31.5話 セブン国編☆おまけ☆ 夜這いは宿屋で護衛付き!
この物語は、リリスが夜空と初めて接触し...煙幕で逃げられた後の話になります。
本筋とはそこまで関係ない...雑談ですっ!
〔※こちらの話の時系列は17話時点でのモノになります〕
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夜空は地面に煙玉を叩きつける。 煙玉が噴き出した大量の煙幕を放ちたちまち裏路地を包み込み、一瞬で視界を奪って行った。
「煙幕なんてズルいです!」
リリスはそう言いながら煙幕の中に飛び込む。 殺しては捕えられないと考えたリリスは、蹴りを使って夜空を制圧しようとするが...煙を晴らしてもその場に夜空の姿は無かった。
「どこに行ったんですか!?」
困惑した、居るはずの人間が居なくなったのだから。
辺りを見回していると、自分を馬鹿にするように2発目の煙玉が地面に接触し、同じように煙がリリス周辺に放たれた。
「またっ!? も――、なんなんですかあぁっ!」
その直後、左側の通路から『バタンッ』というドアの閉まる音がしたのをリリスは聞き逃さなかった。 夜空がそっち側に逃げたことを予測し、即座に走り出す。
「そっちですか! 逃がしませんよ―――っ!」
走り、走り...路地の先にある明かりの点いている建物の内部へと飛び込む。 中は飲食店になっており、修練や任務を終えた銅や銀の階級剣士たちが、一日の疲れを癒しながら食事を取っていた。 店内へ突然飛び込んできたリリスに視線が集まる。
「あ、あれっ!?」
なんだなんだとリリスの方を見る剣士たち。
「おぉ七式のリリス様じゃないか!」
「あの12歳で銀ノ上にまで上り詰めた凄腕剣士!? うわーっ本物だ」
「噂の数倍可愛らしいなぁ...」
店のあちこちから若者やオッサンのはしゃぐ声が上がる。
「うぅ...見ないで下さい~」
リリスは、間違えたことの気恥ずかしさで顔を真っ赤にしていく。
そんな恥ずかしがるリリスを見て、その場に居た剣士たちが新たな性癖を導き出したのは言うまでも無かった。
「「「う、うおおおおおおおおおおおおおッ」」」
リリスの反応をつまみに食事を楽しむ男達を背にし、飲食店を出る。
本当にあの犯罪者さんは何処に行ってしまったのだろうか? 警備を担当する者として、またセブンティア家の名に泥を塗らぬよう必ず捕縛しなくてはっ!
「うぅぅ―――...」
リリスは薄暗い夜道で半分涙目になりながら歩く。 暗いため心細くなったのもあるが、それ以上に自分が情けなかったのだ。
もしこれがカイル兄様なら、一瞬であの夜空さんとかいう人を拘束していた筈だ。 お父様やお母様も今でこそ引退しているが、昔は強い剣士だったと聞いている。
「情けないですね...私」
近場のベンチに座り考えていると、ふとあの時の夜空の発言...『その恰好...随分裕福な家庭で育ったんだろ? じゃあお前みたいな奴には一生分からん苦悩だろうな?』という言葉を思い出す。
お金が無くて盗んでいた...とすると、お腹が空いていた? あるいは今日の宿代が無かったとか?
