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そのチカラ 危険につき!   作者: ゼロ先輩
== セブン国編 == 【物語進行:夜空サイド】
19/238

18話 その少女 勇敢なり!

 爆発音のした建物は2階建ての道場のような作りになっており、一回は流派を学んでいる人たちの学び舎とその簡易闘技場になっていた。


 そしてその簡易闘技場はみるも無残に破壊され、その中央にはスキンヘッドに短い角の生えた...肌に全体的に淡いウロコのようなものを付けた筋肉質の男が木刀を持って立っていた。 男の目線の先には、20代後半の門下生と思わしき大人が泡を吹いて倒れている。 



 男のその胸には階級章がついていなかった。



 リリスは怖がる同流派を学ぶ門下生たちを押しのけ、駆け寄り声を上げる。


「なんでっ.......なんでこんなになるまで痛めつけたんですかッ!?」

 付近からは7式のリリスが来たと口々に賞賛されていた。


「ほう、これはまた可愛いお嬢ちゃんが来たじゃぁねぇか!」


「リリス・ルゥ・セブンティアと申します。 貴方は?」


「闘技場で名を名乗るってことァ、つまりはお嬢ちゃんも戦うってことでいいんだよなァ!」

 手をバキバキと鳴らし、威嚇しながら再び叫ぶ。


「俺様の名はイェーガーッ! 好敵手を求め...熱い戦いを求めるものだッ!!」

 どう考えても、目の前の男は剣術なんて学びに来たような風貌では無かった。 どちらかと言うと武術の方が、体格に合っている気がする。


「さぁ戦おうぜぇ」


「待って下さい。 まだそちらで倒れている方との戦闘理由を聞いていません」

 その言葉にイェーガーは、大声で笑うと


「言っただろ、俺は好敵手を求めると...その男は弱すぎた、未来も無い。 戦いの状況下においての、生への執着心すら感じなかった」


「だから、ですか?」

 その言葉にイェーガーは盗んでポケットに入れた、()()()()()()()を手に取り、それを力を込めてひん曲げ捨てた。 


 その様子を見ていた、気絶した門下生の友達と思わしき男が悲鳴を上げ、涙を流す。


「この国の制度のひとつ、()()()()()()()()()()()()()()...壊れれば、国外追放だったか。  悪くないねぇその下らねぇルール。 実にエキサイトだ、嫌いじゃねぇ!」


「な、なんてことをするんですかっ!」

 リリスが見たことも無いような表情で激昂する。


「そう怒るもんじゃない、この行動自体は人に頼まれただけだ。 最も、そこで寝てる野郎が再び戦場に立つ程の気力が残ってるか、分かんねェけどなァアッハッハッハァッ!!」


「セブンティア流七式剣技2番! セブンヴァンッ!」

 剣を引き抜いたリリスはスキルを使用し、構成された7色の風が斬撃性を持ち、イェーガーに向かうが...イェーガーはそれを避けようともしない!



 そして何故か、虹の風の威力は夜空と戦った時より明らかに威力が落ちていた。



「むぐおおおおおおッ!!!」

 全ての斬撃をくらい膝を地につくが、再び立ち上がる。 その顔はおぞましいほどの戦いへの欲求と、強敵が現れたという喜びが前面ににじみ出ていた。



 そんな様子を警戒しながら、リリスは周囲を見渡し...人が沢山いるこの状況に冷や汗を垂らした。 リリスは、非常に戦いづらそうにしながら剣を再び前に構える。



「ハァハァ...アッハッハァハハハハッ! 涎が出ちまうほどの強さだ、少女で無ければ尚良かったが...お前を壊す、悪く思うんじゃないッ!」

 そう言うと、筋肉質の男はフルパワーで地面に手を突き刺し、建物の床ごと地面を持ち上げる!


