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はじまり いろはカグツチ、座美定春に会う

 『ドッシーン!』

 「うわっ!」

 「おっとすまなかったな、スマホを見ながら歩いていたもんでな。」

 「でっけえ、190メートル以上はあるぞ。」

 「おいっ! 超大型巨人でもそこまで大きくないぞ!」

 ヲニ国とクニ国の境にある山間の町に来ていたいろはカグツチは、ながらスマホのために向こうから来た少年が見えず、ぶつかってしまったのだった。

 「すまなかったな、人探しをしているものでな。ぶつかりついでにすまないが、座美定春という名を聞いたことがあるかい? 君と年が近いと思うが?」

 「ざびさだはる、ですか? いえ、わかりません。」

 「それじゃあ町の名前はどうかな? 西戸町3番地だ。」

 「それなら5番のアクシズバスで行けます。」

 『こりゃあ! おどれ何しとんじゃ!』

 突然怒鳴り声が聞こえたので、二人はその方角を見た。

 「え、何って、カメムシさわってるんですよ。カメムシってくさいけど、どれくらいツンツンしたらくさくなるのかなと思って。」

 「そんなこと聞いてんじゃねえ。おどれは新入生だろが。新入生は先輩にあいさつせなあかんの知っとるやろが。」

 不良たちにからまれていたその少年は、カメムシをさわるのをやめて立ち上がった。

 「おはようございます。」

 そう言って彼はまたしゃがんでカメムシをいじり始めた。

 「おい、おどりゃ、なめてんのか!」

 そう言って不良は少年の前にいたカメムシを踏みつぶした。

 「・・・・・」

 「帽子取れや。礼儀のなっとらんやつは、このカメムシみたいになるど。」

 「はい、すみません。以後気を付けます。」

 そう言って少年は立ち上がった。

 「今日のところはその帽子と金を渡せば許してやらあ。おどれの名前聞いとくか。」

 「はい、座美定春と言います。」

 「なにぃ、座美定春だと。」

 「おどりゃ、はよ帽子と金渡さんかい。」

 そう言われて座美定春は帽子を取った。

 「・・・ぷっ、おどりゃ、その髪型、ぎゃはははは、サザエさんじゃねえか!」

 「おい、先輩、てめえ今なんつった。」

 「え?」

 『ぷしゅー!』

 少年の背後に何か角ばったものが現れ、尖ったところから黄色いガスのようなものが噴き出し、不良の顔に直撃した。

 「うぎゃー! くせー!」

 吹きつけられた不良はひっくり返って悶絶した。それを見て別の不良が身構えた。

 「おどりゃ、やんのか!」

 「おい、今俺の髪型をアトムみてえだと言いやがったな。」

 「いや、サザエさんって言ったぞ。そのものだろが。」

 「いーや、確かに聞こえたぞ。俺の髪型をけなしたやつは、何者だろうと許さねえ。」

 その少年はなおもその角ばったもので攻撃しようとしたので、不良たちはあわてて逃げだした。

 「ね、ね、おで、カメムシのにおいまみれなんだけど・・・」

 「い、今、名前・・・」

 「ああ、彼なのか・・・」

 「あ、なんか用か?」

 そのとき、カメムシが飛び立った。

 「おぁぁ、あのカメムシか。おどかすな!」

 「あれ、そんなはずは、思いっきり踏みつぶされてたと思ったのに。」

 「座美定春、西戸町3番地在住。二十歳。君の父の名は座美出銀。」

 「ん、俺のこと、知ってるのか?」

 「座美屋の者だとしたらな。」

 「二十歳で新入生?」

 「ああ、そうさ。ちょっと家出してたもんでね。今から高校生さ。」

 「さて、クニ国は相変わらず後継者争いや派閥争いが絶えん。その中で座美屋が急速に力をつけてきたが、跡取りが長い間行方不明だった。それが君だ。その君が突然高校に入るという情報を得たのだ。」

 「すみません。俺はめんどくさいことにかかわりたくないんで。ほっといてください。」

 「座美屋は昔から奇妙な能力者が生まれる家系だった。丹生タイプと言ってるらしいが。今の君も妙な力を発揮していたな。」

 「俺は争い事はごめんです。今のは見なかったことにしてください。」

 「アルファ・イージス、この名に聞き覚えがあるか?」

 「!!・・・・彼女を知ってるのか!」

 「俺はまだ会ったことはないがな。」

 「おい、彼女に会えるのか?」

 「君の返答次第だ。」

 「何が目的だ?」

 「君が座美屋の後継者ということで接触を試みる者が多くいるはずだ。わたしが君と接触したことはいずれ嗅ぎつけられるだろう。君がクニ国の争いの道具にされる前に保護し、争いの中にいる黒幕を暴き出すのが目的だ。」

 「その黒幕とは誰だ?」

 「まだわからぬ。だが、早いうちに判明するだろう。」

 「アルファに会わせてくれないか?」

 「今はやめておこう。あわててここから動けば目立つ。しばらく高校生活を送るがいい。」

 「定春君、アクシズ高校なの?」

 「ああ、そうだよ。君は?」

 「ぼくはただの通りすがり。」

 そう言って彼は、登場人物を増やしたくない作者の手抜きの犠牲者となった。

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