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そのチカラ 危険につき!   作者: ゼロ先輩
== セブン国編 == 【物語進行:夜空サイド】
17/238

16話 その少女 夜の街で!

 リリスは月明かりと街灯、建物から漏れ出る光が照らす首都の夜道を走っていた。 初の警備という名目での一人夜間外出に浮足立っている。


 そんな少女の目線の先には...凶悪な敵、なんてものは無く。


「ウィー、ヒックッ...! おぉ、リリスちゃんじゃあねぇか!」

 顔見知り?のオジサンが酔っ払って周りに迷惑をかけていた。 

 おじさんは一緒に飲みに来た連中に『もう止めとけ!』と、懸命に説得されていたが、おじさんは聞く耳を持たずベルトを緩ませ、大通りでズボンを脱ぎ捨てた!


「キャッ! 何してるんですか!」


「何って、ここでウンコしようと思ってよぉ」


「.....ぶった斬りますよ?」

 一瞬で冷たい表情になったリリスに、その場の男たちが玉ヒュンする。 そしてそのまま蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。 


「夜中の居住区ってこんな感じなんですね...こんな時間に外出させてもらったこと無かったので知りませんでしたが.....はぁ、お兄様はいつもこのような心労を?」

 リリスが酔っぱらいが逃げていく所を見守っていると、酒場の店主が外に出てきてリリスに声をかける。 


「リリスちゃんこんな夜中にどうしたんだい?」


「はいっ! 今日はいつも他の方がやられている街の警備を、(わたくし)がやっているんです!」


「あぁセブンティア家の恒例行事か! お兄さんが昔それをやった時に、トイレ貸してくれって営業時間中に青い顔してかけこんで来たことは、今でも覚えてるよ」


「そうなんですか!?」

 店主は笑いながら、家族でも知らない衝撃事実を話してきた。 リリスの兄貴は、リリス本人と同じくらいに剣の才能に満ちていた為、言動はともかくリリスは兄貴を尊敬していた。


 少し自分に過保護な所は...直して欲しいとも思っているが。


「リリスちゃん朝までやるんだろ? ちょっと待ってな」

 そう言って店主は店から、カリカリに焼いたベーコンをフランスパンで挟んだものをリリスに手渡す。 紙で包まれたそれを受け取ったリリスは首をかしげる。


「夜間は寒さで体力を奪われるからな...お腹がすいたら食べるといい。 なぁに金は要らんさ、おまえさんの家の親父さんにはいつも贔屓にしてもらってるからな」


「お腹がすいたら食べますね! ありがとうございます店主さん!」

 店主とその様子を店から見ていた客がホッコリする。 誰だって美少女に感謝されたら男なんてみんな喜ぶものだろう。


 しかし...お父様のお酒は飲みすぎだからと、お母様が厳しく禁止していたハズなのですが。 後でこっそりと、お母様に伝えておくとしましょうか。


 リリスはひとりでクスクスといたずらっ子のように笑いながら、再び警備するため夜道を走り始めた。 何か起きて欲しいな、と警備する側の人間としてはダメなことを考えながら...。


 しばらく歩いていると、街で見慣れない顔がリリスの方に歩いてきた。 その男の服装は新品の緑色のカーディガンに、どう使ったらそこまで壊れるのかと言えるぐらいのボロボロのズボンという、なんとも珍妙と言わざるを得ない恰好をしていた。 年齢はパッと見で、3~4歳リリスの年上といった感じだった。


(これは職質、という奴をやってみるしかありませんね!)

 警備は怪しい奴を見かけたらとりあえず声をかける、という兄の言葉を思い返してリリスは行動に移す。 男に近づくその足取りは、ワクワク感で軽いスキップになっていた。


「こんばんはっ!」


「なんだよ...びっくりするだろ」

 元気な挨拶に対して、男はこちらを警戒するように言葉を返してきた。 なんとも不愛想な印象を強く受ける。


「えーと、こんな夜分遅くにどうされたんですか?」


「お前こそ家に帰れよ、お母さん心配するだろ」

 リリスは子供扱いされて一瞬、ムッとなるが抑える。


「私は警備でして...それでそのぉー....」

 やったこともない職質に戸惑うリリス。 そんなリリスを男は少し観察するように見つめ、フッと笑う。 そしてリリスが事情を説明する前に口を開く。


「あぁコレ、職質だろ? 俺は旅商人のヤマダってんだ...東大陸の農村から来たんだ」

 どうやらこの人はヤマダさんと言うらしい。  少し変わった名前だとリリスは内心で少し怪しんだ。


「ヤマダさん、ですか。 具体的にどんなモノを売られてるんです?」


「基本的に野菜とか。 ...ここには新しい販路を開拓するために来たんだ」


「新しい販路? 商人さんですものね...」


「そうそう。 ほら、木刀とか作ったら買ってくれないかなーって」

 あぁなるほど木刀売りさんだったのですね?