「うわっ、わわわわっ!」

 これにはたまらずリリスも体制を崩す....その一瞬をイェーガーは見逃さなかった。


「さぁ見せてくれ、お嬢ちゃんの生への執着を!!!」

 突っ込んできたイェーガーを見事な剣技で退け、上手い事距離を取る。  リリスは足に力を込め、イェーガーの胸に切りかかるが、イェーガーはリリスの顔面を掴もうとひるまず手を伸ばす。


 体格的に不利なリリスは掴まれる前に距離を取ろうとするが、腹に蹴りを入れられ再び体制を崩す。 リリスは蹴られる直前に受け身を取ったが、腹に結構な勢いで食らってしまっていた。


「フゥ...フゥ...お強いんですね...」

 フラフラしているリリスが、立ち上がり声を上げるが、その声は既に弱り切っていた。


「いいねぇ最高だ、この冷や汗がたまんねぇんだよ...」

 リリスの剣を持つ手が震え、痛みで目がかすむ。 いくら鍛錬しているとはいえ、筋力はまだ子供。 すでに限界は近かった。


「セブンティア流七式剣技....5番っ! 五鳥10連切ッッ!!」

 スキルで構成された5匹の鳥が斬撃性を持ち、イェーガーに向かって一直線に飛んでいく。



 本来ならその鳥は一度敵を貫通した後、再度Uターンして再び貫通するもの...なのだが。



「ではお嬢ちゃん...敗北の味を知るといいッ」

 イェーガーは手に持っていた木刀で、リリスの技を嘲笑うように簡単に破壊すると、手に持っていた木刀をそのまま力一杯にぶん投げた。 非常に拙く、剣技ともいえないその技をリリスは刀身で無理やり受けるが、ダメージの抜けきらない体では受けきれず、剣ごと吹き飛ばされる。


「キャァッ!!」

 年相応の少女の悲鳴が建物に響く。


「やはりお嬢ちゃんでは、俺様の好敵手にはなれないようだなァ!!」

 イェーガーは大声で笑いながら、倒れたリリスの鎧を掴み壁に向かってぶん投げる。 吹き飛んだリリスは剣を離してしまい...体は壁をいとも容易く貫通し、隣の建物へと突っ込む!



 凄まじい音が辺り一帯に不安を呼ぶ。





 そして...『バキンッ』という何かが金属が破損する音が聞こえた。

 その音の先には、リリスの愛剣を握りつぶして破壊したイェーガーの姿があった。 





 リリスが、虚ろな目で壊れた自分の剣を見つめ放心する。

 破壊された剣の先が音を立てて地面に落ちる...七式のリリスがやられたという、その衝撃的な事実が野次馬を介して周辺に一気に広がる。


「リリスッッ!!!」

 野次馬に押され、なかなかたどり着けなかった夜空が声を上げる。 イェーガーがこちらに対して振り返るが、瞬時にイェーガーが自分を相手として見ていない事を夜空は見抜き、リリスへと駆け寄る。


「おい大丈夫かッ! ...子供を痛めつけやがってクソ野郎が!」


「夜空さんっ...子供扱い...しないで...くだ...」

 すべて言い終わる前に、そうとう痛かったのかリリスの目から大粒の涙が零れる。 その涙を見た瞬間、夜空は黙って立ち上がりイェーガーを見る。



 イェーガーを見る夜空の目が...どうでもいいものを見る目から、敵をみる目へと変わった。



「別に仇を討つ間柄でも無いが、お前を見ていると何故か春を思い出す」

 見た目も雰囲気も言葉づかいすら、何もかも違うハズなのに...


「...俺は子供の涙に弱いんだ」


 夜空は、近場にかけよってきたおばさんにリリスを少しの間頼み...イェーガーの前へと立つ。


「お前は階級章が無いんだなァ! 見習いかァ!!!」


「黙れ」


「随分と強気だなァ! いいぞ強がりは大好物だ!」

 夜空は名乗る前に、ゆっくりと警戒されないようゼロ距離まで近づいていき、イェーガーの立派に割れた筋肉に、両手をその腹筋を持ち上げるような形で当てる。


「なんだァ? 肉体美惚れたのか?」


「.......」

 夜空は脳内で数回使ったスキルの感覚を極限まで集中して思い出し....脳内に、両掌にフルパワーで出力するイメージをくみ上げる。 

 その直後、両手の掌から強烈なウェーブが発生して、イェーガーと夜空の皮膚の間に蓄積し『パァンッ』という音を伴ってウェーブが炸裂、イェーガーが建物の外にある大通り反対側の建物の2階まで吹き飛んだ。


