表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/144

1話【剣と魔法】

2章開始です。

更新は二日、もしくは三日毎を予定しております^^


※魔力とマナの関係どうなってんだということに作者が今気付き、魔法をほとんど使用しなかった1章と擦り合わせ中です。早急に修正をかけます。汗汗汗

※※修正完了……?しました。

変更点――1章の1話で種族の説明があった際、エルフとかが魔力多めとかありましたが、魔法の素養を持つ場合が多い、などという表記に変更しました。

後、リムの持つ魔力変換スキルもほんの少し表記を変えました。スキル名はそのままですが、内容説明にある魔力→マナに変更。

申し訳ございません。

基本的には、この2章1話の理解で話を展開していく予定です。

 ――五月の三週、元の日。雨。


 早朝の鐘音に、眠たい眼を擦りながら上半身を起き上がらせていく。

 昨日は少し夜更かしが過ぎた。

 騒ぐのはいいけど、未成年にお酒を飲ませるのはいかがなものか。


 この世界に飲酒の年齢制限があるとは当然思っていなかったが、アーノルドさんもベイスさんもかなりハッチャけていた。


 注文に応じてダリオさんがこの地域で収穫されるメルバ大麦を使用した蒸留酒を持ち出して来た辺りから、何かが壊れ始めた気がする。


 シエーナさんはいつの間にか姿を消しており、リムはといえば満腹オヤジ亭の部屋代を払ったアーノルドさんに上に行くよう促され……残ったのは男衆だけ。


 その後、半ば無理やり付き合わされたのだが、これが不思議なことにどれだけ飲んでも泥酔するような事態にはならなかった。

 いやそもそも俺は酒を飲んだことがほとんどないため、酔うという状態がどのようなものかは理解しかねるが、思考は至ってクリアだったのだ。


 高揚感に包まれ、楽しんではいたのだが、あれは雰囲気に酔ったというものだと思う。 


「これも……状態異常耐性スキルのおかげなのかなぁ……?」


 人格を崩壊させていく二人を前に、そこまで恥を捨てきれない自分が寂しくもあったが、味は美味しかったので良しとしよう。

 美味い飯に美味い酒をたらふく健全に楽しめるのだ。お得かもしれない。




 一階に下りて井戸水で腫れぼったい眼に喝を入れた後、食堂に戻る。


「おぅセイジ、昨晩はなかなか楽しい祝いの席だったな。にしても……かなり飲んでいた割に平気そうだな」

「ええ、自分でも驚きですよ」


 ちなみに、ダリオさんは当然ながら一滴も酒を口にしていない。

「仕事中だから」という理由で酔った二人が勧める酒を丁重に断り、果実水で乾杯だけしてくれていた。


「――お、リムも起きたのか。朝食一緒に食べるか?」

「おはよう。あの、父さんが……」

「ど、どうかしたのか?」


 まさか、アルコールの過剰摂取で!? マズいっ――


「――今日はお昼ぐらいまで動きたくないって」


 ……うん、よし。

 落ち着け、俺。深呼吸だ。


 パスクムの宿屋で夜通しリムの傍に付いていた格好良い姿。

 ブラッドオーガ戦で我が身を顧みずに俺とリムだけでも逃げろと言った勇姿。


 あの姿を、俺は忘れちゃいないぜっ。


「……昨晩は少し飲み過ぎてたみたいだから、寝かしといてあげればいいんじゃないかな」



 俺はリムと一緒に朝食を馳走になった後、今日の予定を考える。

 ジグさんがマイソードをメイクし終わるのは、本日の夕方ぐらいになると言っていたので、それまで街の中で出来ることをしたい。


 ランクDの範囲においては街の中だけで完結するような依頼は少なく、雨ということも考えると、無理に仕事をせずともよいだろう。


 なので、前から一度行ってみようかと思っていた図書館に足を運ぶことにしよう。

 メルベイルの街の中央にはそういった公共の施設が建てられており、お金を払えば誰でも利用することができるのだ。

 昨晩の食べ飲み代を請け負ったせいでジグさんからの祝い金はかなり減ったが、まだ少しは余裕がある。


 図書館で調べたい事柄というのは、ズバリ『魔法』についてだ。

 魔法スキルには興味津々なのだが、いかんせん魔法についての知識というか、概念が俺の中に存在しないからである。


