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そのチカラ 危険につき!   作者: ゼロ先輩
== アルテーラテルト編 == 【物語進行:夜空サイド】
83/238

76話 プラスな少女 任務をこなして!

 

【※首都アラブレイ全体の簡易地図です】

挿絵(By みてみん)



【※※ 芸術大祭2日目 夜空サイド ※※】


 ビュアインパクトになって諸々の説明を受けた次の日.....。


(つら)いよね...でも走るんだよぉ」


「べ、別に(つら)いわけじゃねぇ...ハァハァ」

 ビュアインパクトの構成員となった夜空は、古参メンバーのゴースト指示の下、同い年くらいのプラスと呼ばれる少女と共に救出任務にあたっていた。




【数時間前.....】



「んぁー、いいかぁ? 芸術大祭期間中は、キュレーターの連中の動きが最も活発になる。 一般参加枠の優勝者、準優勝者、賞を獲得した奴らはほとんど拉致リストに入る。 だからといって全て狙う訳でもねぇのがまた厄介だが...そこはまぁ、俺たちの指定する人を守ってくれりゃーそれでいい」

 かったるそうに頭を掻いたゴーストが続ける


「お前の任務は、開催中の()彫刻芸術大会の受賞者の保護だ。 まぁ一人でやるってわけじゃねぇし、お前にはプラスも付ける。 んぁー、コレムとかいう嬢ちゃんは流石に行かせない。 子供だし、竜人族は目立つからな」

 長い説明にくたびたゴーストが椅子に座りながら煙草を探す。 しかし煙草が見つからなかったのか、落胆しながらため息を吐いた。


「任務とコレムの件は分かった。 しかし、狙わないって...戦闘を避けたいからって事か? だから一回の拉致にあれほどの人数を...」

 夜空はリリスの一件を思い出しながら


「大体あってるよ、キュレーター共は何故か人を殺さねぇからな。 例えそれが抵抗する人間やビュアインパクトのような敵対組織の野郎でもな。 んぁー、ほら、お仲間拉致られた時に麻痺ポーション使ってたろ?」

 人を...殺さない? 

 正しい事だとは思うが、少し妙に感じる。 人を攫うような連中が、わざわざ任務失敗の可能性を上げるのか? それとも王宮側からそういう指示をされてるのか...?


「だからこっちも殺さないって?」


「...んぁー、なるべくは避けて欲しいのは本音だ。 だがそれが、攫われる人間を見捨てる理由になっちゃぁいけねんだぁ。 プラスにも言ってるが、本当に危なくなったら剣を抜け」


「わ、分かった」

 夜空は戸惑いながら頷いた。 


「大会終了は―、んぁー、ちょうど今から一時間後だな....。 こっからはプラスの指示に従ってくれ、おじさんは疲れたから寝る。 じゃあな」

 なんであんなのが古参やってるんだろうと、夜空は若干困惑しつつ。 プラスが待っている部屋に入る。 中ではプラスが色々と準備をしてくれていた。



「あぁ、ボクは待ちくたびれたちゃったんだよぉ。 そこの机に置いてあるのがキミの装備....といっても資金も余裕ないしそこまでいい物でも無いんだよぉ」


「えーと、中古のフリントロックピストルと...この瓶に入ってる液体は回復ポーションか?」

 夜空の目線の先には、ラベルの張られていないポーションが2瓶。 中に入ってる液体は、ピンク色が一瓶と黄色が一瓶。 どちらも試験管のような細い瓶に詰められコルクで蓋をされていた。


「説明するんだよぉ。 ピンクが回復ポーション、グレードはG2だから...簡単な傷を塞いだり、内出血を止めたりする程度....。 で、黄色いのが麻痺ポーションだよぉ」

 麻痺ポーション...言われてみれば、イスカルに向けて電車の上で使った液体と色が似てるな。 てことは、麻痺の時間は数分って所だろうか?


 なんという初見殺し、かけられたら終わりなんだよなぁ。


「敵が『麻痺耐性』持っていると無効化されるから過信はダメだよぉ」


「やっぱあるのか弱点。 まぁそりゃそうだよな」

 逆に考えれば麻痺耐性とかみんな入れてるのか? そういえば、俺はリリスとコレムの所有しているスキルをなんとなくでしか把握していない。 今度聞いてみるか。


「あの少しで出るからキミも準備するんだよぉ」


「はいはい」

 夜空はバッグを部屋の隅に置き、壊れたピストルを捨ててもらったピストルへとチェンジする。 弾と火薬に関しては既にあるので問題なしだ。 ポーションを数本安全に持ち歩くためのポーチ(ポーションホルダー)のようなものを腰につける。 