 スキルを使った夜空の手のひらが『ズキンッ』と痛んだ。  スキルを使った直後、即座にその場に煙玉を放ち、傷ついたリリスをおばさんから受け取り...お姫様だっこして逃走する。


「オイ、リリスしっかりしろッ!!」


「な、なんで...助けて...」


「俺が自分に聞きたいわッ! クソッ面倒ごとになる前に国を出たかったのに!」

 夜空が愚痴を言いながら、リリスを掴む手の力を強くする。



 絶対に落とさないと...握る手の強さは、夜空の言動とはまるで真逆のものだった。



 後方から『ハゲが逃げたぞー!』という罵声を完全に無視して、夜空はセブンティア家の屋敷への道を急いだ。


 =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=


 夜空は傷ついたリリスを抱えながら大声で屋敷の扉を叩いていた。 病院に連れて行こうかとも思ったが、顔も知らないコイツの兄貴が近くにいた方が安全だと、直感で判断した。


 そもそも病院の場所分からんし、襲撃される危険性も捨てきれない。


 しばらく扉を叩いていると、使用人と思わしき恰好の女性が出てくる。 夜空の姿を一目見て嫌そうな顔を浮かべた後、傷だらけのリリスを見て悲鳴を上げる。


「旦那様を呼んで! リリスお嬢様がお怪我を!!」

 その言葉に屋敷中の使用人やリリスの両親が大慌てでリリスを部屋に運び込んでいった。 玄関に取り残された夜空は、早めに国を出ようと帰ろうとして。


 扉の前に居た若い男に止められる。


「待てそこの男」


「待たない、俺はアンタに用事が無い」

 そう言ってその場を去ろうとした夜空の顔面に、男は刃を突き出して止める。 鈍く光る刀身を見た夜空は両手を上げ、直ぐに降参のポーズを取る。


 正直、さっきのフルパワーのハイパーウェーブの影響で、もう戦う気力なんてこれっぽっちも残っちゃいなかった。 ...男は夜空を睨みつけ、口を開く。


「俺の名前はカイルだ」


「あぁリリスの兄貴だったか...お初にどうも、俺は夜空」


「では()()()()。 単刀直入に聞くぞ?リリスを痛めつけた相手はどんな奴だ」

 ...俺ちゃんと名乗ったんだけどな。 

 直前の評価も相まって酷いもんだ、慣れてるけど。


「知らねぇよ、こっちが聞きたい。 角とウロコ生やしてたこと位しか情報ねぇぞ」


「角とウロコだと!?」

 急に大声を出されて夜空がビクッてなる。


「おぉう、急に大声出すな。 びっくりするだろ」


「竜人族...そうか...ふむ...」

 ブツブツと考え込むカイル


「そんなに珍しい種族なのかよ、その竜なんたらって」


「貴様ッ、無能も良いところだぞ! 竜人族は竜と人の混合種族...その力は強く、生まれつき空を飛んだり、火を吐いたりする者もいるそうだ。 そもそも彼らは、西大陸の集落の近辺でのみ活動する非常に排他的な種族の筈なんだが....」


「レアってことね」


「この俺も、何度か海外へ赴いているが、実際に見たのは数回程度だからな」


 排他的...ねぇ。 アレどう考えてもそんな風には見えなかったんだけどな。


「竜人族の情報感謝するぞゴミクズ。 それともう一つだけ聞きたいことがあるんだがいいだろうか?」

 カイルは思ったよりも話ができる、警戒して損したな。


「ああ、なんだ?」


「リリスを吹っ飛ばしたというのは本当か?」

 場の雰囲気が目に見えるくらい一気に冷えついた。 にこやかにしているカイルが、般若の仮面をかぶっているように見える。




 夜空はそれを察知し、後ずさる。




「それに関しては、マジすいませんでした」

 地獄の鬼ごっこスタート!!!!