 武芸スキルについては、スキルを盗った時点で対応する武器を上手に扱うことが可能となったが、剣、槍、斧といった武器の知識や概念は既にある程度持っていたのだ。

 剣術にしても、当たり前の話だが『剣を振るって敵を斬る』ことは知っていた。


 だが、魔法について俺はその当たり前の話を知らない。

 魔法とは何か。魔法で何が出来るのか。


 実際に魔法スキルを盗ってからでも遅くはないが、事前に色々と学んでおいて損はないだろう。


 リムはアーノルドさんと行動することを基本としているため、部屋に戻って父親の起床を待つそうである。


 俺は自室へ戻ってから雨除け用にフード付き外套(黒)を羽織り、満腹オヤジ亭を出た。

 中央方面へと歩を進めることしばらく、街の中央には大きめな広場も存在し、普段ならば露天商が軒を連ねて賑わいを見せているのだが、生憎と今日は雨だ。

 テントを張って商売している姿はちらほらと見受けられるが、肝心の人通りは少ない。


 さらに歩くと、立派な建物が視界に入った。

 

 この街で最も見栄えのする建物は、この領主の館だろう。白亜の宮殿ならぬ……白亜の館といったところか。

 メルベイルは商業が発展した都市であり、多くの商人や職人が商売を営んでいるが、決して自由都市というわけではない。


 ここリシェイル王国の領土に存在する以上、その地域を治める王侯貴族様がいらっしゃるそうだ。

 民は領主に税を納め、領主は国王に税を納めることで、その地位を享受しているとかなんとか。


 が、冒険者は税を納める義務を免除されている。

 いや、免除というよりも、依頼達成時の報酬から既に天引きされているといった方が正しい。

 故に、冒険者は税という鎖に縛られずに諸国を渡り歩けるのだ。

 規定期間を過ぎても何の依頼も受けない冒険者は身分を剥奪されるというのも、頷ける話である。


 まあ、俺には今のとこ関わりがない偉い人種なので思考を割くのはここまでにしとこう。




 ――図書館へと到着し、入館料の200ダラを支払って中へと入る。

 本というのは結構な貴重品なので、破損した場合は別途賠償することと釘を刺された。財布の中身が潤沢ではないので、丁寧に扱うことを心掛けようと思う。


 室内は紙とインクの香りをない交ぜにしたような独特な匂い……それに埃っぽさをブレンドすることでどこか懐かしいような、落ち着きを与える空間を演出している。


 教科書に囲まれた受験時代には紙とインクの匂いに嫌悪したものだが、興味ある対象について学ぼうという意識でここまで受ける印象が変わるとは……。


「あの、魔法関係の本ってどこらへんに置かれていますか?」


 司書さんに尋ねてから、教えてもらった本棚へと足を向けた。

 途中、様々な本が並べられている本棚に目移りしそうになりながらも、どうにか目的の場所へと辿り着く。


 特に絵本と思われる本棚に興味惹かれるタイトルが散見されたのだが、今手に取るのはやめておこう。


『エルフと森のクマさん』 

『ドラゴニュートの憂鬱』

『本当に怖い魔族童話』


 などなど。一体何が描かれているのか……。



 さて、気を取り直して魔法についての本を物色することにしよう。

 とはいっても、魔法関係の本はそう多くない。本棚の一段を埋めている程度の蔵書量だ。

 が、これを全部読めと言われたら断るぐらいの量はある。


 なんの気なしに手を伸ばした本のタイトルは――


『緑イモムシでも理解る属性魔法教本』


 興味はあるが……あまり分厚い本だと途中で心が折れると困るし。

 タイトルはアレだが……まあ手頃な厚さで分かりやすそうだ。

 場所を読書スペースへと移し、お勉強を開始した。


『――まず初めに、この本はあなた自身が少なからず属性魔法の素養があることを確かめてから読み進めることをお勧めします』


 って、言われてもな。

 どう確かめろと。

 無言で次のページをめくる。


『属性魔法の素養について――この世界の大気中には《マナ》と呼ばれる魔法の源となる成分が含まれています。魔法とは、マナを練り上げることで現象を発生させる行為を指します』