「そうでしたか、すいません疑ってしまって...」

 リリスは申し訳なさそうにお辞儀をした。


「いやいいんだ、じゃ俺は道具屋に用事あるから、これで」


「はい夜道にお気をつけて」

 リリスに背を向けて去っていくヤマダさんが、道具屋に入っていく所を見送った後に再びリリスは夜道を歩き始める。 


 あの人、腰にナイフすら下げてませんでしたが大丈夫なんでしょうか? それとも護身用の強力なスキルでも持っているのでしょうか?


 丸腰だったヤマダさんを心配するリリス。 きっと宿屋に置いてきただけだろうと、自分の不安を払拭するように顔を2、3回叩くと。


「よし、頑張りましょうっ!」

 リリスは気合を入れ直すようにそう呟いた。






 その後、リリスは元気よく街中を走り回り、酔っぱらいの相手をしたり、小さい喧嘩を収めたり。 そんなことをしている内に、夜は更け腕時計の時間は23時を回った。 



剣術研究特区にいたリリスが変な罵声を耳にした。



「どうしたリリスちゃん、不思議そうな顔をして」

酔っぱらいの付き添いの知り合いのオッサン剣士がリリスに向かって疑問を投げかける。


「いえ...今罵声が聞こえた気がして」


「そうかぁ? 俺の耳には何にも聞こえなかったがなぁ」


「いえ確かに...聞こえました」


「すげぇな、流石は七式のリリスだなぁ。 異名は伊達じゃねぇってことかい?」

 異名を言われたことに対して、リリスが顔を赤らめる。


「止めてくださいその異名、恥ずかしいんです...」

 リリスはそこまで言うと、罵声のした方向へと走り出す。 しかし裏路地は入り組んでおり、声が反響して位置が正確に掴めない。


 リリスは目を瞑り。


「スキル『超音波』」

 そして続けて


「スキル『超音波探知』」

 2つのスキルを器用に使用して、送信と受信を行い位置を把握する。 跳ね返った超音波が点となり、スキルがその点を線にして脳内に精巧なマップを作り上げていく。 


 そして....


「数合計3...1人が2人を襲ってる!?」

 リリスはその場に急行する。 角を曲がって、走って、また角を曲がり...少しの坂道に設置された小さい階段を駆け上がる。


 階段を上り終え、角を曲がったリリスは声を上げる。


「そこまでです! 暴行を止めてください!」

 リリスの目に飛び込んできたのは、ヤマダさんと...地に伏せ助けを求める剣士見習い志望の2人の少年だった。 ヤマダさんは剣士見習い志望の一人の背中を踏みつけながら、凄い剣幕で見下していた。


 その目に込められた、人を信じることを諦めた剣幕にリリスは一瞬たじろぎながら、反射的に剣の柄を握る。 


「あっ、七式のリリス様が来てくれぞッ! ハハッざまぁみやがれクソ野郎が!」


「黙れよ、罪の重さで言うならお前らも同罪だろうが」

 ヤマダさんが踏む強さを変えたのか、男が小さい悲鳴を上げる。


「止めなさい! 何が目的なんですか!」

 ヤマダさんはゆっくりとリリスの方に向き直り、ハァとため息をついた。


「その恰好...随分裕福な家庭で育ったんだろ? じゃあお前みたいな奴には一生分からん苦悩だろうな?」

 そこまで言うと、踏んでいた男を蹴り飛ばして裏路地の壁に叩きつける。 男が『ガハッ』という声を上げて倒れた所で、リリスの堪忍袋の緒が切れた。


鞘から剣を引き抜き構える。


「もう見てられません、貴方を拘束しますッ! ()()()()()()()()()()()2番ッ! セブンヴァンッ!」

 スキルで作成された7色の風が斬撃性を持ち、ヤマダさんへと向かって行った!!






