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そのチカラ 危険につき!   作者: ゼロ先輩
== アルテーラテルト編 == 【物語進行:夜空サイド】
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93.1話 ネイディアの意味

 

 王は、何かに引き寄せられるように水車小屋の中へと飛び込んだ。 中は薄暗く、廊下の隅には蜘蛛の巣が張っている。 内部には、主要の水車がある部屋からメンテナンス要員の待機室。 そして、河川修繕用の使われなくなったレンガを保管する倉庫がいくつかあるような結構広めで頑丈な建物だ。


「このワシが...こんな薄汚く埃臭い所に足を踏み入れなくてはならんとは」

 息を整えながら服を絞って水を落とす。 ....ここにはメンテナンス要員用の待機室はあれど、ほとんど平時は人がおらず荒れ放題になっているのだが。


 今日だけは違っていた。


「.....明かり?」

 水車のある部屋の扉から明かりが漏れている。 その扉の先には、確かに人の気配のような....そんな気配を感じていた。


(今外に出るのは....クソッ、このワシがこんな物を!!)

 ビュアインパクトたちから逃げる際、自分を庇った兵士から無理やり奪い取った拳銃を懐から取り出す。 一緒に腰に付けた火薬と弾も奪い取ってきた為、入れ替える事ができれば撃てる状態にある。


 王は慣れない手つきで銃に弾を込める。

 震える足腰と戦闘慣れしていない酷い姿勢で前へと進み。 水車のある部屋の扉を無理矢理蹴破って中へと押し入る。


「ひっ!!」

 銃口を向けた先から....聞きなれていないような、聞きなれているようなそんな微妙な感情になるような波長の声を聞いた。



 銃口の先には、蜘蛛の巣を服からつまんで除去していた3番姫が居た。


「動くでないぞォ! 動けば撃つ!!」


「....お、とうさま?」


「.............? ま、まさか........。 ね、ネイディア...か?」

 一瞬名前と顔が出てこなかった。 が、人の記憶とは面白い物で....自分の血族の事は、いくら忘れたくても忘れられなかったのか自然と名前が口からこぼれた。


 王宮が襲撃されたと兵から聞かされ、同時に死んだと思っていた。

 我らがアラブレイ王家の恥.....鋼鉄の塔の女、ネイディアがそこには居た。


 3番姫は手を上げ、撃たないでくれと涙目ながらに懇願する。

 一瞬、生きていた怒りで引き金を引きそうになるが、相手に敵意が無い以上、下手に銃を撃って周囲に不信を抱かせるのも良くないと冷静になる。


「今、淵に居る父を笑うか!」


「そんな横暴よッ、ここに来たのはお父様の方だわ!」

 正論だから腹が立つ。 

 横暴?恥さらしが生まれたことが我々王家に対する冒涜だ。


「ええぃ黙れ恥さらしめ! 貴様の顔など見たくも無いわッ、とっととここから出ていけ!! 同じ空気を吸うだけで...目が腐るわ!!」


「....変わっていないのね。 あの時から、何一つ」

 お父様と呼ぶが、それはあくまでも形式的で。 実際に私はこの男から、親らしいことなど何もしてもらったことは無い。 自分を育ててくれたのは全てメイド達だった。 



 物心がつき、ネイディアの名の意味を聞いた時...。

 私は親に愛されていないと分かってしまった。



【ネイディアとは、()()の意味を持つ言葉】




 家族の誰からも期待されず、誰からも必要とされてこなかった人生。

 今はこの世に居ないお母様も、きっと私に期待なんてしなかった。


 親とも呼べぬクズは、3番姫の眼前で銃口を突き付けて怒鳴る。

 自分の娘を、死地に追いやることに一切の躊躇いなどその目には無かった。 醜いほど、醜悪な生存欲....食らいついてでも生きてやるという意思を感じた。



 銃で脅された3番姫は、豪雨が続く裏路地に追い出される。 今まで地下空間を抜けてきた為、一切濡れていなかった自分の服が一瞬でびしょ濡れになり、下着の色までが透けて見えるほどになってしまった。



「.....せめて」

 3番姫は自分が王族だと一目で悟られない様、ドレスの裾を破いたりする。 一度も恩恵を感じた事の無い肩書に、私は今殺されそうになっていると考えると、とても心が寂しくなった。


 ペンキのラクガキで寂れた裏路地を前に前に進んでいく。

 だが、行くあてなんて無い。 何処か安全な場所で息を殺したいと願うだけ。



 しばらく歩いていると、前方のT字路の曲がり角の先から足音が近づいてくる。 3番姫はその場に立ち止まり、周囲を見渡すが....何処にも隠れる所なんてあるわけが無い。


(どうしましょう!? 見つかってッッ!!!)

 恐怖で3番姫が見開いた目が見たのは....脇に酷いアザを負った少年だった。 少年は脇腹に包帯を巻いて、痛みに耐えながら無理やり動いている感じがした。


「......?」


「な、なにかしら?」

 夜空は3番姫の服装をジッと見つめ、非常にめんどくさそうな顔をしながらため息を吐いた。 3番姫は、目の前の少年を知らないはずなのに...何故か、知っているような感覚に陥っていた。


「お前、もしかしてだけど...鋼鉄搭の王族だろ?」


「え」


「仲間の頼みだしな、助けてやるよ」

 少年はそう言葉を吐き捨てた。

==☆次回予告☆==


93.1話の閲覧お疲れさまでした。

2000文字程度なら前の話とくっ付けるべきだったような気がします。 が、これ書いたの5か月以上前なのでどういう心境の元書いたか分かりません。


そんな事はさておき、王へのフラストレーションがたまってきた具合です。

そろそろフィナーレと参りましょう。



次回、94話......その少年 不本意の最中へ!


是非次回もご朗読下さい!


ではでは~

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