 マナ、ね。

 ワクワクが止まらない。


『それでは火魔法の素養から調べていきましょう。あなたが生活する上で《火》というものはかなり身近なものだと思います。暖炉の火、料理で使う火、焚火など……様々なものが思い浮かぶでしょう』


 素養というのはスキルを所持しているかを確認するためのものだろう。

 だとすると、どの道どこかで魔法スキルは盗るつもりなので、ここで素養を調べる必要はない。

 しかし、武芸スキルなしでも一応は武器を扱えるように、魔法スキルがなくとも少しは魔法を使えるかもしれないな。

 面白そうなので、試しにやってみよう。


『大きく深呼吸をして大気中のマナを身体に取り込み、火をイメージしてください。あなたがもっとも想像しやすい火を頭に描くのです。それを指先へと集中することで――』


 俺のイメージする火……か。


 それは深淵を照らすかのごとき真なる炎。地獄の業火すら霞むほどに猛る焔の輝きは見る者の目を瞬時に焼き尽くす。

 何者をも焦がし、何物をも溶かし、その行く手を阻むものは皆無っ。

 全ての空気を喰らい尽くして無限に増長する大火とならんっ!


 燃え上がれ、俺の指先ぃっ。


 …………


 ……


『できましたか? 念のため、他の属性魔法の素養も見ていきましょう。次は水魔法です』


 俺は無言でページをめくる。

 いや、まあ、その……ねぇ?


『方法は同じです。あなたのイメージする水を思い浮かべて深呼吸してください』


 次こそはやったろうじゃんか。


 清廉なる水よ。優しき情に満ち溢れた水よ。

 田畑に恵みを与えるがごとく、人の身体さえもその聖なる水の流れで癒し、清めたまえ。

 優しき顔の裏側、時には大河を氾濫させることで全てを押し流す暴虐の徒よ。

 立ちはだかる敵にはその力を持って威を示せっ!


 滴れ、俺の指よぉぉっ。


 …………何故だ。何故何も起こらないっ!?

 くそっ、やはり魔法スキルがないと無意味なのか。


 その後も、風、土、闇、光と順番に試していくが、一切何も起こらない。

 まだだっ。

 これら六属性は全てこの世界の『日』と関連している。

 まだ『元の日』が残ってるぜ。


『さて、これで素養の確認は終わりです』


 なん……だと。


『もし六属性全ての素養を持っていた方は非常に幸運です。そんなあなたは元魔法の素養があると思っていいでしょう。元魔法は、文字通り全ての根元にして《源》を司る魔法です。六属性の魔法を自在に操ることも夢ではありません。詳細については後述します』


 俺の意思などお構いなしに、本は淡々と文字を連ねていく。

 本なので当たり前だ。


『とても残念ではありますが、ここまで素養を調べてきて……どの属性魔法の素養も見られなかった方については――この本を閉じてください。時間の無駄です』


 …………


『あなたは、緑イモムシですらなかったのです』


 ……この本書いたやつ出て来いやあぁぁぁっ。

 切り刻んでやんぜっ!


 ぷるぷると振り上げた右拳を、自分の左手で必死に押さえる。

『本を破損した場合は弁償』――という言葉が頭によぎる。


「ふぅ……はぁ……」


 深呼吸して無駄にマナを体内に取り入れることで落ち着きを取り戻す。


『――さて、素養があった人についてですが、まだまだあなたはサナギの段階です。次の章ではマナを練り上げる練習方法をご説明します――』


 その後も、俺は長々と書かれている文章に目を通して行く。

 要約すると、だ。


 属性魔法というのは、何か呪文を唱えて現象を起こすものではなく、火魔法なら火を、水魔法なら水を――といったように、大気中のマナを変換して術者のイメージを具現化させるといった表現が相応しい。


