11.5話 オニキス帝国編☆おまけ☆ テルテルの夜
この物語は、オニキス帝国に召喚されてすぐの話...テルテルの視点から語る。
ただの雑談ですぞー!!
〔※こちらの話の時系列は3話時点でのモノになります、読み返して頂けると多分楽しくなってくるでしょう by作者、ゼロ先輩〕
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「こちらでございます勇者様方...何かあれば遠慮なく、使用人共にお伝えくださいませ」
宰相はそう言ってから、頭を少し下げてその場を去っていく。 我が一行は、この度異世界に召喚され、夜空氏の機転で寝床の確保に成功したのだ。
「申し訳ございません...一部屋足りない為、貴方様だけは別の部屋でおやすみ頂ければ...幸いです」
宰相は孤立していた夜空に対して話しかけていた。
「別に構わないですよ、どんな部屋なんです?」
「使用人寮の一室で....」
「....え?イジメ?」
文句を言いながらも、宰相に案内を指示された使用人の後ろをついて行く夜空を見送った後、豪華な扉を開け部屋に入ってみると...。
「凄いですぞー!」
「うわすげぇなこりゃ...ホテルのスイートかよ!」
同室になった恐らく先輩と思わしき人がはしゃいでいる。 少しやんちゃそうな人だが、我は見逃していない...その制服向こう側に、今期春放送のアニメ『魔法少女ちゃちゃ』のヒロイン、ちゃちゃ姫のTシャツを着こんでいることに。
「同志の方だろう...先輩よ」
「あぁ? 馴れ馴れしいな、なんだデブちんコラ」
「ちゃちゃ姫フォーリン...」
「LOVE!!」
まるで合言葉のような言葉を呟いたオタク二人は、流れるように抱き合い...『魔法少女ちゃちゃ』のよさをお互いに語りだした。
本当にコイツ等は、一体異世界で何を話しているんだろうか。
「ふぃー....いやーっ実りある会話だった。 おいデブちん名前は?」
「輝倉 輝夫ですぞ、テルテルと呼んでもらて...」
「俺は山田...よろしくな」
二人の間には魔法少女ちゃちゃが友情の魔法をかけたのだ。 なんと素晴らしい事だろうか。
その後、宰相がもう一度やってきて『人生回廊』とかの件を一通り説明した後、再び立ち去って行った。 話が終わった後、疲れ切った大庭先生が、各自の部屋で今日はもう休むよう、引率らしいことを言ってきた。
「しかしまさか自分が異世界転移するとは、アニメとかで見てたが笑えてくるもんだな」
「ですなぁ~...個人的には獣人とか見てみたいですぞ」
「わかりみが深ぇわ」
オタクだからこその緊張感の無さが逆に素晴らしい、この人と同室で良かったと心の底から思う。
「なんか神からのギフトで俺ツエーみたいなことできちゃったり!?」
「あるかもですなぁー」
山田先輩はバッとその場から立ち上がり、中二臭いポーズを取りながら叫ぶ。
「あぁ! 人生回廊!」
「我も! あぁ、人生回廊ッ!!」
日本でやったら完全に不審者である。
二人の前に人生回廊のプレートが出現し、互いに天賦を読み上げ始める。
「どうだったよテルテル...てんぞく? ....これなんて読むんだ?」
「確かてんぶ、ですぞ」
「へー、頭いいのなお前」
「夜空氏...いや、親友が頭が良くて、前に聞いたことがあったから覚えてただけですぞ」
何かの本で見つけ、かっこいい漢字だったので読み方を聞いたら、こんなのも分かんねぇのかよと馬鹿にしながら教えてくれた夜空の顔を思い出し、少し笑う。
「あぁあの時、宰相の爺さんに質問してた奴だろ? いやー肝っ玉座ってんなとは思ってたけど、お前の親友だったなんてな」
「夜空氏の前ではあんまり異世界転移を喜ぶ発言は控えた方がいいかもですぞ」
テルテルは夜空が否定的に言っていたことを思い出し、山田先輩へと警告する。 親友だからこそ時に夜空が怖くなる時もあったから。
「なんで~な俺達、現実死ねって思ってるオタクからしたら良い事じゃん。 テルテルの親友ならオタクなんだろ?」
流石にそれは偏見混ざってると思うですぞ山田氏。
「...うーんこればっかりは、夜空氏と長く付き合わないと上手く説明できそうにないですぞ」
「じゃあいいや、今は特に話すこともないだろうし」
しかし別館に一人とは...夜空氏以外の、例えば泣いていた女子生徒なんかが連れて行かれていたらマズかったかもしれないですぞ。
その後、互いの天賦についてひとしきり語り合った後、ドアが数回ノックされメイドが入ってくる。
とても巨乳...実に素晴らしい巨乳メイドだ。
2人して鼻を伸ばしていると、汚らわしそうにメイドが睨みつけ冷たい口調で一言。
「浴場のご用意できたんで早く行ってください、失礼します」
...クール巨乳メイドキタコレ☆
冷たくドアを閉められたアホ二人は興奮していた。
「不肖山田、巨乳メイドに汚物のような目で見られ悔いなし」
「同感ですぞ山田先輩...さぁ浴場へ参られましょうぞ!」
オタク二人のテンションはおかしなことになっていた。
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この世界で初めて入った風呂は、日本で入った風呂と相違ないものだった。 当たり前だが、それが少し安心できた。
「しかし広い城内で迷子になりそうですぞ」
山田先輩と浴場で別れたテルテルは、部屋に戻るために寝間着姿で城内をウロウロしていた。 すると近場のバルコニーからすすり泣く声が聞こえてきた。
バルコニーへの扉を開け、外へ出る。 こちらでも春とは言え、まだ夜は肌寒かった。
そんな少し寒いバルコニーに後輩と思わしき少女は居た。
「ここは冷えますぞ...」
「あぁ...すいません。 えぇっと...私中2です、貴方は?」
名前より先に戸惑いながら年齢を確認してきた。 タメ口を恐れているのだろうか?
