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ひとりじゃなくふたり  作者: 三山 千日
番外編 『兄弟』と四季

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"そのとき"

『兄弟』の父親の臨終の一コマです。

 ◆


 "そのとき"に立ち会い、何も感じなかったと言えば嘘になる。

 それでも、予想よりは何も思わなかったのは確かだ。


 最期まで恨み言を囁いてやろうかとも思ったさ。

 だが、出会ったばかりの『弟』がいたから――この男の愚かさを半分も知らなさそうな異母弟の存在が、愚行を止めてくれた。


 良かったんだ、それで。


 肚に残ったままの、苦いばかりの恨み言なぞ、墓の前でお経代わりにくれてやればいいのだ。



 ◇


 "そのとき"に立ち会って、何も思わなかったかっつったら、んなわけなくて。

 ただ、爺ちゃんと母ちゃんのときとは違ったな。少なくとも、悲しいとかはなかった。


 恨み言もあったさ。俺のだけじゃなく、母ちゃんと爺ちゃんの分も含めたら、そりゃあもう山盛りな。

 病室に着くまでは、耳元で愚痴ってやるつもりだったんだ。

 けど、初めて会った『兄貴』がいたから――俺よりもあのオッサンのいけ好かねえ部分を思い知らされたであろう異母兄の存在が、つまんねえ憂さ晴らしをやらかす前に止めてくれた。


 よかったんだよな、それで。


 思い出すだに眉間にシワが寄りそうな、ムカつくばかりの文句なんぞ、墓参りのときにでもお経代わりにくれてやりゃあいいんだ。

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