 =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=




【時はさかのぼり数時間前:夜空はというと】




「あぁどうしようかな...」

 夜空は日が落ち始めた街を眺めながら、金を手に入れる方法を考えていた。 


「そういえば俺、この国のこと何にも知らないんだよな」

 とりあえずギルドにでも行って情報収集でもしてみるか? ついでに宿のアテがあるか否かとかも聞けたら最高だな。


 でも、ギルドってこの街そもそもあるのかな。


 一抹の不安を胸に抱きながら首都である街を回る夜空....しばらくブラブラしていると、役所のような明らかに他の店や民家と違う建物が目の前に現れた。 でかい建物の前には、街に入ってきた時に目にした、剣をもったオッサンの偶像の小さいバージョンが置いてあった。


 夜空は吸い込まれるようにその建物の扉まで行き、ドアノブに手をあけると。


【ガチャン!】

 鍵の閉まっている音がした。 近くに張り出されている紙にはこう記されていた。


(本日の営業時間は終了しました。 剣士見習い候補さんはまた明日いらしてください。)


「クソったれめ!」

 この世界でも役所関係はやたら閉まるのが早いらしい。 日本で暮らしていた時も、マイナンバーカードとか保険証とか...そういったモノを取りに行くとき閉まっていて苦労した覚えがある。


「ハァ...頼れる人間が居ないって辛いもんだな」

 イスカルやクル爺のことを思い出してため息が出た。 今頃、他の勇者達は俺のことなんか忘れて飯でも食ってるんだろうか。


(本当に犯罪に走ってやろうか...)

 邪な気持ちが自分を包み込もうとして、一瞬で我に返る。


 ダメだダメだ! 春に顔向けができなくなるだろうが!


「ここに居ても虚しいだけだし...残りの金でパンでも買うか」

 しかし既に暗くなり始めたこの時間帯...日本の夏程の日の長さがあるとはいえ、流石に閉まっている店も多い。 そして街灯もLEDじゃない、よく分らん石の光なのでそこまで明るい訳でも無く。


 なんとか売れ残ったパンの耳を格安で買い取った夜空は、先ほど座っていたベンチに戻り...パンの耳を貪っていた。


「ひもじーなー...肉が食いてぇ...」

 ダンボール暮らしってこんな気持ちなんだろうか...。 いや、寝る場所を確保してる分ダンボール暮らしの方がよほどマシだな。


 こんなことになるぐらいなら、あの日学校をサボれば良かった。 今更後悔しても何も変わらんけども...本当に生きるのが辛い世界だよな。


 確かに当面の生死の問題は無くなった。 しかし俺にはまだ、春を見つける最大の目的もある。 自分の天賦のことやテルテル達のその後、温井さんの安否...心配し始めればキリが無いことばかりだ。


 それに、オニキス帝国には今絶賛あのトニールが向かっていることだろう。 俺が生きているという情報は、直ぐにでもオニキス帝国に伝わるだろう。


 流石にあの宰相もアホでは無いし、他国の国境線に自国の兵士を突っ込ませる、国侵略みたいな行為はしないとは思うが...。 当座についているトップが、もしあのオニキス王では無く...王女の方だったらヤバいかもしれない。


 あの王女...まだ若そうだしな。


「最優先すべきは、装備と金だな」

 そう思い立ち、近場にあるまだやっている道具屋へと向かう。 その道中で、なにやら小綺麗な鎧を身に纏った、春と同じくらいの銀髪碧眼の美少女がこちらに向かって走ってきた。


