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そのチカラ 危険につき!   作者: ゼロ先輩
== アルテーラテルト編 == 【物語進行:夜空サイド】
66/238

59話 運送の国 動き出して!

 

 ※....今回から夜空編が再スタートします。


 それに伴い、時系列が疾風がスピールト他民族国家を出立する約一週間前にさかのぼっています。 それを踏まえた上で物語をお楽しみ下さい。



では、始まります。




 =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=




 夜空がセブン国を出立した頃から、夜空はずっと心の奥底で気にし続けている。 自分を追っている帝国...オニキスの陰を。  ......不安は徐々に動き出す。 オニキス帝国は、緩やかに夜空へ魔の手を忍ばせ始めていた。 




【....オニキス帝国より西部。 夜空が転落した激流にて】





「ザー....こちら座標28、目標()()()()は確認....ない...ザー」

 大庭先生の天賦にオニキス兵からの通信が入る。 少し大庭先生から離れすぎたのか、天賦による長距離通信にノイズが入る。


「り、了解です。 えーと、28...28っと、これは×。 もしもし、確認できましたので次は座標29に向かってください。 とりあえず今日はそこまでの探索でおしまいです」


「座標29了解」

 大庭先生は、通信の通りに川沿いの区画分けされた地図...その28番の枠の所に×をつけた。 


「こちら座標32、目標デーモン我見ず。 大庭殿、次の指示をくれ」

 別の兵士が続けざまに通信をしてくる。


「32....はい、確認しました。 今日の探索は終了です、オニキス帝国へ帰還してください」


「いやーやっとかぁ、今日もお疲れ様だよ! 大庭殿、小さい英雄にもよろしく言っておいてくれ。 それでは我、帝国へ帰還する!」


「か、帰り道も気をつけて下さいねぇ?」

 通信が終了する。 

 今度はそこまで距離が離れてなかったのかノイズは発生しなかった。






「見事な連絡網、流石でございます勇者様」


「あわっ、宰相ひゃんっ痛ッ!」

 大庭先生はテンパって舌を噛んだ。

 オニキス王に使える宰相の爺さんは見慣れているのか動じない。


「....お疲れでは?」


「あははぁ...疲れは、ありますけど。 生徒も頑張ってますし」

 大庭先生の目線の先には、天賦の力によって探索に出ている数人の兵士を空中に浮かせている生徒が居た。 長時間捜索をしているため結構な疲れが見える。


 空中からの偵察と通信によって対象を捜索する。 

 ....召喚された勇者が提示した提案だった。



「こちらが頼んだ事とは言え、ご苦労をおかけ致します。 .....我が帝国の恥、()()()()()にご協力頂いたこと誠に感謝しております」


()()()()()()()()のに謝罪すらせず、()()()()()()()とは女性としては許せませんからね」


「......ありがとうございます。 例の件もありますのに重ねて心労をおかけして....無事に事が済みましたら宴会を開かせて頂きます」


「宴会は...まぁ、それはそれで。 で...()()()()()()()()の方はどうなりましたか?」

 その顔から笑顔が消え、心配そうな表情で尋ねた。 宰相は、そんな大庭を見ても顔色一つ変えずにぬけぬけと....


「街道沿いを誠意捜索中です。 まさか彼が黙って国を出ることになるとは....我々も大変心を痛めている始末でございます。 ご心配とは存じますが、何卒もう少しだけお待ちいただければ......」


「いえいえ、捜索して頂けるだけでも助かります。 ()()()()()()()()()()...」

 宰相は安心させるように笑みを浮かべながら『お任せくださいませ』と言った。

 そんな宰相が、夜空の命を狙っているとは梅雨知らずに...。




 =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=


【セブン国、街道沿いにて....】



「旅ならあの幼馴染と行けば良かったのに、わざわざ俺なんかと...」

 夜空はブツブツと独り言を言いながら、元気に歩くリリスの後ろを追従するような形でついて行く。 リリスは旅の道具として調理道具とか寝具、その他諸々の道具を持ってきてくれた。 それも元王族という事もあり、かなり上等な奴。 勿論、宝石ジャリジャリとかそんなんじゃ無い、しっかり実用性に長けた上で上質な物という意味でだ。


「ふんふんふ~ん♪ どうしましたっ?」

リリスは可愛い声で、上手に鼻歌を歌いながらついてくる。


「なんか.....ご機嫌だな?」


「お恥ずかしながら旅をしたこと無いので...えへへ」

 目の前の銀髪少女は、風でセミロングの髪の毛をなびかせながら照れる。 


「王族だから他国に行ったりしなかったのか? よく知らんが、他国の王族とか貴族とかにご挨拶とか、あとはお見合いとか?...そういうの......多分あるだろ?」


「あー、あー....。 そうですね、お爺様がご存命の頃はたまについて行ったりしましたよ? といっても、幼かったのでそこまで深くは交流してませんでしたが。 それに、そういうのは馬車で行くので、冒険者のような徒歩の旅とは勝手が違いますっ。 セブン国の王族といえど、護衛も多いので自由はあまり......」

 よく分らん。 

 自転車で、見知らぬ場所を探検するときのワクワク感と家族旅行の違いみたいなもんか?