「うわああああああああああッッ!!!」

 無駄に広い庭を逃げ回る夜空、それを剣を振り回して追いかけるカイル。


「貴様ァッ! 世界一可愛い俺のリリスに何してくれてんだボケがああああああッ!!」


「このシスコン野郎がッ!! それにしょうがないだろ、死ぬかと思ったんだから!!」


「第一貴様は国外追放になった筈だろ、ぬけぬけと妹のケツを追っかけて何するつもりだったんだ!!」


「俺は出ようとしたんだよッ国をッ! それにケツなんぞ追いかけてねぇ!」


「俺の妹が可愛くないと言いたいのか貴様ァァァッ!!!」


「あああああコイツ話通じねええええええええええッッ!!!」

 全速力で逃げる夜空を、追いかけ続けるカイル。 立ち止まったら確実に殺られる!

 庭で逃げるのに限界を感じた夜空は、屋敷内部に入り駆けまわる。


「確かに俺は犯罪者だけど、お前だって絶賛悪事を働いてるじゃねーか!!」


「ハーーハハハハッ大いに安心しろ、セメントで埋めて証拠隠滅してやる! だから安心して斬られろ!」


「嫌だァー---ッ! こんな変態に斬られるの嫌だァー--!!!」

 泣きながら走る夜空。

 ここまでの恐怖を覚えたのはイスカル以来かもしれない。


 剣が徐々に肌に近づき、いよいよダメだと言う時に!


 二人の頭上から強烈な拳骨が振り落とされた。


「馬鹿者共がああああああ!!」


「「ギャ―――ッ!!」」

 どこか似てる二人はアホ過ぎる悲鳴を上げる。


「俺ッ、この国来てから暴力ばっかりィ!」


「ぐううっ...父上ッ本当に死ぬッ!」

 頭を抑えながら二人は、借りてきた猫のようにおとなしくなる。


「国外追放を言い渡した相手と、何鬼ごっこやってるのだカイル」


「「コイツが悪ィ!」」

 互いに見苦しく罪を押し付け合っていると


「うるさいわ馬鹿者共―――ッ!」

 再び拳骨が振り落とされ、二人は頭に大きいたんこぶを作ることになった。


 =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=


 客間に通された夜空はリリスの父親に事情を説明していた。 


 リリスの身に起こったこと、自分がリリスを運んできたこと、帰ろうとした時にシスコンに絡まれたこと...そして全ての事情を説明し終わると、親父さんはもう一度カイルに拳骨をぶち込んだ。


「ギャ―――ッ!!」

 カイルの悲鳴をバックにリリスの父親が頭を下げる。


「すまない! リリスを助けてもらった上、このような仕打ちを!」


「いや、頭上げて下さいって...こっちこそすいません、あんな事を言われた手前で居座ってしまって」


「いや、キミが居なければ最悪の事態になっていたかもしれない、いわば娘の命の恩人だ」

 親父さんが感謝している所に、隣からカイルが『体を狙ってたんだろ』と茶々を入れ、再び拳骨によって制裁される。


 コイツ...頭の病院行ったほうがいいんじゃないか?


