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プロローグ

一部に稚拙ながら、残酷な描写が存在します。ご注意下さい。

いきなりで悪いんだが、皆さんは「魔法」、というものを信じるだろうか?いや、自己紹介が先か。俺は柳谷将羽やなぎやしょうだ。よろしく。話を戻そうか。もちろん、そんなものは存在しないし、そんなことを言ったら頭おかしい人に認定されるだろう。でも、もし、在ったとしたら使ってみたくないだろうか?多分ほぼ全ての人が「使ってみたい」と答えるだろう。俺も魔法なんて信じないし、存在するとも思っていなかった。・・・この「世界」に偶然飛ばされるまでは。


「お前ら今居る場所から1歩も動くなよ?動いた瞬間にこいつと動いた奴の命は無いぞ!」

俺は溜息を吐いた。またか、と内心うんざりだった。生まれてから18年、1年に1回ペースでこうゆう大きな事件に関わるからだ。そして今年は銀行強盗だった。

(1,2,3,4・・・6人ね)

3人は受付の人達に「金を詰めろ!」だの、「早く入れないとお前には死んで貰うぞ」だのうるさいったらない。残りの3人は18歳の少年1人を人質にとり、残りの客をカウンター付近に集めている。何故年が分かるのかって?そりゃ、お前、俺が人質だからさ。

(全員銃持ちか。厄介だな。完了する前に片付けるか)

そう思い、即座に行動に移す。見たところ普通の拳銃だから、下手な所に当たらなければ即死は無いだろうが、注意するに超した事は無い。チャンスは客を集める事と金の回収に気を払っている今しかない。俺はすぐ後ろで俺を捕まえている奴に後頭部でヘッドバッドを1発お見舞いし、よろけている内に、すぐさま肘を鳩尾に深く打ち込み、腹を押さえしゃがみこんだところへ、うなじに手刀を振り下ろした。完璧に意識を刈り取った感覚が有ったので、移動している客に紛れ込み、1人、2人と、倒していった。

(さて、後は回収の方の3人か。これなら楽勝だな)

幸いにも、受付には仕切りがあり、隣の様子を伺えない仕様になっていたので、後ろからこっそり近づき、1撃の元に気絶させる。回収の3人の内の1人を倒し、受付のお姉さんに、

(警察はもう呼んで有る?)

と聞くと、首を縦に振った。

(じゃあ残りの2人を排除しますか)

動き出そうとした瞬間、背後から嫌な気配がし、受付のお姉さんを突き飛ばし、すぐにしゃがんだ。すると真上を弾丸が通り過ぎる。もう数瞬遅ければ、頭を撃ち抜かれていたかも知れない。

(あ、あっぶねぇー)

内心冷や冷やものだったが、回避出来たので御の字だろう。

「お前が仲間達をやったんだろ!?ふざけやがって!殺してやる!」

完全に頭に血が上っているのだろう。しっかり狙って撃っていないから、回避するのは容易い。俺は回避しつつ、ゆっくり前進していった。

「な、何故当たらないんだ!?この、この!」

無闇矢鱈と乱射していたら、弾なんてあっという間に無くなるだろうに。強盗は弾を撃ち切ってしまい、リロードしようとした。

(今だ!)

俺は渾身の力で床を蹴り、1瞬で間合いを詰めた。

「うわ!お前・・・」

「貴様も寝てな」

強盗を射程圏内に収めた俺は、下からアッパーを繰り出す。

「がっ・・・」

微かに浮いた体に思い切り蹴りを放った。強盗はそのまま後ろに吹き飛び、ベンチにぶつかり、気を失った。

(後1人・・・!)

「そこまでだ小僧!こいつが目に入らないか?」

強盗が話しかけて来たのでそちらを見ると、

「うわーん!ママー!パパー!」

子供が人質にとられていた。それを確認すると、構えたまま動けなくなった。

「これは俺たちをこけにした見せしめだ」

強盗は子供に銃口を向け、引き金を引く。

「や、やめろぉぉぉぉぉぉぉ!」

パァン、と乾いた音が鳴る。頭の奥のほうがちりちりと熱くなる。そしてゴトッという何か重いものが落ちる音を耳にした。

「か、かずやぁぁぁぁぁぁ!」

「かずや!」

両親だろう。女性と男性の泣き叫ぶ声が聞こえる。どくどくと、どくどくと今まで生きていたあの子の血が床に広がっていく。真っ白だった床が、あの子の血で、真っ赤になっていく。自分の行動の所為で、あの子の明るいであろう未来を奪ってしまった。その光景に気をとられていて、強盗の存在を忘れていた。

