99.5話 アルテーラテルト編☆おまけ☆ 慣れない服とコレム
この話は、雨に濡れたコレムが服を脱ぎ、慣れない服に袖を通した葛藤の一部をお届けする.....要するにただのおまけです。
〔※こちらの話の時系列は87話時点のモノになります。 ご留意下さい〕
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似合わない、フリフリなんて里でも着たことなんて無かった。
こんなお嬢様みたいな服、リリスみたいな可愛さが無いと着こなせない。 そう考えたコレムは、裸に毛布一枚くるまったままタンスを漁るが、漁っても漁っても出てくるのはファンシーな服ばかり。
「こ、これを着るの? ア、アタシが?」
う、嘘でしょ...?
これを見せた夜空の馬鹿にするような顔が容易に想像できる。
お前こんなの着るんだ、ははぁん?
みたいなムカつく愛想笑い。
「......腹が立つわね、それだけは」
リリスに見せることならどうってこと無い...わけでも無いが。 まぁ、我慢できる、リリスは優しいから絶対馬鹿になんてしてこない。 だけどあのクズ空は違う...最低の権化だから。
「なんとか馬鹿にされない方法...を? ん?」
コレムは周囲を見渡し、自分を取り繕うアイテムを探す。 メイク道具.....外は大雨、お化けになってしまうので却下。 ネイルやピアス.....時間かかるし、ピアスは怖いので却下。
毛先を少し整えてみる?......時間ないわ、却下ね。
うーん。
コレムは悩みながら、机の上に置かれた箱の中の前に立つ。 箱の中に様々な種類のヘアピンが無造作に突っ込まれている。 果物をかたどった可愛いモノから、よく分からん記号、クマやウサギといった動物や可愛い魔物などなど....。
しかし、どれもこれもコレムの趣味に合わない。 鏡の前でヘアピンをいくつか試し、なんとなーく周りを確認しながら、クールや可愛い感じのポーズを取ってみるが....。
「とことん可愛げないわね、アタシ.....リリスみたいに可愛いなら着飾って楽しいと思うのに、自身無くなってくるわね。 体だって小さいし、胸だって....」
コレムの実年齢は24歳だが、身体的な成長は人間で換算するところの6歳だ。 その年齢で爆乳だったら、それこそ怪物よりも怪物だが。 理屈云々でどうにかならないのが、年頃の女の子というやつなのだろう。
「リリスが巨乳じゃ無くて良かったわ? もしそうだったらショックだもの」
人が聞けば暴言になるような事をいいながら、ヘアピンを箱に投げ入れる。 どうやら、自分には似合わないと割り切り、ヘアピン大作戦は諦めるようだ。
...........。
その後、十数分粘ったが改善が見られず。
もう諦めようかとも思ったが、クズ空に馬鹿にされるのだけは嫌だと心の奥底が叫ぶ。
極めて不愉快だし、仕方がないだろう。
早く出発しないといけないのに、夜空の馬鹿にする顔がチラついて中々服が決まらない。 コレムはため息をつきながら目を瞑り...タンスに手を突っ込んでまさぐる。
(次に掴んだのに...決める!!)
タンスの中から服が飛び出すほどの勢いで一着の服を取り出した。 その服はファンシーな、まるで童話のお姫様のようなお人形さんのような服。
フリフリでリボンが沢山ついている女の子の夢。
今まで見た服の中で、一番ファンシーなドレスだったのだ。
「...........ッ!?!?!?」
ゆっくりと目を開けたコレムがその服を見た時、絶望感で声が出なかった。 ただ呆然とその場に立ち尽くし、この服を本当に着るのかと何度も何度も後悔したが。 一度、自分で強く決めた事をおいそれと曲げるのは信念が許さなかった。
........コレムは、服にしわが付くほど強く握りしめながら。
笑ったらクズを一匹殺そうと胸に誓い。
後悔しながらその袖に手を通したのだった。