「そう考えると、俺お嬢様と旅をしてる事になるのか...。 何このラノベ」


「ラノベ?」

 夜空は首を傾げるリリスに『何でもない』というと、先が見えない程長い街道の先を見る。 


 そういえば、オニキス帝国から離れる一心で歩いてきたけど次何処行こう。 春を探す件も同時進行で進めていきたいし、なるべく近場の国がいいなぁ。


「なぁ、リリス」


「はいっ!」

 元気よく振り向くリリスに若干引いた。

 俺が12歳の頃ってこんな元気いっぱいだったか?



 既にゲーム三昧だった気がする。 

 本当にろくでもねぇな。



「勇者召喚って分かるだろ?」


「はい....セブン国ではやって無いですけど。 そういえば勇者にお知り合いがいるんでしたっけ....確か名前が....テルなんとか」

 あれ? リリスにテルテルの事話したっけ?


 まぁいいか、さして重要じゃないし。


「テルテルの事は関係ないんだけどさ、隣国で勇者召喚を行った国とかって知らない?」


「う、うーん。 (わたくし)剣の修行ばっかりで新聞とかあんまり読んで無いんですよね」

 お前それでも貴族の令嬢か、とツッコミたくなる。


「南大陸は色々慣れてなくてさ。 ...この暑さもだけど」

 猛暑、というほどでは無いが運動すれば汗をかくレベルの暑さが常にある。 セブン国は、国全体が森に囲まれている分まだ涼しかったが、それが無くなると途端に暑い。 だが、水道が無いこの世界では水筒の水をガブガブ飲むわけにもいかない。


「あっ、思い出しました。 アルテーラテルトッ、アルテーラテルトで6名の勇者様が召喚された事をお父様やお兄様から聞きましたっ!」


「アルテーラ...テルト? 国名...だよな? 距離は...っと」

 夜空は買ったばっかの新品地図帳を開く。


挿絵(By みてみん)



(街道沿いを歩いて行くとしても、道中の村に物資補給の為に寄ると考えたら大体1週間くらいは歩かなきゃダメそうだな)

 地図から距離を割り出しながら、アルテーラテルトの一番近い町...アルテーラテルトの【ホワイトタウン】を目指すことにした。 【プケッカ】と悩んだが、国の首都を目指すんだったらホワイトタウンの方が近いだろう。



「リリス、アルテーラテルトのテーマ分かるか?」


「はいっ、アルテーラテルトのテーマは【芸術】ですっ! 街ごとに色んな芸術を極めていて、一年に一度...他国の王族や貴族、旅人や商人、大道芸人とかをたーくさん呼んで大きなお祭りを開くんです! 歌って踊って絵を見て書いて、彫刻を買って....まぁ、歌うぐらいしかやったこと無いですが。 時期的にそろそろでしょうか?」

 娯楽文化をテーマとした国なのか。 

 オニキスともセブンとも違う毛色の国という事か。


「リリスは行ったことあるような口ぶりだな?」

 楽しそうに話すリリスを見ていると何故だか安心する。



 妹と同じ年齢だからだろうか?



「立場上、顔を出しに程度ですが...。 でも(わたくし)、結構歌上手いんですよ? 少なくとも家族には好評でしたっ、特にお兄様なんかは『素晴らしい音色をありがとう』って」

 思い出すようにリリスはクスクスと笑う。

 そういえば、さっきの鼻歌も上手かったなと思い出す。


「あの兄貴ならお前が黒板を爪で引っ搔いても同じ事言いそうだな」


「.......いや、流石に...うーん」


「無いとは言い切らない辺り、やっぱ変態だよアイツ」

 リリスは怒るに怒れない微妙な顔をしている。





 まぁ行き先はアルテーラテルトの近場の大きい街ってことでいいとしても、そこまで結構歩くよなぁ。 正直まだ体力にはそこまで自信が無い、そういう関連のスキルとかってあったりしないのか?



 ....こればっかりは、我慢するしか無いか。



「とりあえず夕方近くまで歩いて川の近くで野宿だな。 夜間歩くとあぶねぇのはもう身をもって知ってるからしたくない。 リリスも別に異論無いだろ?」


「あぁ、だからパニックウルフにあんなになって」


「.............うるさいよお前」

 リリスがあの時のパニックウルフ事件を思い出してボソッと呟く。 パニックウルフという言葉を聞いた時、夜空の体に鳥肌が立った。






 途中で旅商人から綿を購入した以外は別段トラブルも無く....一日目の目的地へと到着した。 辺りはキャンプしやすそうな川が流れており、近くの林から薪も集めて来られそうだ。 リリスの腕時計では午後5時半が示されており、既に辺りは暗くなり始めていた。