 あとは...あれだな。


「人生回廊」

 自分の今の力をおさらいしておくべきだろう。 これから戦闘が起こるかも知れないのに、スキルを正確に把握していないのは色々ダメだ。


 詠唱を終えた後、夜空の目の前にプレートが出現する。


 =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

 ★天賦:アビリティースティール


 ★天賦詳細:人族以外の死亡した生命体から、死後30秒以内であれば保有していたスキルを強奪し自らで使用することができる。


 ★警告:スキル自動取得不可・スキル自動進化不可・その生物の身体的特徴を使用するスキルの使用不可

 =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

 ★現時点保有スキル名


 ・アクアショット


 ・スパイク


 ・ハイパーウェーブ


 ・野生の勘


 ★警告:現在4枠以降はロックされています....

 =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=


 アクアショット...水鉄砲スキルだ。 水圧で物を飛ばすことも可能、しかし遠距離には不向きで、反動で手が水で濡れる。


 スパイク....トラップスキルだ、地面に設置したりできる。 反動は無い。


 ハイパーウェーブ...崩壊性のある音波を射出する。 射出先が埋まっていると反発が起きて、自分自身が吹き飛ばされる。 そのノックバックで移動も可能、反動で手が擦り切れる。 


 野生の勘....嫌な予感?に近いモノを検知する。 勘なので働かないこともある...反動はずっと使用していると徐々に精度が下がる事...なのかな?



 今のスキル構成だと移動するたびに怪我をするし、もう少し機動力のあるスキルが欲しい所だ。 そもそもスキル取得限界数が少なすぎるのが問題なんだ。 リリスに関してだって、『超音波』と『超音波探知』、『パワーアップ』で3つ。七式剣技で多分7つ以上枠を残してるって考えたら、俺がいかに少ないか分かってしまう。 多分4つって相当少ないよな、才能無いのかな俺。



 そんな不安を抱きながら、夜空とプラスは警戒任務へと出発する。 このよくわからん組織の一員になった以上、古参メンバーからのある程度の信頼と理解は得る必要性はある。 だから俺はこの任務に参加している。


 ぶっちゃけこれから拉致される人なんぞどうでもいい。

 赤の他人だし当たり前だ。



 会場全体を見渡せる位置についた夜空とプラスは、会場を見渡しながら来たる結果発表に向けて待機していた。 ビュアインパクトの施設に居た人間も、地上や屋根の上など目立たない場所で同様に待機する。 


「誰が準優勝者になるか分からないけど、準優勝者に選ばれた人を保護するんだよぉ」


「了解」

 夜空はじっと待つ。


 そして大会は進行していき....ついに


「準優勝者は....エントリーナンバー3番の貴方です!!」


「や、やったぞーーー!!」


「「お父さんすごーい!!」」

 家族と共に観光に来たらしい男が、自分の妻や息子や娘に向けてガッツポーズを送る。 賞獲得の賞金やトロフィーなどを貰ってその場を後にする。 


「ボクたちも行くんだよぉ」

 夜空達はその様子を隠れながら尾行......追跡する。



 彼らが無事に次の目的地か宿屋までたどり着くまで護衛をする。 そこから先の警戒は、別動隊のビュアインパクトの構成員に任務を譲渡する。 そうして人知れず彼らが首都を出るまで警戒するのだ。


 仲睦まじい家族が人通りの少ない道へと入る。 が、彼らが宿に戻るまでキュレーター共が姿を現すことは無く、そのまま何事も無く任務を別動隊が引き受けて夜空の任務は終了した。



「現れなかったじゃねーか」


「毎度毎度は現れないよぉ。 現れたらボク疲れちゃうんだよ」

 知らんがな、必要以上に警戒した俺に謝れ。


「そもそもなんで拉致の事を民衆に公表しないんだよ....」


「しても無駄だったんだよぉ。 王宮側からの揉み消し、キュレーターによる情報操作、芸術狂いは話を聞かないし....。 ボクはくたびれちゃったんだよぉ」

 確かに、ホワイトタウンであったアトリエの女みたいなヤバい奴が大勢いるなら話を聞かないのも納得だ。 


「一度戻るのか?」


「ううん、このまま次の大会の受賞者の保護に移るよぉ。 今日の午前だけでも10個以上大会が開催されてるからねぇ」


「めんどくせぇな、行くぞ」

 愚痴を言いながら夜空は次の大会の方へと走っていった。





 結局、午前中のほとんどの時間街中を走り回って保護を行ったが、キュレーターと接触することは無かった。 後から聞いた話だと、別の場所....油絵の()()()()()()()()が被害を受けたらしい。 その人は、ビュアインパクトが駆け付ける前に攫われたらしく、任務は失敗、キュレーター共と戦闘になることすら無かったらしい。


