1話 その光 幕開けにつき!
20●0年4月...なんてこと無い風景の街に、春の暖かな風が吹く。
一瞬だった春休みを終えて、4月からの初の高校生活へと向かう、春休みへの未練たらたらのどこにでも居る普通の15歳、高校1年生...それが俺こと【星原 夜空】だ。
家族と特に仲が悪いわけでもなく、いじめられて人を恨むみたいなこともなく、少ないが普通に友達や、好きな人が居て....そういう人間を、人は平凡と呼ぶのだと、俺はそう思う。
少年は学校への見慣れた道を、少し肩をすくめながら歩いていく、終わってしまった春休みに後ろ髪をひかれながら歩いていると、後ろから背中をバシンと叩かれた。
「痛ッ! なんだよ.....地味に痛いんだから止めてくれ」
そう言いながら振り向くとそこには見慣れて見飽きたツインテール。 ピカピカの中学生服姿の自分の妹...【星原 春】が立っていた。 自分と本当に血のつながった存在なのかと思わせる、その可愛い容姿は道行く高校男子の視線を自然と集める。 春は夜空に対して少しムッとした表情をすると、弁当袋をズイッと前に出してきた。
「全くお兄ちゃんはこれだからダメなんだよ?ハイお弁当忘れてったでしょ。 全くしっかりしろしっ、お兄ちゃん...それと~『ありがとう』でしょ?」
春が『ほら言え』と言わんばかりにニマニマと笑みを浮かべる。
「まぁ.....少なくとも『ありがとう』では無いな」
「はぁ!?持ってきてもらっといて、その言いぐさは無いんじゃないのッ!?」
「...........ヘッ」
だって妹よ。 弁当が必要になるのは明日からであって、今日までは高校も半日で終わりなんだよ.......。 俺はギャーギャーと、朝っぱらから五月蠅い見慣れた妹の顔面を見て...やっぱこいつアホだわと鼻で笑った。
【スパァァンン!!!】
「痛ぁぁぁッッ!?!?」
俺は春に横っ面を引っ叩かれた!
と、同時にすっごいマヌケな悲鳴が出た。
.........。
引っ叩かれた頬をさすりながら新しい教室に入ると、少し小太りしたメガネの男が話しかけてきた。 男は自分のスマホをポケットから取り出すと、おはようの挨拶よりも早く、鼻息荒くゲームのスクリーンショットを見せつけてきた。
「おー、テルテル久しぶり」
「おはようですぞ! 我がサーヴァント夜空氏!!」
朝っぱらから何言ってんだこのデブは、とあきれるサーヴァント夜空氏。
「一体、春休み中に、なんのゲームに浸食されればそこまでおかしくなるんだかなぁ」
テルテルというあだ名は、コイツの名前が【輝倉 輝夫】で、苗字と名前の頭文字が輝輝だからテルテル。 名づけ親は自分で、使ってる人間も自分しか居ないが極めて頭が悪いネーミングセンスだと思う。
...本人は初めてのあだ名で気に入っているらしいが。
「このSSを見るべしっ! なんとピックアップの【水着リサ】が5枚もお迎えできたんですぞ!」
テルテルが見せつけてきたスマホには、俺とテルテルがよくやっているソシャゲのキャラ一覧のスクショが映っていた。 テルテルのキャラ一覧の中には、ピックアップされていた赤髪の女の子が完凸表記でキラキラと輝いていた。
「はぁ!? ふざけんなお前! 俺5000円課金してもピックアップ出なかったのによ!!」
「.........春休みのバイト代を全額この子につぎ込んだんですぞ.......ハハハハ」
夜空は何も言えなくなった...ただ自然と拍手をしていた。
コイツ...男だよ。
「5000円も課金したなら別のSSR位なら...。 夜空氏、運ないですぞ」
「一応恒常を凸った、証拠見せたいんだけどスマホ風呂で水没したんだよな....。 今、修理に出してて手元にスマホ無いんだよな」
「どうせ風呂でイベ周回でもやってたのだろう!?」
笑いながらテルテルがバカにしてくる。
「大当たり」
「おっとぉ、マヌケですぞ~?」
そんなアホな会話をしていると、教室のドアがガラッと開いて先生が入ってきた。 先生の合図で、1年の時からクラスをまとめているクラスの顔みたいな赤毛のイケメンが、全員に起立と礼の号令を行い、いつものようにホームルームが始まる。
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ここ葉日学園は、中高一貫教育校(エスカレーター式)のそこそこ伝統ある学校で、礼節ある人間を育てるを左右の銘としている教育機関だ。 学校敷地内には中学校と高校の他に、体育館やら剣道場・文化ホールのようなものまで結構いろんなものが揃っている。 それに合わせて部活動の種類や数も、他の高校と比べて多いのが特徴だ。
