは不安だったのだが、ぶっちゃけ剥ぎ取りは必要がなかった。
リュックサックの中には大量のカード。
いわゆるドロップ=カードの世界だったのだ。なんだらくちん。
ちなみにドロップとは別に死体を漁ろうと思えばあさる事も出来た。
カードが近場に落ちる=カード拾う=死体消える
カード拾わない=しばらくするとカード消える=死体を漁れる。
ウサギでやってみたが、ぶっちゃけカードを拾わない方が儲かるのかもしれない。
カード化されたウサギ肉をお腹が空いたし…と戻るように念じてみたら、ウサギ本来のサイズの3分の1程度だったのだ。
可食部としても何か違う気がするが、どうなってんだろう。謎い。
とりあえず血抜きなどは全部できているっぽかったので、ありがたく近くで拾った枝に火をつけて焼いて食いました。
味は焼いた肉だった。塩くれ…。
ステータスの変更はひとつだけ。
聖魔法がLv3ぐらいの段階で何故か火魔法出てきたのだ。
どういうことだよと言いたいが、多分倒していたのが火属性の狼だったからっぽい。
ノートサイズになったカードに習得履歴が乗るっぽかったので確認したら、『ウルフ(火)の討伐数が10体を超えたため、火魔法の習得条件を満たしました』って出てた。
習得条件の整理はおいおいしたいと思う。
で、まぁ街だ。
でっかい門構えに、端が見えないくらいのサイズの壁。
どうみてもでかい。
門番とかいるのかな、と思ったけれど人々は次々と街中に入っていて関所っぽいものはない。
なので俺もゆっくりと入ってみた。
うん、何も呼び止められない。
入ってすぐにあるのは、いくつかの建物といくつかの屋台。
さらに奥を見てみれば、今度は門番がいるっぽい門構えが二つほど確認できた。
そこには人の列がいくつかできており、もう一度見回してみるとこの辺りはなんというか、待合所みたいな感じに見える。
つまるところ、街中に入るにはやっぱり関所があって。
でもでかすぎる街的に、緩衝材みたいな小さな町がある、という感じ? なのかな。
よくわからないが誰に訊けばいいかもわからん。
キョロキョロと周りを見回していると、門へ直接行かない人はある建物に入っていることに気づいた。
結構大きめの建物にくっついている紋章はドラゴン? だろうか。
うん、なんていうかあれじゃないかな。
ギルドっぽいねコレ。
うん。
突撃するしかあるまい。
☆
更に結論から言うと冒険者ギルドでーしーたー。
うん。
カードの買取りぐらいないかなーと思いつつ入ってみたら、ちゃんと言語も通じたのでギルド証を作ってみました!
これで身分証明はオッケー。
ギルドのシステムはよく聞く感じだったので端折る。一番上はSSランクで下はGだった。
なんでGなんだろうね。黒いアレか。
依頼はランクの二つ上まで受けれるけど、達成ミスをするとペナルティと罰金が発生するらしいので要注意。
ちなみに俺が倒していた狼は一つ上のFランクだったみたいなので、基本やらなきゃいけなさそうな採集系イベントはやらないことにした。
そもそも回復手段持ってんじゃん俺。
ポーションとか作る技能より戦闘能力あげるわ。時間もったいない。
ちなみに名前だけど、いかにも異世界人ですと言わんばかりの現在名は登録したくなかった。
なので名前を変えました。
以後俺はサレスと名乗ることにする。ちなみにサウンドレス、から来ている。まぁぶっちゃけ俺のゲームでよく使う主人公の名前である。
妄想の中では結構呼ばれていた名前なのできっとなじむのも早いだろう。
うんうんと頷いていたら、なんか最初に持っていたカードの名前もいつの間に変更されてた。どういうことだ。
ちなみにこのカード、他の人は持っていなかったッぽいので基本はカードサイズのままで宿屋とかで使おうと思う。
以後はタブレットと呼ぼう。まんまだな!
カードに関しては普通に売却できたので、俺限定の技能などではないようだ。
剥ぎ取りに関してもちらっと話題に出してみたけれど、やっぱり想像した通りだった。
剥ぎ取りは、剥ぎ取り専門の盗賊職がいればやったほうが金になるって認識みたい。
カード化は軽量化にも便利だけど、カード化する段階で世界に加工料を取られるため実質量が減る、ということだ。
ある意味神様つかいっぱしりですかこの世界。
ちなみに金がない人間にとって盗賊職は人気あるらしい。
ソロも出来るし、罠も解除できるし、PTにも入りやすい。
まぁなる気ないけどね! 俺は魔法か剣で生きるわ。まだ剣手に入れてないけど。
とりあえず手持ちのカードをすべて売っぱらったところ、5万Jほどでに入れた。
Jは単位ね。1枚狼のカードがあったので、それがレアカードだったらしく4万ほどで売れた。
ちなみにこのカードはテイム用らしい。
売らなくてよかった気もしたが、それを売らないと手持ちが1万なので微妙に心もとない気がしたのだ。
だから諦めた。
その後手持ちの金額が分からなかったのでこの街の宿屋の値段を聞いたところ、大きい街なので少し高めですが冒険者なら一泊500Jほどです、と帰ってきた。
1泊500Jって俺、実は50万ぐらい持ってる計算にならね?
あれ? なんか手持ちすげぇ多くない?
やっぱ買い戻そうかなウルフ。
と思ったけど言えなかった。男だもの、前言撤回はむりでした……。
次出た時にはテイムしてもふることに決め、俺は冒険者証を利用して街中に入ることにした。