「....だとするなら、もしかしたらあの場所に」
リリスは一応、万が一の可能性にかけてこの街でたった一つの宿へと向かう。 既に腕時計は午後3時あたりを指していた。
「いらっしゃい...ん? セブンティアんとこの娘さんじゃないか」
金ノ上の階級を左胸に付けたオッサンが店番をやっていた。
「こんばんはっ、夜分遅くにごめんなさいっ! 少し、おたずねしたいことがあって...」
「あぁ、客の名簿だろ?」
慣れた手つきで今日の客名簿を渡す。
「い、いいんですか? 事情を聞かずに」
「良いも何も、警備に情報を提供するくらいいつもやってる。 宿屋の店主が、客のプライバシーを守らないってのもどうかとは思うが、そんなくだらねぇ事で犯罪やらかされてもたまらんからな。 それに、執行隊の連中も他国の人物の名前確認の為とかいってよく確認しにくるしな」
「えーと、今日は...3人。 フォブさんとノウィさん...それに....うぅん?」
リリスが名簿表に書かれた『Y0Z0ra』という理解できない文字で書かれた名前があった。 YとZの後ろは数字の0になっており、raに関しては小文字の英語だった。 ローマ字読みと数字を当てた文字で構成された簡単なワードトリックは、流石にこの世界の人達にとって難しかったようで。
「店主さん、この方名前言ってませんでしたか?」
「聞いたんだけどなぁ、書いたんだからそれ見て判断してくれって言われて」
お客さんにそう言われたら何も言い返せませんよね。
「怪しいだろ?」
「これは、怪しいですねっ」
逆に念を入れ過ぎて怪しまれていた、本末転倒である。
「一応2階の部屋に泊ってるが、嬢ちゃんどうする?」
「お部屋って...入ることできますか?」
「...マスターキーあるし出来るっちゃぁ出来るが、どうするんだ?」
「寝顔を確認して、もし正しければ....」
店主は、それって夜這いなんじゃという言葉をグッと飲み込んでリリスの提案を承諾した。
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リリスは鍵を受け取り、謎の人物が泊まっているハズの部屋の扉の前に立つ。 店主は、万が一リリスが襲われる事態も加味して近場で待機する。
リリスが鍵穴に鍵を差し込み回すと【ガチャリ】という音がしてドアが開く。
リリスは恐る恐る顔を確認すると。
(っ!!)
夜空だった。
スヤスヤと静かに寝息を立てて眠る夜空に、リリスは静かな苛立ちを覚えていた。 拳を握りしめ、その拳をプルプルと震わせている。
(こんなに苦労させて、何スヤスヤ寝てるんですかっ!?)
リリスは剣を鞘から抜き、腹に思い切り飛び乗って首筋に刀身を這わせる。 夜空が衝撃で目を開け、置かれている状況を理解し...そして...!
「ひゃあああああああっっっ!!!」
変な声で発狂した。
夜空はリリスを怪物を見るような目で見つめている。
「おはようございます。 よくもやってくれましたね?」
「このっ...騎士道に反する行動しやがって! 剣士の風上にも置けない奴だ!」
「なっ! 貴方が言いますかっ煙幕なんて卑怯なモノ使っておいて!」
「3対1で負ける方が悪いと思うんですけどぉ―――? そこら辺はどうお考えでしょうかぁ―――?」
煽り散らす夜空に対して、頬を膨らませながらリリスは怒る。
「あ、貴方を拘束します。 抵抗は無駄ですからねっ」
リリスは夜空の両手を掴もうと伸ばすが、先に夜空が寝ぼけたようにリリスのお腹に手を当てた。 リリスは警戒しながら叫ぶ。
「触らないでもらえまっ!!!」
リリスが文句を言い終わる前に...夜空は無慈悲に。
「スキル『ハイパーウェーブ』」
リリスの腹の辺りに衝撃が走り、『パァン』という音と共に吹き飛ばされ部屋の壁に叩きつけられる。 持っていた剣が天井に突き刺さったことを確認したら、近場に置いてあったカバンを持って逃走を開始する。
なんて人、この状況でもまだ諦めないなんて。
とんでもない悪人ですっ!
「ぐぐぅ...待ってくださいぃ...」
リリスに少し申し訳なさそうにしながら夜空がその場を去っていき、扉の向こうへと姿が見えなくなった。 リリスは自分の惨めさを痛感しながら拳を握っていると部屋の外から。
「へっ?」
夜空のマヌケな声が聞こえた....その刹那
「お客さんよぉッ、リリスちゃんになにしくさってんじゃアアアアアア!!」
店主の怒鳴り声が宿中に響き渡り。
「げえええええええええええええええええええええええええええッッ!!!!」
続けて夜空の悲鳴が聞こえてきた。
「...だ、大丈夫か嬢ちゃん」
その後、駆け寄ってきた店主に渡された回復ポーションでリリスは回復し...気絶した夜空はリリスが連行していった。
だが屋敷への運搬途中のリリスは知らない
この男が近い未来自分のパートナーとしてこの国を駆け巡ることになるとは
今はまだ、知らない話だ。
今回はおまけパートです。
次回の更新から第3章が始まります。
また次回の更新は、作者のリアルの関係上.....少しだけ投稿が遅れる事をご留意くださいませ。