あと、俺はどうでもいいけど女子の制服が可愛いくて人気らしい。 妹の春がこの学校に入りたがったのもそれが理由の半分だそうだ。 女子ってそういうの結構気にするよね。
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「じゃあ、今日は中学の時に渡した春休みの宿題....回収するからな~」
中高一貫ってこういうのがあるから嫌だな...と、窓の外に生えている桜の木を見ながらボーッとしていると、先生が回収を誰かに頼もうと辺りを見回す。
やべッ、目つけられたら面倒だし顔伏せとこ......。
夜空以外も似たような思考で考えていたのか、数人が先生の発言と同時に目をそらす。 すると、クラスの顔のイケメンこと疾風と呼ばれる好青年が手を上げた。
「先生ッ、俺が回収します!」
「おお疾風すまんな...クラス委員長でも無いのに」
「気にしないで下さい先生!」
成績優秀・スポーツ万能・おまけに顔も性格もいいと来た。 まるで漫画の主人公かよと、ツッコミたくなる程のスペックにもはや嫉妬の感情すら沸かない。 天は彼に何物与えれば気が済むのだろうか....。 そんなことを思っていると、自分の席の近くの女子達が『疾風かっこいいよね~』とか『ヤバいよね~』とか言ってるのが聞こえてきた。 俺は、前この女どもに『オタクきっも』とか小声で言われて無視されたのに.....。
これが人徳の差かとため息が漏れる。
だからと言って、面倒事を率先して引き受ける疾風のことを、別に疎ましく思っているわけでもないのだが。 別に好ましいわけでもないけど.....。
「でもなぁ、やっぱり一人じゃ量も量だし大変だろ? 他に誰か暇そうにしてる奴....いるかぁ~?」
先生の声を右から左に流しながら、夜空は目線を桜の木から雲に移す。 すると空が一瞬キラッと光った気がした。
なんだ、あの光?
目を擦り、再び目をやってもそこにはいつもの空があるだけで、特にこれといった異常があるわけでは無かった。 なんかが反射したんだろと、適当に理由をつけて己を納得させる。
「じゃあ疾風君 俺っちを頼ってくれよォ!」
宿題を今机の上でやっている、疾風の取り巻きとしてしか見ていない、名前も忘れた一人のアホが疾風に向かって冗談交じりに叫ぶ。
本当に、名前はなんだったかな。
まぁ、どうでもいい事か...。
「ハハッ、お前はやってない宿題を1問でも進めて、先生からの拳骨制裁を1発でも減らすべきだ。 というか、休みの間やれる時間あったでしょ?」
「えぇ~! 今何発くらい貰っちゃうわけよ~?」
「こら、話を逸らすんじゃない! 早くやれって」
クラスで笑いが起きる。
わざとらしく驚くその取り巻きの名前を俺は知らないし、興味もない。 どうせ会話しても微妙な表情されるだけだし...無視しよ、無視。
平穏は大事...超大事。
面倒事は疾風がなんとかすんだろ...さてとおやすみ。
夜空は、大きくあくびをして睡眠学習の体制に入り、ゆっくりと目を閉じる。 しかし疾風は、眠ろうとする夜空を見て声をかけようとしてくる。
「じゃあ星原君頼めるか? ホラ、ここの誰よりも暇そうだしさ」
ふざけるなよ疾風コラ、前言撤回だ。 俺はお前嫌いだ。
めんどくさくなり、寝たふりしてやり過ごしてやろうとしたら、前の席の女の子がポンポンと肩を叩いてきた。
「起きて星原っち! 呼ばれてるよ~!」
目を開けると、ショートボブの元気で可愛らしい女の子が笑いながら
「おはよ! ほらっ頑張って!」
と元気に言葉を投げかけ 背中を押してきた。
ぐっ...かわいい.....。
赤くなりかけた顔を2.3回横に振って、気をしっかり保つ。 俺に話しかけたりなんかすれば、後で馬鹿にされることが目に見えてるのに、ご苦労な奴だと思う。 そんなご苦労な奴に、話しかけられたり笑いかけられたりしただけで、惚れてる俺みたいな陰キャも大概だとは思うが....。
やれやれとくたびれながら腰を上げ教壇の方へと向かう。 男ってのは単純だもん、好きな奴に頑張ってと可愛い声で鼓舞されただけで、眠気なんてもんは明後日の方向にすっ飛んでいくというものだ。 こっちから回収してーとか、ギャル女子のくっだらない争いを、アハハと笑って収めている疾風の元に向かう。
「じゃあさっさと終わらせよ......。 俺は左から回収していくから疾風右よろしく」
否定されないように早口で疾風に要件を伝えて、夜空はさっさと仕事に入る。
「OK! 星原君そっち側頼むね!」
爽やかイケメンが、そういう笑顔を俺みたいなキャラに向けんな。 さっきから回収してる女子からの嫉妬と憎悪の目が痛いんだよ!! 担当する列の男子や女子から、ため息漏らされる俺の気持ちも少しは考えろ!