「高1...一応年上ですぞ」
「なら先輩ですね...良かったですタメ口きかなくて...アハハ」
少女は笑っていたが、その顔は決して楽しそうなものでは無い...まだ現実を受け入れきれてないのかもしれない。
テルテルは、少女から離れたところの手すりに手をかけ立つ。
「あの...先輩?」
「お節介かもだけど話せば気が少しは楽になるかもですぞ」
「...そう、かもしれません、ね」
風に乗って風呂上がりの少女の香りがテルテル側に流れてくる。 どうして女性の風呂上りというものは、男性にとってこんなにも心揺さぶられるものなのだろうか?
「さっきまで同室になった、泣き続けてる子をなだめてたんですけど...少し休むために離れたら、なんだかその...涙出てきちゃって。 おかしいですよね私...アハハ」
こんな時、我が親友夜空氏ならどう返したんだろうか。 励ますだろうか? それとも支えるだろうか?
...いや、もしかしたらすすり泣く声の元すら行かないかもしれない。
あの夜空氏なら、この時期に泣いている少女なんて大体検討ついてしまうだろう。
そして面倒だからと誰かに押し付けるかもしれない。
「今は悲しむといいですぞ?」
「えっ」
泣くなとか言われると思っていたのか、少女が素っ頓狂な声を上げる。
「沢山泣いて、悲しんで...吹っ切れたら、我と馬鹿な話でもして、我を呆れて笑うですぞ!」
その言葉に少女がポカンとして
「フッ、アハハハハ! 先輩変な人ですね...自分を呆れろだなんて...アハハ!」
始めて少女が楽しそうな笑みを浮かべた姿を見て、テルテルは少し安堵する。
「こう見えてもクラスでは、クソオタクで通ってましたぞ!」
「先輩いい人だね...すっごく変だけど」
「変人なのは友人の影響を受けたからですぞ」
「友達のせいにするなんて~、サイテーだね?」
そこまで言うと、テラスから出るための扉に向かってスキップしながら走り、扉の前で止まってテルテルに対して振り向く。
「ありがとうございます先輩! 元気出ました、同じ部屋の子にも頑張って立ち直るように説得してみます!」
「頑張るですぞ~」
窓ガラスの向こうで部屋に向かって走っていく少女を見て、テルテルは思う。
(あっ...部屋の方向そっちかぁ~)
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「なぁテルテルよぉ...明日はどうするよ」
部屋に戻った二人は話疲れてベッドにもぐりこんでいた。 同じ部屋に置かれた、二つのベッドにこうやって並んで寝ていると、中学生の頃に経験した修学旅行を思い出す。
「とりあえず、親友に人生回廊の事実を伝えてくるですぞ...山田先輩はどうです?」
「俺ァはそうだな...何しようか...、異世界に来たら、イベントなんてポンポン起きるもんだと思ってたけど、以外と何にも無かったしよぉ」
「さっき人生回廊で見た、スキルとかいう奴の使い方や覚え方なんかを聞いてくるかな」
「ここは中世みたいですから...発言には注意するですぞ~」
「ハハ、不敬で一発アウトってか? .....互い様にな...寝よう」
「えぇ、ノシ」
「あぁおやすみ」
オタク特有の、ネットスラングを言葉にすることを一切変だと思わない二人は、そのまま眠りについた。 今日は色々あった、夜空氏と共にこの世界を冒険出来たらとても楽しそうだ。
そんな期待を胸に抱きながら。
テルテルは、明日夜空にイタズラしてやろうと少し思った。
完全にただのおまけです。
(※明日の投稿は書き溜め分を増やすためにおやすみです。 次回からは日に1~2話のペースで投稿していきます。 5000文字だと、そうポンポン話数増やせないの許して...)