 しかし妙な事に、現場には麻痺ポーションを投げつけられた形跡すらなく。 まるで、その芸術家が自ら望んでキュレーターについて行ったような感じがしたらしい。



「クズ空、アタシ暇」


「古参メンバーがコレムを子供扱いしてるんだから仕方ないだろ。 ビュアインパクトにおいて今の俺に進言できるほどの力は無い。 使い走りの一人だぞ俺は」


「お似合いね」


「うるせぇ」

 疲労した夜空と元気なコレムは、隠し施設の休憩所で弁当を食べていた。



「で、リリスは....リリスはどうなの?」


「冷静になれ、今王宮に喧嘩売って勝てると思うか?」


「それは....」


「今は信用を勝ち取る(フェーズ)だ。 リリスを攫った理由は『完成された作品』とやらを作り上げるためだって、プラスとかいう奴が言ってた。 それはつまり、王宮にもキュレーターにもリリスを殺したり過度に傷つけたりする気が無いって事だ」


「.......」

 理屈は分かっているが....。

 それでも心配なのか、コレムは何も言えずに黙っている。


「はぁ...、大丈夫だ」

 夜空はコレムの頭に手を乗せる。

 そしてそのまま続ける。


「守るもんを明確に区切るからには、自分が守りたいと思ったものは死んでも守り抜く。 これは俺のモットーみたいなモンだ。 だからと言って安心しろとは言わない、俺は弱いから.....だから協力しろコレム」


「クズ空のクセに...カッコいい事言ってんじゃないわ」

 コレムは嬉しそうな表情を隠しながら、生意気な口をきいた。


「協力してもらうにあたり、まずは持ってるスキル教えろ」


「....偉そうね。 だけど、しょうがないわね」

 コレムは生意気になりながら、夜空に自分の所有スキルの詳細を語り始めた。




 コレムは現時点で4つのスキルを保有している。 『ニトロレーザー』、『閃光』、『遠視』....そして最後に『飛行』。 セブン国に居た頃、カイルが言っていたが竜人族の中には空を飛べる者もいるらしい。 コレムは空を飛べる者だった。


 しかし肝心のコレムは....


「嫌ッ」


「なんでだよ!!」

 飛行することを渋っていた。


「何度指示されたって嫌なものは嫌よ!」


「高台に登りやすいだろうがッ、せっかく『遠視』で王宮を見下ろして探してもらおうと思ってたのに! なんで『飛行』したくないんだよ!! 飛べよッ!」


「だって.....嫌いだし...」

 コレムが言いたく無さそうに言葉を紡ぐ。


「あぁ、なるほど。 高所恐怖症だな!」


「はぁ? 違うわよバカ空!」

 クズ空にバカ空....そのうち別のバリエーションが増えそうだ。


「じゃあなんだってんだよ。 お前次第じゃリリスを助けられるかもしれないんだぞ?」

 本当はその確率は低そうだが、このブラフは許してもらおう。 本当に飛行が使えるのなら、この先の旅路でコレムは大きな戦力になりうる。


「うぅ...うぅぅぅぅっ――――っ!!」

 コレムは本気で悩んだ後、諦めたように言った。




「羽が....嫌なのよ。 ドラゴンっぽくないし」


「思った以上にくだらない理由だった」

 ため息をついた夜空に向けて、コレムが顔を真っ赤にしながら走ってきて.......腕に噛みついた!!!!


「黙れクズ空!!!」

 けっして甘噛みでは無く、怒りをぶつけてるような噛み方だ。


「痛だああああああああッ!!!」

 罵声と悲鳴が休憩室に響いた。


==☆次回予告☆==


76話の閲覧お疲れさまでした。


今回のプチ話は、平均的な一般人のスキル習得可能数についてです。

基本的に習得可能数は、特殊な魔道具でも使わない限り生まれてから死ぬまで増える事はありません。 基本的な平均数は約5~10個程度。


そう考えると、夜空が4でかなり少なく。

リリスが10以上、イスカルが30程度と考えると夜空の周囲を取り巻くバケモンの才能の高さが見えてくると思います。 ですが、肝心なのは使いこなすこと。


使えると使いこなすでは意味が違うのです。



次回、77話......竜な少女 銀髪を視て!


是非次回もご朗読下さい!


ではでは~

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