「早めに済ませよ...胃がいてぇ...」
俺は、なるべく素早く回収することにした。 回収途中、宿題忘れたSSR勇者デブがなんか言い訳を言ってたが、軽く無視して回収を終わらせた。
その後、新学期恒例の全校集会などを終わらせて帰路についた。
「疲れたぁ~休みたぁ~い! あと1か月くらい休みたぁ~い」
家のソファに寝っ転びながら、バタバタと年不相応に駄々をこねる夜空を尻目に、時同じくして帰宅した妹の春が、夕飯づくりの準備をテキパキと進めていた。
「もー...お兄ちゃんも少しは手伝ってよー」
「悪いなお兄ちゃんのカラータイマーはもう赤色なんだ」
「そんなこと言ってると股間蹴り上げるよ?」
妹よ、兄貴をもっと...。
「もっと労われとか思ってるんでしょお兄ちゃん」
「こっわッ! エスパーかよお前!」
思考回路を的確に読み当てられて身震いする夜空
「当たり前でしょ...家族なんだしさ、何年一緒に暮らしてると思ってるの?」
父と母が夜勤やらなんやらで帰りが遅くなる時は、俺か春のどちらかが夕飯を作ることになっていた。 最も、春はつい最近まで小学生だったから、母の包丁はまだ危ないと言う理由で、料理はほとんどさせてもらえてなかったのだが。
おかげさまで俺は既に、そこそこ料理が作れるぐらいに上手くなっていた。
しばらくサボってるけど。
「今日はカレーだよお兄ちゃん♪」
「今日もの間違いだろ。 お前、カレーしか作れないじゃないか....」
夜空のその言葉に、ギャーギャーと怒る春を無視して、夜空はテレビをつける。
≪世界各地で、謎の光が突発的に発生する現象が多数確認されています...今の所大きな被害などは確認されていません。 気象情報の専門家に詳しい事を伺ってみましょう...≫
...なんか心当たりある内容だな。
「おい春...お前コレ知ってるか」
春の方を向かずに声をかけてテレビを指さす。 春はそれを見てうーんと少し悩んでから...
「あぁ言われてみれば、今日昼前にチカッて光ったような気がしたよね?」
てことはあの時、他の連中も気付いてたのか。
「まぁ雷の光みたいな一瞬なものだったしな、騒ぐほどのことでもないか...?」
テレビでも大々的に取り上げられる...というよりかは、なんかこんなことありましたよね~?くらいの軽いノリで流されて次のコーナーに進んでしまった。
「アジア以外だと、結構前から確認されてたっぽいけど、ホントなんなんだろうな」
アジア以外の世界各地で、数か月前から確認されていて。 ようやく日本にも来たかというぐらいの感じだった。
「私はそんなことより明日のタイムセールのことの方が心配だよ...」
なんか一端の主婦みたいなこと言ってんなこの妹。
その夜、妹が作ってくれた水分多めなサラサラカレーを食べてから風呂に入り、寝支度を済ませて早々に寝てしまった。
時計が深夜2時を回った辺りで俺は何故か目が覚めてしまった。 布団から這い出て、水を飲みに台所に行くと...外がピカッと光った。
「またか...」
だがその後も何度かピカピカと外が点滅する。 何事かと思い、窓を開けて外に出て空を見上げると、星?のような白色の点が均等感覚で空に円を作っていた...かと思ったらすぐに消えてしまった。
?