 こちらに向かってくる少女の顔はどこか嬉しそうだった。 しかも何故かスキップまでしている、その様子は完全に奇行のソレである。


「こんばんはっ!」

 夜空に対して少女が声をかけてきた。 夜空は嫌そうな顔を浮かべながら言葉を返す。


「なんだよ...びっくりするだろ」


「えーと、こんな夜分遅くにどうされたんですか?」

 少し棒読みになりながら言ってきたその言葉の意味を瞬間的に察する。


 あぁこれ職質の真似事でもしようとしてんのか...と。


「お前こそ家に帰れよ、お母さん心配するだろ」

 幼い子供を諭すように優しく言ったつもりだったが、少し不機嫌になってしまった。


「私は警備でして...それでそのぉー....」

 夜空は思う、コイツ慣れてない...と。


 だったら本当のことを語る必要なんて無い。 面倒なんで適当に流してお帰り頂こう。


「あぁコレ、職質だろ? 俺は旅商人のヤマダってんだ...東大陸の農村から来たんだ」

適当に偽名を考えていたら、どこぞのムカつく先輩の顔が浮かんでしまった。 ちょうどいいので不名誉を被って頂く事にした。


「ヤマダさん...ですか。 具体的にどんなモノを売られてるんです?」


「基本的に野菜とか。 ...ここには新しい販路を開拓するために来たんだ」

 完全にトニールの受け売りだがな...どうせこの子供は把握なんてしてないから、結局どうでもいいことだな。


「新しい販路? 商人さんですものね...」


「そうそう。 ほら、木刀とか作ったら買ってくれないかなーって思ってね」

 まぁ燃えたけどな木刀、正確には俺が燃やしたんだけど。 そして商人(トニール)もココには来ない、最高だな。 事実をもし告げたら連行間違いなしだ。


「そうでしたか、すいません疑ってしまって...」

 勝った、警備するなら人を疑い続けることから始めないとな?


「いやいいんだ、じゃ俺は道具屋に用事あるから、これで」


「はい夜道にお気をつけて」

 よく分らん子供を追いやり、急ぎ足で道具屋に入る。 少し話して分かった、完全に良い所出のお嬢様だ...世間知らずって感じでは無いが、人間の汚さを知らない目をしてるのが丸見えだ。



 俺は見てきた、自分を潰そうとする人間の怖さを...



 自分から尊厳を奪う人間の欲望の深さを...



「いらっしゃい、こんな夜分遅くにどした少年」

 店番をしていたオッサンが突っ立っていた夜空に声をかけてきた。 


(ちょうどいい、買い物のついでにこの街の階級制度とかを調べていくとするかな)

 夜空は、商品を物色するフリをしながらこの街の階級制度について聞き始めた。



 =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=



 この国の階級制度について、あらかた聞き終わった夜空は道具屋で面白い道具を見つける。 その道具の名前は【即席煙玉】その名の通り、アニメとかで怪盗が逃げる時とかに良く使ってる、地面に投げると白い煙が『ボンッ』ってなるやつだ。


「オッサンこれいくら?」


「煙玉なんて何に使うんよお客さん」


「酔っぱらいのケツに突っ込んだら面白い事になりそうだなって」


「シバかれるぞお前...。 まぁなんでもいいけどよ...貴族様の屋敷とかには投げ込むんじゃねーぞ」

 それはフリという奴だろうか? やったら俺がエライ目見るだけだし、メリット無いからやらないけども。


 夜空は煙玉が5~6発セットになっている、お買い得商品を5銀で購入し店を後にする。 我ながらとてもいい買い物をしたと自画自賛してふと気づく。



 あっ泊まる場所....。



 完全にアホである。



「こんなん買ってもどうしようもねーじゃねーか、どうすんだよアホ丸出しじゃねーか」

 数時間後、再びあのベンチでボーッとしてから...裏路地を愚痴言いながらトボトボ歩いていると、何やら2人の自分の年下と思われるくらいの男子が行く手を阻んできた。 二人ともその腰には安物っぽい剣を下げているが、胸に階級章はついていなかった。



コイツ等、見習い剣士あるいは志望している奴らだ。



「なんだよお前ら、邪魔なんだけど」


「へっへ、兄さんここ通りたきゃ金出せよ」


「そうだそうだ!」

 なんだ剣士じゃなくて、ただのチンピラか。


 イスカルとの戦闘を経験したおかげでだいぶ感覚している。 正直、こんなこと思うと自分でもイキっているように思うので心底嫌なのだが、こんな小物もう何が怖いのかが分からない。


 こんな連中の剣技よりもスキルよりも、イスカルの一方的な暴力の方がよほど恐ろしい。


「金は無いんで、それじゃ」

 去ろうとすると、先ほど『金出せ』と言ってきた方とは違う奴が素早く回り込み。 


「そうだそうだ!」


「お前それしか言えんのか」

 しかし、マズいな...囲まれた。 煙玉で突破するか?


 夜空は考える。 今まで経験してきたことを...そして自分の甘さを。






 温室育ち日本人である俺は、戦いなんてものとは無縁の世界で生きてきた。 この世界でも、同じように生きれるとタカを括って...結局この有様だ。


 この世界に自分を守ってくれる法律や人物なんていうモンは存在しない。


 ならばどうすればいい?