 但し、術者が具現化させる現象――つまりは魔法に自ら名前をつけることで、より明確なイメージを描けるとかなんとか。


 例えば『炎よ、相手を焼け』

 という漠然としたイメージだと、おそらく……だらしのない火炎放射器みたいな感じの炎が相手に向かっていくのだろう。


火球(ファイヤーボール)よ、相手を焼け』


 だと、あくまで俺のイメージだが、丸まった炎弾が高速で相手に飛んでいく感じだ。

 別に炎槍(ファイヤーランス)でも何でもいいのだが、イメージを明確化するために自分の中で名付けてあげましょうと。

 そうすりゃ術者も現象を起こしやすいでしょう、ってことらしい。

 口に出す必要がないなら、そういうのは大歓迎である。


 マナを練り上げるというのは、先程言ったように大気中のマナを起こしたい現象のために術者がどれだけ変換できるか、だ。

 体内に取り込んだマナを起爆剤にし、術者の身体を変換装置と見立てることで大気中のマナを魔法へと変換する。


 この変換量によって、どれだけの魔法を行使できるかが決まってくるのだ。

 大洪水を起こす……といった魔法を発現させるには、それはもう莫大なマナを変換する必要がある。

 だが、変換装置たる術者がへなちょこでは、到底魔法は発動しない。


 たぶん……この変換量の大小に魔法スキルLvが関係してくるのだろうと考えられる。


 きっと、俺が素養を見る際にイメージした魔法の内容は、あまりに壮大過ぎたのだ。

 マナの変換量が足りなさ過ぎて発動するわけがない。

 マッチ棒の火ぐらいをイメージして努力すれば魔法スキルなしでも何かが起こるかもしれないが……今さらそこに時間をかけるつもりはない。



 まあ、だからして、属性魔法は術者によって出来ることが異なる。

 変換量の差ということも勿論あるが、術者のイメージによって具現化される魔法なんてまさに千差万別だろう。

 いつぞやの光魔法でアーノルドさんの傷を治していた治癒術師にしても、彼はああいったイメージを光に持っていたのだ。

 俺なら、光のレーザービームで敵をちょん切るぐらいするかもしれないのに。


 と、大体はこんなところだろう。


 ちなみに、元魔法についてはかなり万能なようだ。

 六属性の魔法を全て扱えることで、属性を複合させることも可能だとか。

 夢溢れる話である。

 但し、その分マナの変換が困難だとされており、術者として大成するまで時間がかかるらしいのだ。

 スキルLvが上がりにくい……とかだろうか?



 魔法教本の最後に『これであなたも羽化は間近です。立派な術師として大空へ羽ばたいてください』と綴られているのを見て、俺は本を閉じた。


 これを言いたいがために、題名をこんなにしたのだろうか。

 別に鳥に例えても良かったのではと思ってしまう。


 まあ、そこそこ分かりやすかったから良しとして……そろそろ頃合いの時間だ。


 窓の外を窺うと、陽光によって象られる影は長さを増している。ジグさんのとこに行かないとな。

 本を棚に戻し……て……と。


「この緑イモムシ教本ってシリーズ物なのか。へー、精霊魔法についてもあるんだな……」


 ほんの少しだけ、立ち読みするかたちで本を開く。


『――まず初めに、この本はあなたがエルフであるか否かを確認してから読み進めることをお勧めします。エルフでないのなら、この本を閉じてください』


 ――俺は、そこで本を閉じた。




 ――工業区にあるジグさんの店へと向かい、魔法のことは一旦頭の片隅に追いやって胸を高鳴らせながら入店する。


「おう、来やがったか。お前ぇの剣なら、――これだ」

「――ぉお……」


 思わず、息が漏れた。


 ジグさんが工房の方から持ってきたのは、黒曜石のような鈍い煌めきを有する一振りの剣。

 微かに湾曲した漆黒の刀身の一部に紅の線が斑模様を描くように走っている。

 角が赤から黒に変色した際のなごりが、このような美しい紋様を作り出したのか……はたまたジグさんの細工によるものか。


 あまりに見事な美しさに……見惚れてしまう。


「――……ぉいっ……聞いてんのか、こらっ!」

「ぇ、あ……はい」


 呆けていた俺を嗜めたジグさんが、剣についての簡単な説明をしてくれた。


「まず片手でも両手でも扱えるようにってぇ要望だが、これが一番苦労したぞ。大体、両手用の剣ってのは刀身だけで1m以上の大振りな剣が一般的だからな。お前ぇさんの身長や腕の長さからすると……扱いづらい」


