奇襲と魔法剣
ジェファーの発する魔力の前にたじろぐギンであったが、エイムの強い言葉、そして仲間達の激励に、再びジェファーに対しての闘志が戻り、ギンとエイムはジェファーに挑まんとする。
「エイム、俺がジェファーに切り込んでいく、その隙に強力な魔法をあいつにぶつけてくれ」
「はい、任せてください」
エイムの言葉を受けて、ギンは早速速度強化の魔法を使い、一気にジェファーに接近する。
「むっ!」
目にも止まらぬ速さでジェファーに接近したギンは剣でジェファーを切りつけようとするがジェファーは自らの杖でギンの剣を防ぐ。
「ふっ、神官の私になら接近戦で勝てると思ったか、思いのほか考えが浅かったな」
「元より承知だ」
「何?」
次の瞬間ギンはジェファーに対して火球を放ち、その瞬間後方に退くが、ジェファーの身体が燃えている様子はない。
その様子を目にしてジエイはジェファーの着ているローブの効果を察した。
「魔力障壁を張った様子がない事から、おそらくあのローブに魔力障壁と同様の効果があるということですな」
「奇襲は失敗か、一気にいけると思ったのによ」
「ブライアン殿、あながち失敗ともいいきれませんぞ、お2人の表情に焦りは見られません」
ブライアンは奇襲が失敗したと嘆くが、ジエイはギンとエイムの表情から2人に焦りはなく、まだ希望は残っていると推測する。
「やはり、俺の魔法ではお前には通用しなかったか」
「ふっ、当然だ。奇をてらったつもりだろうが、それでは私に勝てまい。隙を作ろうと囮になったようだが、私はあの魔術師の娘の動きは共鳴で分かるのだぞ」
「それは俺達にも言えることだ、エイムがお前の動きさえ把握してくれれば対処のしようはある」
ギンとジェファーの会話を聞いて、ルルーが自分の考えをムルカに話していた。
「エイムもジェファーも魔力の共鳴で互いの動きが分かるのなら、この戦いはかなり膠着したものになりやすいですね」
「だからこそ、ギン殿の動きはこの戦いで重要になるな」
「ですがジェファーは共鳴でエイムの動きに注意を払いながらもギンへの警戒も怠ってはいません、隙を作るのは難しいかと」
「先程の速度強化魔法での剣戟と至近距離からの火球、おそらくギン殿は隙を作る方法を模索しているのだろう」
ムルカはギンが手探りで戦っていると主張するが次にギンはだれも予想だにしない行動にでる。
「見てくださいムルカ様、ギンの剣が……」
「あれは……早くも魔法剣だと」
戦闘開始早々ギンは早くも魔法剣を発動させる。この狙いとは?




