プロローグ
なんか好き勝手に書いてたら数万字たまってしまったので放出……しばらくは毎日更新です。
のんびりおつきあいください。
タグ通りほのぼのスローライフなので冒険はあんまりしません。
プロローグ通りに進むので、先に進むかはここでご判断下さい。
(あ~…くそう、面白くない!)
昼下がり、バスの中。
中間試験も終わり今日からしばらくは読書ゲーム三昧だ、と思いながらの帰り道。
俺は読み始めた本の内容に早くも後悔していた。
ハーレム自体は嫌いではない。自分を投影しなければ割と読んでいられる。
一夫多妻が趣味に合わないので基本は誰かの人生を読んでいる、そう考えれば割と楽しい読み物は多い。
特に好きなのは異世界転生もので、自分も転生できたらなぁなんて中二病まがいのことだって何度も考えたこともある。
だがこれはダメだ。
本の内容は、ある王女に押しかけられて妻にする、というようなオーソドックスな内容。
オーソドックスだし王女は基本かわいいのでまぁ仕方ないかなと思いつつも、その台詞に眉間のしわが寄る。
俺は基本的に権力者が嫌いである。
どんなに魅力的に書かれていたとしても、主人公の自由を阻害する形で押しかけてくる場合が多く、なんだか萎えるのだ。
なんでもっとスマートに来ない。それこそ好きなら本人だけで来い、と何度言いそうになるか。
確かにチート転生者は権力者に追い回される展開が多い。
そこに王女が入ってきて、基本とりなす……はわかる。わかるのだが。
なんでそこに女性がついてくるのよ、ってなるのだ。
男尊女卑は言い過ぎだが、もっと自分大切にしろよ、とか。
ただの政略結婚じゃん、ちょろいんとか言われても嫌だわ~、とか。
主人公に自分を投影するともう駄目だ。面白くない。
権力に抵抗する方が好みであるだけに、女を利用してというくだりがもう虫唾が走るくらい嫌いなのだ。
(あ~……俺がこの立場だったらどうするかなぁ~……)
むやみに人を殺せない、隠れたがる、その気持ちは日本人なのでよくわかる。
権力に振り回される前に権力を味方につける、その気持ちだってわからなくはない。
だがかわいい女の子は好きだが複数とどうにかなりたいという願望を持ったことのない身にとって、ハーレム願望はやっぱり縁遠い。
そして押しかけられたり強制されて嫁を持つ、という段階に至っては読んでいるだけで不快になる。
(ひとりでいいじゃん。おれのよめかわいいっていいながら撫でたい。出来ればもふもふでおねがいします!)
くだらないことを思いつつ、読む気がなくなった本をぱたん。
と閉じたその時―――。
ぐらり、と世界が揺れた。
「え?」
ぶれた先に見えたのは窓から見える太陽。
傾いた視界と、口々に叫ぶ声、そうして宙に浮いて下に滑り落ちる身体。
(あ、これ死んだわ)
先に落ちていくトラックと、上に見える横窓にバスごと崖から落ちてんなコレ。
と冷静に思ったのが最後の記憶だった。
俺の意識はふっと途切れた。