「寝ぼけてんのかな俺、水飲んでさっさと寝よ」
頭が働いていなかったこともあって、俺は早々に水を飲んで再び布団に潜り込んだ。
=*=*=*=*=*=
「お兄ちゃん、なんか今日は一段と不細工な顔してるね」
「...........悩める男の顔をしていると言え」
「やーい、ブサイクぅ~」
朝起きた兄弟二人は朝食を食べていた。 しかしどうにも春の話が頭に入ってこない、昨日見たあの出来事が脳裏を離れないのだ。
「......!」
「兄...ん!」
「...ちゃん!」
まるで本能が異常だと叫んでいるかのような。 そんな未知の感覚に夜空は恐怖していた。
「お兄ちゃん!」
春からの呼びかけでハッと我に返る、これはいけないと自分で自分の頬を叩く。
「あぁ、わりぃ春...なんだ?」
「私まだよく道を覚えてないから、一緒に学校行こって言ったの....ねぇ本当に大丈夫?」
春は手を伸ばして夜空のおでこに触れる。 熱があるんじゃないかと疑っているらしい。 伸びてきた春の手を、うっとしいとばりに払いのけると...。
「大丈夫だ、少し考え事をしてただけだから」
「お兄ちゃんって無駄に地頭は少し良いから心配だよ」
無駄とか少しとかコイツ一言二言多いな、素直にほめれば可愛いのに。
「じゃあ飯食ったら出るか 父さんと母さん起こさないように静かにな?」
「はーい」
夜勤上がりの両親を起こさないように、静かに朝の身支度を整えると妹と一緒に外に出る。 ふと雲一つない晴天の空を見上げると....。
「ほらな...いつも通りの空だ」
別になんてことはない空がいつものように広がっていた。
中学校近くまで妹を送り届けた俺は、朝の挨拶をデカい声でしてくる体育教師を適当にあしらってその足でそのまま教室へと向かう。 教室に入った俺は、雑談しているクラスメイトの後ろをコソコソと通り抜け、窓際の自分の席に座って授業の準備を始める。
「おっは~星原っち~...」
朝に弱いらしいショートボブの女の子...【温井 紗世】が話しかけてきた。 彼女はクラスのマドンナ的な存在...というよりも居るとその場を和ませ元気を与えるような存在だった。
学園のマドンナは高値の花と同義だが、彼女を表すなら身近な可愛い子って感じだった。
「あぁ温井さん おはようさん」
好きな相手だからといってガツガツアプローチできるほど俺のメンタルは強くないのだ。 よく言えば慎重派、悪く言えばヘタレという奴だろう。 自分でそんなことを考えてため息をつく。
「どしたの? でっかいため息なんかついて」
「色々悩みが多くてね....?」
「あはは なんかオジサンみたいだね!」
笑顔を見られただけで、学校にきた嫌気が吹っ飛んだ気がした。 チョロ過ぎだろ俺。
そんなことをしていると、教室の前のドアがガラッと開いて先生が入ってきた。
「じゃあお前ら、出欠取るぞ~」
「「「はーい」」」
今日も変わり種のない一日が始まろうとしていた....