 ジグさんが自分の髭をもしゃもしゃと触りながら語る内容を、俺は真剣に聞くことに徹する。


「だもんで、刀身は70cm程度に抑えてある。そんかわし、柄の部分は左手を添えることができるように余裕をもたせ、上手く両腕の力が剣に上乗せされるように重心を調整したつもりだ……ちょっと振ってみろ」


 言われるがまま、渡された剣を片手で握った状態でまずは一閃。


「――まるで、自分の腕を振っただけのような自然な感じです」

「……ふむ、上出来じゃねぇか。次は両手だ」


 左手を剣の柄に添えることで、さらに安定感が増したような気がした。

 その状態で、上段から一気に打ち下ろす――


「どうやら、良さそうだな」


 満足気に髭を弄り、ジグさんが笑みを漏らした。


「凄い……まるで身体全体の力が剣に加わったみたいな錯覚さえ……」

「錯覚じゃねぇよ。ところで、片刃についてだが……剣先は両刃になってるから気をつけろよ。刀身の三分の二程度は片刃にしてあるが、剣先付近は両刃だ」

「え……なんでですか?」

「剣先まで片刃だと、突き刺す威力が弱まるからな。相手が人間なら問題ないだろうが、硬い魔物相手だと困ることもあるだろうよ。まあ、刃なしの方を利用したい時に剣先を相手に振るうとスッパリと切れちまうから注意しろ。それぐらいの技量はあると信じてやってんだからな」


 ぐっ!

 ジグさんの言葉が脳内で変換されるのを、俺は鉄の意思で未然に防ぐことになんとか成功した。ここまでしてくれたジグさんに対して、それはあまりに失礼な行為だろう。


「……どうした? まあ説明はそんぐらいだ。後は鍛冶屋の勘だが……その剣には妙な力が宿ってるような気がする……まあ悪さするもんじゃねぇと思うから、安心しとけ」

「あの、この剣って名前とかあるんですか?」

「別にねぇ。特注品だからな……ただの剣でいいと思うが、なんなら自分で好きな名前でも付ければいいんじゃねぇか?」


 なるほど……自分で、か。

 ジグさんのお墨付きなのだから、お言葉に甘えるとしよう。

 漆黒の刀身に紅の紋様……



 ――よし、決めたぞ。お前の名前をなっ!




 礼を言ってから用意されていた鞘に剣を収め、俺はジグさんの店を後にする。

 明日からは、やはり剣術がLv3になるまでスモゴブでも狩りにいくか。同時にランクDの範囲で依頼も受けないとな。

 さぁ、忙しくなるぞ。


 俺は満腹オヤジ亭への帰り道で、ふたたび自分の愛剣へと意識を集中させる。


漆黒に潜伏する赤脈(ノワール・メルト・ルージュ)》――唯一(ユニーク)武器。※ブラッドオーガの角。

 特殊:血の脈動(ブラッドパルス)――装備者が同種族を斬り殺す度に切れ味が微上昇。


 これって……やっぱりあいつのレアスキルの影響なんだろうか。

 にしても、同種族――ヒューマンを斬り殺すことで切れ味が向上するって……いよいよ悪の盗賊って感じだな。


 んなことしないけどさ。

 明日はたっぷりとスモゴブの血を吸わせてやることにしよう。


 ――俺は愛剣ノワールの鞘を撫でながら、満腹オヤジ亭へと帰り着いた。

新武器がついに主人公の手に渡りました。


名前については、後悔しておりません。

ルビを『ノワール&メルト・ルージュ』にしたかったのですが、システム上『&』がルビにできなかったので……泣


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