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僕の心

作者: 火河雪斗

30分ほどで書いた掌編です。


短いですが、どうぞ。

僕は、今日も自転車を漕ぐ。


僕は、あんまり外に出ないから、空をあんまり見れない。


僕は、空が大好きだ。広くて、なんだかいい気持ちになれる。


空を見る。空っていうのは、実に不思議だ。青いときもあれば、赤いときもある。色んな色を持っている。それが、毎日ぐるぐると変わり続ける。実に不思議だ。まあ、人の心はそれ以上にめまぐるしく変わる色を持っているんだけど。


僕が歩けば、空もついてくる。空は動いてないのに、しっかりと僕についてくる。僕は多くの人の心を動かし、色を変えてきたけど、空は僕のことなんてお構い無しに色を変える。もしかすると、本当は、僕についてきてるんじゃなくて、僕がついていってるんじゃないか?


人っていうのは本当に不思議だ。僕なんて存在、人には及びもしない。人のようにたくさんのことを感じられる、そんな心を、僕も欲しかった。愛、情、夢、希望。僕にはそんなものは一切無い。あるのは、やらなければならないことをやろうと思う、そんな凝り固まった使命感だけだ。だから、僕は人に憧れる。


僕はある日、人に言った。無機質な音で、人に聞いた。


僕には心が持てないの?


人はこう返した。


君が心を持てないはずがないさ。本当に心が欲しいと思っているのなら、君は既に心があるはずだ。人間とは違うかもしれない。誰にも理解されないかもしれない。でも、ただ君のためだけ、君のためだけにある心が、もう存在しているはずだ。心が欲しいっていうのは、一種の夢や希望でもあるからね。


僕は、その人のことが好きになった。


僕は、そのとき、とても嬉しかった。


僕は、同時に、全てを理解した。


僕は、既に、存在しているのだと。


僕は、今日も自転車を漕ぐ。

ロボットの心 × 人の気持ちのいちばんもとのところ × 気づかない若さ・青さ

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