=*=*=*=*=*=
時同じくして、日本の首脳に向けアメリカの大統領が一本の電話をかけていた。
「ハイ...ハイ...分かりました。 それは確かで!? えぇ..こちらの方でも確認の上対応させて頂きます...。 素早い情報提供に感謝致します、お礼につきましてはまた後日とさせて頂きたく...えぇありがとうございます。 それでは失礼いたします...」
日本の総理がガチャリと電話を切り、日本の首脳の面々に向き直る。
「それで総理、アメリカはなんと!?」
「国際航空宇宙局NASAからの情報だそうです。 謎の発光現象の正体が掴めたかもしれないと...」
首脳の面々がザワつく...一度情報が大統領側に通された後に、日本に来たのだから無理もない。
「しかしあの発行現象は太陽光を反射ということで一応片をつけると、警察側の情報管轄部署とも話が先日ついたばかりでは!?」
「他国の攻撃か何かなのですか!?」
「お答えください総理!」
多くの首脳のオッサン達が総理に質問攻めを行う。 総理は目を瞑り黙ってそれを聞き終えた後、ゆっくりと目を開きながらこう言った
「他国からの攻撃の方がまだマシ...だったかもしれませんね」
総理は、部下に命令して電話と同時に、メールに添えられてきた動画をモニターに出す。 その動画には複数の光の粒子のようなものが、高速で魔法陣を描く様子が映し出されていた。 魔法陣を描き終えると、ピカッと眩い閃光が発生して、直ぐに魔法陣は見えなくなってしまった。
「なっ..なんだコレは!」
「ありえん! 非現実的すぎる!」
「して総理...この映像はどこで発生したモノなのですか?」
防衛大臣の男が、総理に対して質問を行う。 総理は少しくたびれた様子で一言
「日本上空です...消失後の場所と映像を照らし合わせてどこの上空なのかは、今現在NASAが全力をもって割り出し中との、アメリカの大統領からのお達しです」
「空自には連絡してあるか?」
防衛大臣が傍にいた側近に言うと、側近は耳打ちで進言する。
「高度問題か...もどかしいな、目標は大気圏の更に上にあるらしい。 ロケットかスペースシャトルが必要か」
「防衛大臣殿! 日本上空の発光現象は日に日にその頻度を増しています、メディアに異変を報道されるのも時間の問題ですぞ!」
総理がコホンと咳ばらいをして注目を集める。
「第一...日本に対する攻撃みたいな感じになってますがねぇ、本当に攻撃なんですコレ?」
総理の一見無責任とも取れる発言に、防衛大臣が机をドンと叩いていきり立つ。
「これが攻撃か攻撃じゃないかなんぞ、今は大した問題じゃあねぇ! 他国には無かった反応が、今この瞬間にも、日本の上空で起きてるってんのが問題なんだ!」
「俺たちの仕事は国に何かが起こってから、大変だどうしようと会議することじゃあねぇ! 何かが起こる前に対策を講じて実行するのが、国の頭ァ張る人間の在り方ってもんだろうが!」
防衛大臣は総理に向き直り、一言。
「総理...日本政府としての今後の対応を決めましょう。」
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3時間目の授業も半ばに差し掛かったころ、妙に空がピカピカと光りだした。 学園内にいたほとんどの生徒や教師が、なんだなんだと空を見上げる。 夜空も他の連中に流されるように、空を見上げて目を疑った。
大きな一つの魔法陣の中で、大小さまざまな大きさの魔法陣が衝突して光を発していたからである。 魔法陣はちょうど、学園の遥か上空に固定されるような形で設置されていた。
「なっ! なんだアレ!」
誰かのその一言で学園中にパニックが広がる。 次の瞬間、ひときわ大きい魔法陣から放たれた光の柱を始めとして、大きな魔法陣内の全ての魔法陣が同様の光の柱を射出した。
学園全土は、一瞬の間に光に包まれた。 光はたとえ建物の中にいたとしても関係なく透過し、光に包まれた人間を一人また一人と消していく。 目の前に居た疾風やテルテル、温井さんなどが姿を消した後に、夜空の意識も光の中に飲み込まれるように消えていく。
中学生、講師数含め316名。 高校生、講師数含め434名。
計750人の人間は、その日をもって地球上から姿を消した。
あらかじめ言っておこう。
ここから紡いでいく物語は、決して...決して、万物最強の力をもった主人公達が無双する話ではない。 自らの力の在り様に苦悩し、葛藤し、研究し、抗い抗って...この世界での望みを叶えるために努力する。
無駄に危険なチカラをもった...普通の少年と少年の物語だ。
==☆次回予告☆==
あとがきは面倒じゃ無かったら毎回書くつもりではいます。
本編に載せきれなかった細けぇ情報を書いてくつもりです.....。 本編に絡むようなら多分本編にも書いてると思うのでそこはご心配なく。
第一話はまぁ特に言う事無いですね....強いて言うなら最後の一文
少年と少年というキーワードだけ覚えといてください。 これからの全てにおいてですが、作者がだいぶ伏線大好きッ子なので結構細かく見ると面白いかも?
次回、2話......その世界 場所不明につき!
次回もご朗読下さい!!
ではでは~