「じゃあここら辺で今日は休んでいくか」

 夜空とリリスは川が見える高台で荷物を下ろす。


「分かりましたっ! 何すればいいですか?」

 指示を仰がれても、キャンプの知識なんて動画サイトの知識くらいしか無いので手探りだが....とりあえずは料理の準備をするべきだろう。


「じゃあ、そうだな...薪集め頼む。 俺は焚火の用意しておくから」


「わっかりました~っ!」

 何が楽しいのかスキップしながら少女は向かって行った。 夜空は河原から手ごろな石を持ってきて、平らな地面に小さめの穴を掘る。 持ってきた石を風よけになるように置いてから、穴の中心に先ほど買った綿をちぎって置く。 綿を押さえつけるように細めの枝を重ねたら、リリスが持ってきた太めの枝をさらにその上に重ねるように置く。



「....見よう見まねだけど中々良いんじゃないか?」

 日本の動画サイトで見たようなキャンプの焚火のソレが出来た。 

 で、肝心なのは火だが...それに関しては心配ご無用だ。


「スキル『火炎耐性』+スキル『火種』」

 練習もかねて同時発動を行いながら綿に火を近づけた。 綿が着火剤となり、火が大きくなって枝を燃やしていく。 スキルの同時発動も結構慣れたもんだ、油断すると失敗するけど。


「わー、綺麗ですっ」


「.....まぁ、貴族のお嬢じゃ焚火もやらんよな」


「おうちの暖炉とはまた違った良さがありますね~」

 魅了されたように炎を見つめるリリス。 

 その目に炎の鮮やかな橙色が反射して碧眼がキラキラと光り輝く。



 .....顔がいいってズルいなぁ。

 夜空は自分の普通な顔面を卑下しながらそう思った。



 リリスが家から持ってきたベーコンを切って焼いて、これもリリスが持ってきたパンで挟んで食う。 焚火での火力調節の方法が分からず、ベーコンが少し焦がしたこと以外は概ね満足のいく食事が出来た。


 リリスいわく、街道沿いは魔物の出現頻度は低めらしいのだが、念のために見張りを交互に行いながら一夜を明かす。 リリスがやたらと色んな話をしたがり苦労したのだが、どうせこれからも旅は続くんだからと一蹴して黙らせ、眠ってもらった。



 隣でスヤスヤと寝息を立てるリリスをさりげなく守りながら、焚火の静かな【パチパチ】という火の粉が跳ねる音を聞く。 


 この音を聞いていると、やっぱりここは安全な日本じゃ無いんだなと思ってしまう。 隣で銀髪碧眼少女が寝てる時点で日本じゃねーだろと色んな人にツッコまれそうだが、そこは優しく触れないで頂きたい。



「クルミでも齧るか...」

 夜空はバッグの中からナッツを取り出し、眠気覚ましがてらに舌の上でナッツを転がす。 ナッツのほんのりとした甘さが何故かとても美味に感じた。









 鳥の鳴き声が聞こえて目を開ける。 

 そしてすぐに飛び起きる! 



 しまったッ! 寝落ちした!

 辺りを見回し、リリスと自分の荷物を直ぐに確認する!


「あっ、おはようございますっ」

 ....リリスがとっくに起きて料理してた。 朝食は野菜のスープに昨日の残りのパンを焼き上げた物、貴族のお嬢が作った物とは思えない程、見事なお手前だった。


「は? えっ? あぁ、うん、おはよう...?」


「寝癖酷いですよ、川で顔を洗ったらどうですか?」

 爆発した夜空の頭を見ながらクスクスと笑う。 


 どうやら寝落ちしたことについては怒っていないらしい、ここが街道沿いで良かったと心底思った。

 ....というかどうでもいいけど、貴族のお嬢が料理とかって結構アウトなんじゃ。




 というような旨を食事の際に伝えて見た所。




「趣味です。 ...ただ、(おおやけ)にはできませんがっ」


「趣味かぁー、そっかぁー」

 趣味ならば仕方がないだろう。 一緒に旅してる身からすると、二人とも料理ができるというのはありがたい事この上ない。 今日日(きょうび)、料理下手なんていう属性は妹の春だけで十分だ。




「飯食ったら出発しよう。 とりあえず4日後までに村までたどり着けるといいな」


「夜空さんの剣術指南がてら途中魔物とかと戦っていきます?」


「危険は結構だッ!!」

 焦る夜空に対し、ひどく面白そうにリリスが笑った。

==☆次回予告☆==


59話の閲覧お疲れさまでした。


新章アルテーラテルト編開始です! 相変わらず、リリスと夜空のからみは書いてて楽しいですね。 あんまり日常やりすぎてもあれなので物語進めますけど。


久しぶりのプチ話。


アルテーラテルトは、サーマ(彫刻の街) プケッカ(音楽と演劇の街)  ホワイトタウン(絵画の街)となっています。 国土には、大きな町の周辺に街道が走り、その街道沿いに小さな村などが点在しています。 それぞれの村は、一番近い街の【補助テーマ】に影響を受けています。



次回、60話......その幼女 かの男に想って!


是非次回もご朗読下さい!


ではでは~

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