「はははは!油断したな!これでお前も終わりだな!」

「・・・・・・え?」

俺は強盗が何を言っているのか理解するまで、1秒掛かった。


俺は、最後の1人に、胸を、撃ち抜かれて、血を垂れ流しながら、床に伏していった。


理解した途端、形容しがたい激痛が襲った。

「ぐぅ・・・!」

反射的に胸に手を当てると、生暖かいモノがぬるっと手に付いた。恐る恐る見てみると、やはり血だった。自分の、血。今生きている、血。もうすぐ死んでしまうであろう、出血量。

「う、うわぁぁぁぁぁ!」

絶叫。俺には叫ぶ事しか出来なかったし、許されなかった。次の瞬間、

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

地獄絵図。逃げ惑う人々で辺りは大混乱に陥った。ある人は祈り、ある人はガタガタと震え、ある人は泣き叫び、そして強盗はこの機に乗じて逃げ出してしまった。

「きゅ、救急車!誰か救急車を!」

「警察はまだ来ないのかね!職務怠慢じゃないだろうね!?」

「どけよ!俺が先に出るんだよ!」

「嫌よ!私が先に出るのよ!アンタはそこで出るまで待ってなさいよ!」

老、若、男、女、関係無く。我先にと出口を目指したため、出入り口が「人」で詰まってしまった。

(俺がでしゃばったばっかりに、関係無い人達までこんな目に・・・!)

段々と薄れていく意識の中、あの子と、今も家で俺の帰りを待っているであろう妹達に、心の中で謝った。

(ごめん、かずや君、お兄ちゃんの所為でこんな事になって、ごめんな。藍、舞、美居、お兄ちゃんは家に帰れそうも無いや。ごめんな。せめて、妹達だけでも幸せになれますように・・・)


・・・そして、俺の瞼は落ちていき、視界が真っ赤だったのが真っ黒になると同時に、意識を手放した。


ふと気が付くと、俺は闇の中に立っていた。

(何処だ?ここは)

右を見ても、左を見ても、黒一色の、つまらない世界。とりあえず前に進むが、ちゃんと前に進んでるのか怪しい。


・・・多分1時間位歩いたと思う。しかし進めど進めど闇の世界から抜け出す手がかりどころか、変化すらない。

(あぁ、ここは地獄なのか?)

そう思っていたら、急に頭に声が響いた。

『ここは貴方の意識の世界。貴方の肉体はもう死んだ状態です。このままなら貴方はいずれこの闇の世界に取り込まれ、消滅するでしょう。』

「アンタはだれだ?」

『ワタシは「ーーーー」、貴方が住んでいた世界とは別の「世界」の女王です。』

「聞こえなかったからもう1回頼む」

『それよりも、貴方には時間が有りません。本当にこの闇の世界と同一の存在になりたいのですか?』

「え?・・・うぉ!なんじゃこりゃ!?」

俺の膝位迄「闇」が這い上がってきた。なんだか少しずつ、引きずり込まれている様な・・・

「っと、アンタが俺に話しかけてきたって事は、アンタは俺を助けられるのか?」

『・・・完全ではありませんが、少なくとも、その「世界」からは、救い出すことが出来ます』

「なら助けてくれ。俺にはまだ死ねない理由がある」

『・・・犠牲を払っても助かりたいと思いますか?』

「犠牲って何を?」

『・・・貴方はもう死んでいます。死人を蘇らせる事は流石の私でも出来ません』

「じゃあどうやって!?」

『貴方の「繋がり」を利用させて貰います』

「繋がり」?なんだそれは?口にするより早く答えが返って来た。

『・・・妹達にも同じ様な目にあって貰います』

「あ!?ふざけんなよ!俺はその妹達の為にここを抜けたいんだ!妹達を巻き込んだら本末転倒だろうが!なら俺はこの「世界」と同化する方を選ぶ!」

『何も妹達に死んで貰う訳では有りません。生命力を分けて貰う、と言った方が正確でしょうか』

「・・・つまり?」

『「死亡」状態から「瀕死」状態まで戻す事なら出来ます。後は此方で対処しますから』

「再度確認するが、妹達が死ぬ訳じゃないんだな?」

『そうです。重度の疲労状態にはなりますが。死にはしませんので、その点はご安心下さい』

「・・・・・・・・・」

俺はギリギリ迄考えた。だが、「闇」はもう首から下を取り込み、愚図愚図していたら本当に取り込まれかねない。俺は・・・

「じゃあ頼む!」

『承知しました。そちらの世界では対処出来ないので、此方の「世界」迄来て頂きます。・・・妹達と一緒に』

「はぁ!?そんなの聞いてなーーー」

『では、行きます』

途端に俺の体は眩しい位の光を放ち、闇を吹き飛ばし、俺の意識も吹き飛ばした・・・

全くタイトルと噛み合ってなくてすいません(汗)これから噛み合って来るので、今暫くお待ち下さい。

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