 戦えばいい、戦うしかないのだから。






(どうせトニールを潰した時点で俺はクズだ。 この世界じゃ、弱くて甘っちょろい奴から食われていくんだ)


(血を見る、覚悟を決めよう)

 そこまで思うと、ほぼノータイムで回り込んできた男の顔面をぶん殴り地面へとハッ倒す。 石畳にゴチンと鈍い音が響いて男が一撃で気絶する。


「テメ! 何しやが!」

 男の言葉を遮るように、ヤケクソぎみに夜空が大声で叫ぶ。


「俺に喧嘩売ったこと覚悟しろや! テメェらから逆に金をむしり取って今日の宿代にしたらァ!!!」


「ふざけんじゃねぇ! よくも親友をやりやがったな!」

 始め仕掛けてきたのはそっちだろうに...何言ってるんだコイツは。


 男はいきり立ち腰から剣を引き抜く。 夜空はすかさずスキル『ハイパーウェーブ』を使い、相手の刀身に向けてウェーブを放つ。 


 安物っぽい剣は刀身から破壊され、いとも簡単に地面に落ちる。 カランカランという鈍い金属音が、何が起こったか分からない男の混乱を呼ぶ。


「よそ見してんじゃねぇよ!」

 夜空は、ガードが緩くなった腹に思いっきりケリを入れて吹き飛ばす。 倒れる男に追撃をかけるように、もう一発みぞおちの辺りに強くケリを入れる。


「ウッ!!」

 そう言った後、男は相当痛いのかうずくまる。


「悪いな、運動不足だけど俺は別に、運動センスそのものは悪いわけじゃねぇんだよ」

 運動不足ではあるけど、昔空手をやっていた影響か...運動センス自体は悪くないと思っている。 体力測定に関しても、別に悪い結果じゃなかったしな。


 テルテルは裏切り者とかほざいてたっけ。


 夜空は、這いずって逃げようとする男の背中を踏みつけて睨みつける。 


「さぁ財布を出しやがれッ! 出さねぇとその顔面を踏みつぶすぞッ!」

 もうどっちがチンピラか、傍からみたら分からないだろう。


「この外道が、剣技の国らしく戦えよ!」


「知るかボケ! 数分前の自分に言え!」


「剣士見習いになって、剣技学んで...クソッ! ようやく夢が叶うと思ったのに!」

 ならなんでカツアゲなんてやってんだよ、とツッコミたくなる気持ちを抑えながら『黙れ』の意味を込めて再び踏みつける!


「ギャアッ」


「情に訴えかけても無駄だ、さっさと出すもん出して俺の前から消えろ」

もうどっちがチンピラか分からない。


「そこまでです! 暴行を止めてください!」

 その時、その場の空気に合わない少女の声が響いた! 

 夜空は、声の主を警戒するように強く睨みつける。


「あっ、七式のリリス様が来てくれぞッ! ハハッざまぁみやがれクソ野郎がッ、ぶった斬られちまえよなッ!」


「黙れよ、罪の重さで言うならお前らも同罪だろうがッ」

 夜空は強く踏みつけ男が悲鳴を上げる。


「止めてくださいっ! 何が目的なんですか!」

 夜空は振り返りながらため息をつく。


「その恰好...随分裕福な家庭で育ったんだろ? じゃあお前みたいな奴には一生分からん苦悩だろうな?」

 夜空はその言葉の後、男を路地裏の壁へと蹴って叩きつける。


「もう見てられません、貴方を拘束しますッ! ()()()()()()()()()()()2番ッ! セブンヴァンッ!」

 スキルで作成された7色の風が斬撃性を持ち、夜空の方向へと向かって行った!

==☆次回予告☆==


16話の閲覧お疲れさまでした。


今回の話のヤマダの下り...個人的に中々好きです。 完全に私事ですが、この小説の書き溜めが現時点で70話になりました。 70話書いても全体の2割程度しか完成してないという....先が思いやられますね?


伏線の回収やら新たなフラグやらを考えていると、たまに無心で腹踊りでもしたくなってきます。 完全に末期です本当にありがとうございました。



今回のプチ話はセブン国の階級制度についてです。

セブン国では剣士を目指してセブン国に住まう全ての者に階級が付けられます。


階級は、剣士見習い → 銅ノ下 → 銅ノ上 → 銀ノ下 → 銀ノ上 → 金ノ下 → 金ノ上 の計7段階に分かれています。 その中でも30歳までに銀ノ下に到達できないと才能無しと判断されたりします。 


※金の階級は20歳以上で無いと入れません、だからリリスはまだ銀ノ上だったりします。







次回、17話......その男 少女と邂逅する!


是非次回もご朗読下さい!


ではでは~

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