「君の国外追放令は解こう。 夜空君の入国拒否を申請する書類は、まだ役所に届け出てないのでね。 今なら罪をもみ消せる」


「じゃああの二人の罪も消してください。 俺だけでは不平等でしょう」

 国にいる間に絡まれるの嫌だし、不安要素は潰すに限る。 それに少し悪いとも思ってたし、これでいいだろ。


 年下に恥ずかしくないんですか、なんて言われて何もしないのも...な。


「分かった手配しよう、それで......夜空君は今晩はどうするつもりだ?」


「そういえば、本当にどうしよう」

 正直泊まる金あったとしても、もうあの最強のオッサンが居る宿には行きたくない。 多分、次行ったら軽く死ぬと思う。


「せめてもの礼...と言ってはなんだが、あの部屋を使ってもらっても構わないが」


「でも俺そこの番犬にすっごい嫌われてるからなぁ...」

 夜空の目線の先には、グルルとこちらを威嚇するカイルが居た。


「カイルよ、お前は今晩どこかに行く予定があっただろう」


「こんな状況で愛しいリリスから離れるのは不愉快なのですが、仕事があり剣術研究特区にある仕事場に泊まり込みです....」


「ならば何も問題は無いだろう」


「やっぱ行くの止めッ! ギャ―――ッ!!」

 行くのをやめようとしたカイルに親父さんは拳骨を入れて、客間から追い出す。 この親父さん、厳しい人だなぁ。


 にしても布団か、久しぶりに色々考えることができそうで何より。


「カイルは何の仕事をしてるんです?」


「この国に階級制度があるのは知っているだろう? その階級制度の管理をしている。 最近少しトラブルがあったようでな、忙しそうにしている」


「あのシスコンがねぇ...」

 使用人が持ってきたお茶を啜り、しばらく時間を置いてから


「それで...リリスの容態は?」


「今、腕の立つ医者に来てもらって治療をしてもらっている。 幸いにも骨折程度で済んでいるそうだから、じきに良くなるだろう」

 そうか、この世界の怪我はほとんどがポーションで治るのか。 どこまで治るのかは知らないけど、怪我だけならトニールに実際直してもらったことがあるしな。


 不本意だったけど。


「そうですか、まぁ大事にならなくて良かったです」


「それで夜空君、リリスの剣について聞きたいんだが」

 辛そうに聞いてきた親父さんを見て、あの竜人族の前に立った時のことを思い出す。


「破損したと思います」


「そうか、それは.....少しマズイな」

 何がマズいのだろうか?


「理由を聞いても?」


「あぁ、この国のテーマは知っているかね?」


「剣技ですよね、冒険者ガイドブックで見ました」


「剣技とは我々セブン国民にとってなんだと思うかね?」

 真剣な表情で親父さんが尋ねてきた。


「そうですね、道しるべとかですかね?」


「それもある、が少し違う」

 親父さんは少し間を空けて続ける


「誇りだよ。 我々にとって剣技とは誇り、そして()()()()()()()()()()()()()()()のだ。 自分が剣士として、未来で人の目にどう映りたいのかを....」

 親父さんは夜空に客間に飾られている集合写真を見るよう促す。 振り返った夜空の目に映ったのは、家族と一緒に写る、幼き日のリリスとリリスがさっきまで持っていた剣が写っていた。 リリスの隣には、頭に手を置きながら優しく笑う老人の姿があった。 


「もう死んで6年になる、あの剣は死んだ私の父親...この国最後の王だった人のモノだった。 あの人は、他の誰よりもリリスを可愛がっていたのを覚えている」


「リリスにとって、あの剣は相当大事なモノだったんですね」


「宝物のように大切にしていた。 それが、こんな形で....」

 半ば形見とも取れるソレを破壊されたのだ。 あの時の涙は...もしかしたら痛みからの涙では無かったのかもしれないと今更夜空は気づいた。


 リリスにとって剣の破損は、思い出と自身の夢を壊されたことと同義...か。 その上、剣技でもない剣による攻撃で倒されたリリスの心は相当なものだろう。


「あの子にとって剣技とは、思い出なのだ......だからこそ、あの子は思い出に泥を塗らないよう、必死で鍛錬を積んできた」


「.......」


「すまんな、しみったれた話をしてしまって」


「いや、そんなことは。 リリスの件に関して出来ることは少ないですが、僕の方でも何かしら考えてみますね」

 そう言うと親父さんは笑顔を浮かべ『助かるよ』と言ってきた。


 しかしその顔は、決して安心したような顔では無かった。

==☆次回予告☆==


18話の閲覧お疲れさまでした。

では今回のプチ話です。


今回は竜人族の種族についての簡易補足です。


西大陸北西部に住む、排他的な種族で知られる竜の力を継承した末裔たちの事です。 生まれつき、人種よりも力が強く、男は体表にウロコがあったりします。 イェーガーは出来ませんが、空を飛んだりすることの出来る竜人族もいるみたいですよ?



竜人族は今後も夜空編に結構絡んできますのでご留意下さい(笑)



次回、19話......さあ少年 覚悟を決めよ!


是非次回もご朗読下さい!


ではでは~

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